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6 神と英雄の巻 8

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。

――金竜は遠い昔を語り続ける――



 実は魔王は三人組だった。

 勇者達三人は魔王城の屋根裏で作戦を立て直した。

 その結果――神宝によって隠れたまま、全員暗殺しようという事になったのである。



「汚えー」

 キャシャロットがイカ焼きを食いちぎりながら叫ぶが、もう過ぎた話だ。仕方が無い。



 だが敵もさるもの引っ搔くもの。

 食事にまぜた餅でデスウィザードのジジイは窒息死。

 女と夜のバトル真っ最中に、絶頂時を狙っての毒吹き矢三発同時撃ちで魔剣士アクスリックは腹上死。

 ここまでは上手くいったのだが――


 この世界の修行僧は超能力系呪文を習得するマルチクラスでもある。

 台座の上で瞑想している修行僧ダイモンを毒塗り短剣三発同時投げで仕留めた、と思いきや‥‥それは呪文で作られた幻覚であった。

 いかな隠密アイテムを使っていたとはいえ、攻撃を仕掛けて外してしまえば、高レベル修行僧のダイモンから隠れる事は不可能。

 台座の下から現れ、超能力呪文の衝撃波を食らい、勇者三人は結界縄の外へ弾き出されてしまったのである。

 そして魔王最後の一人と勇者三人の直接対決が、ついに始まってしまったのだ——!


 だが流石は魔王。

 最強の修行僧ダイモンはあまりに強かった。

 戦闘開始直後、ドラゴエモンは正拳一発で昏倒。デスサイズはある程度食い下がったものの、回し蹴りで沈められてしまったのである。



「正面からだとボロ負けじゃないですか」

 キャシャロットがゲソをもぐもぐしながら指摘するが、もう過ぎた話だ。仕方が無い。



 しかし勇者パーティ最後の一人、秘鋭丸(ヒエイマル)は死力を尽くして戦った。

 カラテの地力で劣り終始劣勢ではあったものの、長き壮絶な攻防を演じ、血で血を洗う地獄の死闘を繰り広げ——そして最後に、互いの抜き手が互いの急所を貫いた。


 デスサイズの与えた僅かなダメージが無ければ。

 死んだふりをしていたドラゴエモンが、最後の打ち合いの瞬間にダイモンの背中へアフリカ投げナイフを撃たなければ。

 ヒエイマルが敗れ去っていただろう。

 しかし結果は相打ち。忍者と魔王軍最後の首領は両者息絶えた。


「そこまでやって相打ちなんですか」

 キャシャロットが爪楊枝で食べカスをほじりながら指摘するが、もう過ぎた話だ。仕方が無い。


 こうして、この時代の魔王軍は首領を失った。

 戦力のほぼ全ては残ったので、それらを撃破するため、人類の国家は結局あちこちで戦をせねばならなかったが、魔王軍は首領がいなかったのでなんとかなった。

 新首領が現れて立て直しされていたら危なかったが、魔王軍は次の首領を決めるため内ゲバを始めてしまったので、かえって追い風になったのだ。


 こうして人類は勝利した。



「ロクでもない時代だったのね‥‥」

 ソフィアまで溜息をつくが、もう過ぎた話だ。仕方が無い。

「しかし忍者は死んでしまいましたね? 機械の生き物には‥‥」

 首を傾げるティア姫。金竜グゴルダーは回想が映るモニターを見つめる。

『それはこの後だ』



 デスサイズとドラゴエモンは秘鋭丸(ヒエイマル)の屍をエルドラ洞窟へ持ち帰った。

 この世界インタセクシルにも死者蘇生の魔術はある‥‥が、制限の多い物だ。屍の保存状況、残った部位の量、死後の経過期間、対象の生命力、季節に天候に星の位置——問われる要素が多い。

 だが竜と神なら或いは、と、二人は一縷の望みを掛けたのである。


 結果から言えば、蘇る方法はあった。

 だから竜は秘鋭丸(ヒエイマル)の魂に尋ねたのだ。

 この方法で良いか、と。


 秘鋭丸(ヒエイマル)の魂は応えた。

「承知」と。


 よって金竜グゴルダーはその魔力を全力で用い、秘鋭丸(ヒエイマル)を生まれ変わらせた。

 この日、忍者の秘鋭丸(ヒエイマル)は消えた。

 この日、機械生命体巨人ヒエイマルが誕生した。


 こうして、彼らの戦いは終わった。

 死神デスサイズは殺す相手を求めて姿を消した。どこへ行ったか、それはわからない。

 怪盗ドラゴエモンは火事場泥棒をやるため姿を消した。どこへ行ったか、それはわからない。

 そして、ヒエイマルも姿を消した。二人の仲間と竜と神に、求められれば必ずや力を貸そうと、そう伝えて。


 その後、彼ら三人の姿を見た者はいなかった——



「強引に良い話っぽく〆ましたね」

 キャシャロットの指摘に、ソフィアは「はっ」と気付く。

「ニンジャロボはわかったけど、カメレオンは全然じゃない?」

 頷く金竜。

『そりゃ遥か後の時代に話がとぶからな』



 それから幾星霜の後——キラー達がインタセクシルへ召喚される直前のこと。

 その当時の魔王軍により、多くの神々が集まる秘境‥‥神域が襲撃された。

 その襲撃で多数の神が滅ぼされたが、その中に【隠れ身の神】もあったのだ。



「洞窟からは引っ越したんだ?」

 ソフィアの問いに金竜は頷く。

『流石に長く同じ所に居ると飽きるからな。三人の勇者が去った後、百数十年ほどしてから流石に住み飽きてきてな。倉庫として残したまま別々の土地に移ったのだ。その後も何度か引っ越しを繰り返したが‥‥』

 そして溜息一つ。

『【隠れ身の神】も、まさか神々が最も多い地が襲われるとは思わなんだろう』

「その時にヒエイマルを呼ばなかったのか?」

 キラーが訊くと、またもや頷く金竜。

『魔王軍‥‥というか魔王が生身で攻めて来たからな。神々も生身で対抗したのだ。今考えればそれは間違いだったのかもしれんが‥‥』


 サイシュウがふと気づきストライクを見る。

「確かに、敵がケイオス・ウォリアーを出してからしかヒエイマルを呼んだ事はないな」

『そして呼べば来た。【隠れ身の神】が肉体を破壊され、別の姿に変じてもな』

 金竜もまたストライクを見つめていた。


「そっか‥‥」

 ソフィアは納得したようだが、ふと金竜を見上げて訊ねた。

「グゴルダーは魔王軍から逃げたけど。ヒエイマルを召喚しようとは思わなかったの?」

『思わん。あいつに金属の体を与えたのは、我が力ではそれしか蘇生手段がなかっただけの事。逃げれば済む程度の話に、もう一度戦ってくれとは言わんよ』

 それが金竜の返答だ。

「ふーん。そっか」

 その答えに納得するソフィア。どこか感心したようでもあった。



「しかし真魔怪大隊の動向はわからず終いですね」

 スフィル王子がそう呟いた‥‥矢先、神殿に駆け込む者があった。ハイマウンテン国の兵士、Cバエナガメランの乗員である。

「た、大変です! ハイマウンテンに真魔怪大隊が攻めてきたと、通信が!」


「お前がいらん事を言うから!」

「ぼ、僕ですか?」

 アリンがスフィルに怒鳴り、王子がたじろぐ。

「そんなわけないだろう。すぐに引き返すぞ」

 キラーが言うと、一同は戦艦へと駆けだし始めた。


 ソフィアは金竜に手を振る。

「竜神様、いろいろありがとう」

『話以外はしておらんがな。まぁこれもやろう』

 金竜が言うと、どこからかナイフがひとふり降ってきた。キラーは反射的にそれを手にする。

『ヒエイマルの、人間だった時の形見だ』

 そう言う金竜の視線は、キラーというより、その肩のストライクへと向いていた。

 だがキラーは頭を下げる。

「受け取っておく。重ね重ね、ありがとう」

設定解説


・女と夜のバトル真っ最中に、絶頂時を狙っての毒吹き矢三発同時撃ちで魔剣士アクスリックは腹上死


女は城勤めの女給の一人(特に胸の大きかった者)に金を握らせ「今後のために魔剣士殿へ良い目を見せておきたい。お前も上手く行けば愛人にしてもらえるぞ。そうすれば死ぬまで安泰だ」と吹き込む事で調達した。

女がその後どうなったかは、歴史に残っていないので不明。

まぁだいたい想像通りの末路だろう。

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