6 神と英雄の巻 6
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
キラーの方を見つめる金竜グゴルダー。
ハイマウンテン勢の遥か頭上から、上位竜は問いかけて来た。
『まず知りたいのは、魔王軍の残党の事だな?』
「は、はい」
頷くティア姫。
金竜は厳かに告げた。
『実はよく知らん。遭遇しないうちに引っ越したからな』
ジト目で見上げるキャシャロット。
「冒険者相手なら遠慮なく焼き殺すくせに、魔王軍からは逃げたんですか」
『メシの邪魔をする雑魚を焼き殺したからといって、勝てない奴らと戦わねばならん理由にはならん。何せ先の魔王軍は伝説の黄金級機を何体ももっていたからな。我ら上位竜とはいえアレの相手はちょっと厳しい』
※ケイオス・ウォリアーには大きく分けて三つの階級がある。
量産型の青銅級機、ワンオフカスタムの白銀級機。
そしてこの世界究極の兵器、黄金級機である。
黄金級機は作成に神の秘宝・神蒼玉を必要とするため、この世に七体までしか存在する事はできない。
だがその戦闘力は文字通りの桁違いであり、青銅・白銀が何十・何百とかかっても及ぶ物ではない。黄金級機一体に滅ぼされた国など、この世界の歴史には無数に存在するのだ。
過去、大きな戦争において、また魔王と勇者の幾多の戦いにおいて、常に戦況を左右する存在であり続けた。
先の魔王との戦いにおいても、激しい争奪戦を行いながら両軍が用い、最終決戦にまで投入されている‥‥。
「この世界の最強ロボって神様と戦えるのね‥‥」
他の世界から来たソフィアが驚きながらも呆れた。
軽く頷く金竜。
『まぁ魔王軍は壊滅したし、奴らの黄金級機は全滅した。残党がどれほどの物を用意しようと、以前ほどの脅威は無いだろう』
やや楽観的な金竜の意見だが、ハイマウンテン勢の大半——インタセクシルの住人達は納得する。
それを横目にキラーが訊いた。
「ところで懐かしい物とは?」
『お前の肩にいるのは我の昔の知人だ』
「‥‥え!?」
金竜に言われ、肩を見るキラー。
当然、そこにいるのはこの世界に来たばかりの時に拾ったカメレオン、ストライク。
それは体色を明るい黄色に変えたままだった。
そんなストライクを眺めつつ、金竜は語る。
『魔王軍によって数多くの神が倒されてな。その一柱が復活しようと体を作り直したようだ』
困惑し、顔を見合わせ合うハイマウンテン勢。
いきなり思ってもいなかった事を言われて信じられないでいる。
無論、ただのカメレオンでない事はわかっていた。謎の忍者ロボ・ヒエイマルを召喚していたのはどう見てもストライクだ。
そこが気になり、キラーは金竜を見上げる。
「あのヒエイマルについて、何か知らないか?」
金竜はあっさり答えた。
『おそらく我が遠い昔に不老長生を与えた人間だな』
「あれが元人間!?」
「恐竜獣人達がいう通り、機械生命体化が本当にできるのね‥‥」
驚愕するキラーの側で、ソフィアが感心半分呆れ半分。
そんな彼らに金竜は語る。
『恐竜獣人達のように、集団で望む奴は初めてだが。いろいろあって生物の殻を捨てて金属生命体になる事を望んだ奴はいる』
そして遠い昔に思いを馳せた。
『その一人にある忍者もいた。【隠れ身の神】と種族をこえた友情を結んだ男が‥‥。当時の魔王との戦いで命を落としそうになり、生身を捨てる事を望んだのだ。その捨て身の思いに我は応え、彼を我が眷属‥‥金属生命体へと変化させた』
その言葉とともに、横手に巨大なモニターが降りてきて、点灯した。
——幾星霜の昔——
その頃、金竜グゴルダーはある深山の洞窟に住んでいた。
あらゆる種類の鉱石が眠る秘境、エルドラ洞窟に。所持する財宝全てを持ち込んで。
そしてこの世で最も富んだ洞窟を人目から隠すため、金竜が協力を頼んだのが【隠れ身の神】であった。
誰も来ない、配置したモンスター以外は何もいない洞窟に、竜神と神は隠れ住んだ。二人は買い物以外出かけず二人で延々と魔法通信情報網——現代地球でのインターネットに近い——に勤しみ、他の神や精霊や高位魔術師と交信し、世俗の情報を得て、意見の異なる無知蒙昧な輩へ罵詈雑言を書き込んで叩いていた。
それはそれは、とても平穏な日々であった。
だがその平穏が破られた。
その時代にも魔王が出現し、魔王軍を結成して大地を支配せんとしたのである。
インタセクシルは平和が続くと必ず魔王がわいてくるのだ。
各地を蹂躙する邪悪な魔王軍。
大地は荒れ果てた。ネットも荒れ果てた。竜神と神も不埒な魔王軍の粘着荒らしを叩く毎日だった。
この世に邪悪が蔓延る時、必ずや希望の闘士が現れる。それもまたインタセクシルの事実。
ある日、決して見つからぬ筈のエルドラ洞窟に三人組が訪れた。
それこそがその時代の勇者パーティ‥‥
暗殺者の死神デスサイズ。
怪盗の道具使いドラゴエモン。
そして忍者のマスターシャドゥ・秘鋭丸だった。
騎士も魔術師も僧侶もいないパーティ。竜神と神は驚愕した。
女が一人もおらず、野郎ばかり三人で組まれている事にも驚愕した。
だが彼らの要求にはさらに驚かされた。
「魔王の居城に乗り込むためのアイテムが、金竜の持つ莫大な財宝の中にあると聞いて参上した」
機嫌を損ねる奴を熱線ブレスで焼き払う竜神に、彼らはアイテムを寄越せと要求したのだ‥‥!
ここから遠い昔の勇者の物語が回想で語られる。
様々な時代に様々な戦いがあった世界なのだ。




