6 神と英雄の巻 4
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
Cバエナガメランのモニターには、密林の中の都市が映し出されていた。
「着いたわね」
恐竜獣人達の国・カッサンの都をソフィアは見つめる。
「で、すんなり行くと思うか? 面倒が無かった試しがねーんだが」
サイシュウが訊くと、ティア姫は真剣な瞳で頷いた。
「誠意をもって接すればわかってもらえるのではないでしょうか」
「そうね。ここで初めてそうなるといいんだけど」
ソフィアは大きな溜息をついた。
だがここまで来た以上、交渉を始めるしかない。
Cバエナガメランから通信が送られ、ティア姫が自分の意を告げ、そして‥‥
——カッサン国王城——
都へ、城へ、そして王の間へ。
ティア姫を始めとしたハイマウンテン勢は通された。
そのほとんどが、多かれ少なかれ緊張している。
だがそれは王の間に居並ぶカッサンの者達も同様だった。
玉座からハイマウンテン勢を見渡すのは、外見年齢なら三十になるか否かというまだ若い王だった。
「ワシがカッサン国を治めるレックス王である。よくぞ来た、ハイマウンテン国の姫よ。獰猛な虎達のウェスパレス国を従えた事は聞いている」
そして、王は立ち上がった。
「だが我らを平定するなら、我がカッサン最強の戦士達・この強竜士十六大と戦ってもらおう!」
王の声に応じ、玉座の後ろから飛び出すフードローブの男達!
物理的に隠れられない筈の場所から十六人の屈強な男達が現れ、王とハイマウンテン勢の間に並んだ。
そのどれもから強烈な殺気が放たれ、まさに一触即発——!
「いえ、平定する気はありません」
ティア姫は穏やかに告げた。
レックス王は「ん?」と首を傾げ、屈強なフードローブどもの隙間から視線を覗かせる。
「では今日はどのようなご用件で?」
「先に送った親書にしたたためてあります」
ティア姫が言っているのは、城のドックに入れてもらってすぐに応対の者へ渡した書簡の事である。
「なんだと?‥‥おお、これは宣戦布告の手紙ではなかったのか」
王は思い出したように、その親書が入っている筒を取り出した。
玉座に腰掛けると中から一通の巻物を取り出し、内容に目を通す。
「先に読みなさいよ!」
「うん、今読むからちょっと待って」
ソフィアが怒っていたが、王は生返事をしながら一生懸命親書を読んでいた。
フードローブ達は顔を見合わせ、音も無く跳躍するとまた玉座の後ろ、物理的に隠れるのは無理そうな所へ跳び込んだ。
そこに潜むのが定位置らしい。
やがてレックス王は驚愕の声をあげる。
「ぬうう!? 金竜グゴルダーに会いたいと!?」
「まずいですか?」
そう訊くティア姫に、レックス王は興奮して叫んだ。
「今や金竜はこの国の命運を握る存在だからな! 本当に話をしたいだけか? その力を狙っているのではなかろうな?」
「いえ、全然。具体的にどんな力があるかも知りません」
首を横にふるティア姫。
「え? そうなん?」
疑いの視線を向けるレックス王。
「はい」
素直に頷くティア姫。
「金属生命体になりたいとか考えない?」
疑いの視線を向けるレックス王。
「??? ぜんぜん考えません」
首を傾げるティア姫。
その後ろでサイシュウが「はあ?」と呆れた。
「むしろ誰が考えるんだよそれは」
しかしレックス王は興奮して再び立ち上がった。
「考えるだろ! ケイオス・ウォリアーなんて物が量産されとるせいで、ワシら変身型獣人の優位性がほとんど無いだろうが!」
「何言ってんだ? 操縦者の能力をダイレクトに反映するから、私は操縦する時にはいつも獣化しているぞ」
怒鳴り返すアリン。
実際、彼女は操縦時には基本的に変身している。パワーや耐久力の向上が機体にも伝わり、性能を底上げするからだ。
だが王は青筋を立てて怒鳴った。
「オメーはいいよ! そりゃあな! ワシら恐竜獣人には操縦席で獣化できねー奴ゴロゴロいるんだよ!」
もちろんサイズ的な問題だ。
ごく一部には、変身後にはケイオス・ウォリアーより大きくなってしまう者さえいる。
だがサイズ的に互角なら戦闘力でも互角かというと、鎧と武器で完全武装した人造巨人相手には、あくまで生身で変身後用の武具も無い恐竜獣人は明らかに分が悪いのだ。
だから王は怒鳴る。
「操縦席だと入りきれないが、外出て生身で戦ったら負けるしよ! 誰だこんなクソ乗り物を量産したアホは! 剣と魔法で戦えよ!」
それは恐竜獣人の多くが抱いている不満だ。
なおここでの「剣と魔法」には、変身後の恐竜獣人達の巨大な肉体での攻撃は含まれるが、ケイオス・ウォリアーの装備する武器やそれから発射する魔法は含まない。
「自分らが有利な戦いしたいだけじゃねーですか」
ジト目で呟くキャシャロット。
ソフィアも額を抑える。
「で、金竜の力があれば金属生命体になって、ケイオス・ウォリアーと戦えるのね。‥‥さっさとやればよくない?」
そう言われると、レックス王は苦々しい顔になる。
「まぁそうなんだが、ただ体を金属にしただけでは良くてせいぜい青銅級機。白銀級機には及ばない程度だと金竜に言われてな。どこかに設計モデルになってくれる機械生命体系スーパーロボがいれば話は違うんだがなぁ‥‥というのが、竜からのアドバイスなのだ」
「そんなピンポイント過ぎる願望が叶うわけないでしょ‥‥」
ソフィアは頭が痛そうだった。
しかし腕組みして考えるサイシュウ。
「‥‥あ、そんな感じの奴いたわ。勇者パーティの主力メンバーに」
「マジで!?!?」
一転してびっくり仰天、思わずソフィアは叫んでいた。
マジなのである。
設定解説
・自分らが有利な戦いしたいだけじゃねーですか
不利な戦いをしたい奴なんていないから仕方が無い。
格ゲーで使っていたキャラが続編で弱体化された時、MMORPGで強ビルドを組んだらアップデートで弱体化された時、ソシャゲでガチャ回して珍しく強SSRひけたと思ったら次の実装SSRは遥かに強かった時‥‥その時の気持ちを思い出していただければ理解してもらえる筈だ。




