6 神と英雄の巻 3
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
——ヘイゴー国内、街道近くの荒野——
戦艦Cバエナガメランは低空をゆっくり飛んでいた。
エネルギーの消費を抑えるため、山を越える高度を取らず、街道近くの拓けた空を。
そのブリッジでティア姫がクルー達に確認した。
「もうすぐ竜の国、カッサンですね。異常はありませんか?」
「艦には無いけど、前方に変な物ならあるわ」
ソフィアからのその返答を聞き、何もないと思っていたティア姫は「?」と首を傾げる。
ソフィアはメンモニターに別のウィンドを出した。
「前方にこれが‥‥お店みたいだけど?」
ウィンドに映っているのは巨大な樽とでもいうべき建物。ケイオス・ウォリアーの装甲にもふんだんに使われている、生物の甲殻素材で造られている。
その樽には道の方を向けて入り口があり、その上には看板もあった。
【アイテム変換・賜りマス】と書かれた看板が。
「旅の商人でしょうか?」
考えるティア姫。
この世界には町の外で店を開く者達もいないではない。流石にそんな商売を専門にしている物は極少数だが、行商人や隊商が旅の途中で休憩がてらに一時的な店を開く事はそれなりにある。
「覗いてみるか? この先の情報が手に入るかもしれん」
キラーが進言すると、ティア姫は「そうですね‥‥」と、少しの間考えた。
——店内——
近くに着陸したガメランから店へ向かったのはキラー達数人。
中に入ると、店の中には数個のモニターが設置され、カウンターの奥でメイド服の少女が愛想よく微笑んでいる。
「いらっしゃいませ」
メイド服の、緑の髪に透き通るような翠の瞳をした少女。
頭にはカチューシャを付けている、が‥‥その両端には金属製のアンテナが、獣の耳が立つかのように生えていた。
(人間ではないな。こんな種族もいるのか)
人造種族・サボディオイドの少女を油断なく窺うキラー。
「どうも‥‥」
スフィル王子がぺこりと一礼。
だがそれをグイと押し退け、アリンが店員の少女に詰め寄った。
「おい! どんなアイテムで何を造ってくれるんだ?」
「ケイオス・ウォリアーの、SSR級武器を素材に、強化パーツを作成します」
朗らかに答える少女に、アリンは「よっしゃ!」と喝采をあげた。
「要らないクソ武器がある。少しでも使える物にしてくれ!」
快く頷く店員の少女。
「はい、では【チップ】を作成しますね。機体の性能を上げる強化パーツです」
「何が上がるんだ?」
期待をこめて訊くアリンに、少女は笑顔で優しく説明した。
「何がどれだけ上昇する物ができるかはランダムです」
「よしやろう!」
アリン、目をキラキラさせて即答。
「正気ですか。やめるべきでしょう」
キャシャロットが即座に制止をかける。
だがアリンはドンドンと地団太を踏むのだ。
「嫌だ! 使わないクソ武器は廃棄だ! 変換だ!」
——店の外に出されたSクマーベアーの足元で——
異界流が放つ輝きに包まれ、半透明の虹色の板——中には何かの回路が入っている――が生じた。
ふう、と額の汗を拭う店員の少女。
「できました。これは‥‥まぁ、結構高性能ですね」
「やったぞ! 勝った!」
ガッツポーズをとるアリンに、店員はニコニコと笑顔で説明する。
「防御が上昇、打撃属性の攻撃に軽減バリア。さらにHPが半減すると一度だけ回復機能が働いて、最大値の20%ほどを修復します。どの能力値もレアリティの星が20段階中10以上の‥‥」
アリンが顔を顰め、隠そうともせず舌打ちする。
「攻撃力は上がらないのか? 要らん」
「お前に要る要素しかねーパーツだろ」
サイシュウが呆れるが、アリンは目を吊り上げて怒鳴った。
「戦いに必要なのは攻撃力だ! 火力だ! 破壊力だ!」
「せっかく造ってもらったのに‥‥すいません」
「あ、いえ、お客様にも要望はありますし‥‥」
スフィル王子が頭を下げると、店員は慌てた様子で手を振った。
そこからしばし、彼女の近況を——この先にあるカッサン国の情報を期待しつつ――訊くキラー達。
残念ながら、彼女もカッサン国へ向かう途中であり、この先の事は聞けなかった。
しかし彼女が旅をする理由については知る事ができた。
「そうか。ご主人様を探して旅してるのか」
感心するサイシュウ。
仕えていた主人が行方不明になってしまったので、もう一度会うために旅を始めた。
アイテム変換の店は路銀を稼ぐための、持ち前の技術を活用した手段なのだという。
と、そこでアリンが大声をあげた。
「よし、一緒に来い! そして当たりが出るまでアイテム変換しろ」
「あのですね‥‥」
キャシャロットが口を挟もうとするが、アリンは怒鳴る。
「この艦にいればスキルを活かしながらあちこち旅できるだろ!」
「一理ある‥‥のかなぁ?」
スフィル王子は半分納得、半分懐疑といった所だ。
だがしかし。
「よろしいのですか? 私は助かりますけど」
店員の少女は顔を輝かせる。なんと彼女の方も乗り気だった。
——Sバエナガメランのブリッジ——
「はい、そうしましょう! これからよろしくお願いしますね」
話を聞いたティア姫は、ニコニコしながらその場でOKを出してしまった。
「ありがとうございます! えへへ、本当は一人旅は心細かったんです」
深々と一礼してから満面の笑顔を見せる、店員の少女。
今日会った相手が信用できるのか。悪い奴かもしれねーぞ‥‥等と、双方、全く考えている様子は無かった。
「一応これ軍艦なんだけど。どんだけ緩いの‥‥」
ソフィアは額を抑えていたが、その側でキャシャロットが呟く。
「オーナーが言うなら仕方ありませんね」
こうして主人を探して旅する少女・シンディが一向に加わった。
彼女を横目に、サイシュウがキラーへひそひそと訊く。
「ところでキラー。増えた女は多分男持ちだが‥‥略奪とかNTRする側に興味あるか?」
「いや、全然」
即答するキラー。
サイシュウは「ぬう」と唸った。
「増えた意味ねーな‥‥」
【登場キャラ解説】
放浪メイド シンディ
主人公達が旅の途中で拾った、人造人間種族【サボディオイド】のメイド少女。
家出した主人を探して移動式店舗で彷徨っていた所を、マジックアイテム変換・作成の技術を見込まれて主人公部隊に雇われた。
家政婦としては当然の事、マジックアイテム関連の技術もかつての主人から学んでおり、専門店を経営できるだけの技術を持つ。




