5 タイガー抹殺拳の巻 11
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
激闘の終わった、その日の夜。
勝利したハイマウンテン勢を讃え、祝勝会が催された。
今度こそ正真正銘の歓迎パーティである。
「見事だった。貴公達こそ、今の弱り切ったヘイゴー連合の希望だ。ハイマウンテン国を我らが盟主と認めよう」
立食形式のパーティ会場に王は自ら降りてきて、キラーの背を陽気に叩いた。
かなり強い力だったが、キラーは嫌がる事なくされるがままで、動じる事も無い。
周囲の客達——この国の大臣や高官達だ——も皆が明るく笑っている。
キラー達と直接戦った闘士達もいる。
皆が勝者を祝っており、もはや敵意を持っている者など一人もいない。
「見たか偉大なコリーンの優越文化を! 酒と飯をどんどん持ってこーい!」
アリンが酔っぱらって大声をあげているが、それさえも酒瓶を手に乗ってくる者ばかりで、大いに喜ばれていた。
歓迎ムード一色の会場を見て、マンドリオが「ふーむ」と呟く。
「ウェスパレス国は完全に傘下へ入りましたな。とすると‥‥ハイマウンテンはヘイゴーの約半分を手中に収めたか」
——宴が続く中、キラー達は現状をマックス王達と話す——
話は当然、魔王軍残党の動向にも及んだ。
彼らと敵対しているマックス王は興味深そうに聞いていたが‥‥
「‥‥なるほど。魔王軍は金竜を探しているのか」
真魔怪大隊がアーマルベン国で上位竜を捜索していた話に、何やら考える。
と、そこへ横から猫獣人の女闘士シャンマウが口を挟んだ。
「多分、竜国のカッサンにいるにゃー」
「え? 竜国なんかあったの? そりゃそこにいるでしょう!」
目を丸くするソフィア。
「とは言ってもな‥‥」
王は宮廷魔術師を呼んだ。
王宮仕えの屈強な魔術師が半透明の結晶板を持って来る。
それに何やら呪文を唱えると、板から宙へ映像が投影された。
どこかの都市だ。密林の中にあり、城も建物も防壁も全てシダ植物の木材でできている。
街の門は原色で染められた南国風の鎧を着た二人の兵士が守っている。
と、門の側に巨大なムカデのモンスターが迫った。
兵士達がそれを迎え撃つ。
やはり獣人だったようで、敵が巨大と見るや、次々と変身した。
巨大な‥‥イグアノドンに。
二人の獣人イグアノドンが巨大ムカデをバラバラにするのを見ながら、微妙な顔を見せるソフィア。
「ドラゴンじゃなくて、ダイノサウルスね‥‥」
一応フォローするスフィル王子。
「一応、竜信仰の強い国ですよ。最初の動物にして全ての動物の始祖、竜神セブンセンシズへの信仰がヘイゴー内で最も盛んですし」
※寺院が一番多い、ぐらいの意味である。
「海に住んでいたが、危機を感じて味方の多い地方へ引っ越したのか」
キラーは納得したが、ソフィアは味方のハイマウン勢へ納得いかない視線を向ける。
「それにしたって、そんな国があるならもうちょっと視野にいれてよかったのに」
しかし各人、顔を見合わせて「だって、なぁ?」と言わんばかりの視線を交わすばかりだ。
それを庇うかのように口を挟む猫獣人のシャンマウ。
「まー仕方ないにゃー。カッサン国は遠い古代、ケイオス・ウォリアーが誕生する前は世界最強国の一角だったというけど、今じゃー秘境の一部族であんま表に出てこないにゃー」
「ケイオス・ウォリアーは彼らにとって自分達の優位性を否定する文明だからな。今の時代が面白くないのだろう」
そう付け加えるのは剣歯虎獣人のメガンテレオン。
「ともかく、この情報は覚えておこう」
そう言うキラーの肩で、ストライクが体色を橙色に変化させていた。
それをソフィアが指でつつく。
「この子、試合中は見なかったわね。どこにいたの?」
「そう言えば居なかったようじゃな?」
首を傾げるセファラス女王。
サイシュウは肩を竦めた。
「リングで戦ってる奴の肩に乗っていたくはねぇだろ。適当な所に隠れて寝てたんじゃねーのか」
と、そこでスフィル王子がハイマウンテン勢を見渡した。
「‥‥というか‥‥このカメレオンとあのニンジャロボ、一体何なんです?」
一同、顔を見合わせる。
「そう言えば何なんでしょう?」
首を傾げるティア姫。
スフィル王子がハイマウンテン勢を見渡した。
「あの‥‥なんで誰も気にしてなかったんです?」
一同、顔を見合わせる。
「気にしないわけではないけど、気にしてもわからないし」
抑揚なく言うキャシャロットには、興味はあまり無さそうだった。
スフィル王子がハイマウンテン勢を見渡した。
「えー‥‥」
もっと緊急の要件が目の前にあったから仕方なかったのだ。
設定解説
・神竜セブンセンシズ
七つの頭を持つ最古の竜。
それぞれの頭は竜・人・獣・鳥・魚・虫・髑髏となっており、この世界に存在する全ての動物の祖であり、誕生と死の始まりだとされている。
これが「七感竜」の名の由来であり、それに基づいてケイオス・ウォリアーの分類も生まれた。
争いを好まず、海の底でこの世の流れをずっと見守っているが、地上への干渉も求められた時だけは応じる。
しかし一たび荒れ狂えば七つの頭から吐き出す魔力の波が全てを粉砕し、嵐と豪雨が全てを押し流すと言われている。




