5 タイガー抹殺拳の巻 4
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
ハイマウンテン勢はリングサイドに立つ。
観客の歓声が沸く中、ティア姫が半泣きになっていた。
「うう‥‥歓迎会だと聞いたのに」
「これが歓迎なんじゃろ。さっぱり理解できんが。筋肉臭い奴らで鼻が曲がるわ」
セファラス女王が苦虫を噛み潰したような顔で、リングの上を見ていた。
リングには既に敵が上がっているのだ。
フードローブを脱いで露わになった姿は、屈強な剣歯虎獣人!
裸の上半身に交差する剣帯、背中には二ふりの剣。
「先ずはこのメガンテレオンが相手だ。先鋒、出るがいい」
敵に応えてリングに上がったのは——
「ウェハッハー! やってやるぞ、無識な虎族め。神話の時代より熊は虎に優るからな!」
胸に白いVが描かれたレオタードを着たアリンだった。
※コリーン国の大王城壁画には、半裸の男達が組み合っている姿が描かれている。
コリーンの学者が唱える説によれば、これは熊が神と崇められていた証拠である。
ソフィアが額を抑えた。
「あー‥‥一戦目は落としたわね」
無言で頷くハイマウンテン勢。
キラーの肩でストライクが体色を橙色に変えていた。
一方、敵は背中の剣を抜いて両手に構える!
「見せてやろう‥‥サーベル四刀流!」
二本の牙と二本の剣。メガンテレオンはこの剣術に絶対の自信を持っていた。
驚愕するティア姫。
「武器を使うんです!?」
敵が背負っていた剣を何だと思ったのか。
姫を嘲るメガンテレオン。
「コースエン殺在武を甘くみたか。無論、お前らも好きな武器、好きな闘法で来るがいい。俺は逃げも隠れもしない」
じっ、と敵を見つめるアリン。
「本当か?」
「二言は無い」
自信満々で言うメガンテレオン。
「じゃあ料理勝負で」
それがアリンの選択だった。
「!?」
驚愕するメガンテレオン。
「「「「!?」」」」
驚愕するハイマウンテン勢。
「ふざけているのか?」
そう訊くメガンテレオンは、明らかにちょっと苛ついていた。
一方、アリンは目を吊り上げて怒鳴り出す。
「ふざけているのは貴様らだ! 歓迎会だと言うから食いまくってやろうと思って朝食を抜いてきたんだぞ! なのに武闘会なんて、後頭部を殴られた! 癇癪起こる! 謝罪しろ! 賠償もだ!」
「いや、それは断るが‥‥」
そう答えるメガンテレオンは、苛つきながらちょっと怯んでいた。
一方、アリンは目を吊り上げて怒鳴り続ける。
「二言は無いと言った! 過去を忘れた民族に未来は無いんだ!」
少しだけ考えこんで‥‥メガンテレオンは「ううむ」と唸る。
「‥‥謝罪はせんが、空きっ腹で弱っている奴を相手に星稼ぎをしたと思われては面白く無いのも事実。いいだろう、勝負方法は料理でよかろう」
「「「「マジで!?」」」」
これにはリングサイドのハイマウンテン勢が仰天した。
一方、ウェスパレス勢に動揺した様子は無い。
マックス国王が「フフフ‥‥」と不敵に笑う。
「墓穴を掘ったな。メガンテレオンは調理師としても一流の免許持ちだ」
目を丸くするソフィア。
「たまたまそんなピンポイントな技能を持ってるの!? どんな偶然よ?」
程なくリング上に調理設備が並ぶ。
「なんで仮設調理台が二組もあるのよ‥‥」
まるであらかじめ準備されていたかのような手際を前に、額を抑えるソフィア。
「やれーっ!」「何が出るんだー?」「早く始めろー!」
歓声をあげる観客達。
額を抑えるソフィア。
「なんでこれで客が納得してるの‥‥」
そして闘士二人が食材を要求し、スタッフがそれを持ってくる。
メガンテレオンに運ばれた魚を見て、マンドリオが唸った。
「ぬう! あれは座羅鬼河豚‥‥!」
「知っているのかマンドリオ」
問うキラー。
※座羅鬼河豚——北方の荒海であり、様々な海棲モンスターが跋扈する事で有名なフォーツック海で獲れる希少な魚類。
この魚は内臓にソクシドトキシンという毒を持っており、経口摂取によるヒトの致死量は0.01mgという威力を誇っている。そのため古来より多くの命を奪ってきた。
だが類稀なる美味でもあり、毒を持つ器官を取り除けば安全に食す事もできるため、美食家達が追い求めてやまない食材であり続けている。
しかし毒をもつ器官の除去には高度な技量が必要であり、除き損ねた僅かな毒により落命する美食家は後を絶たない——。
一方、アリンは「もっと! もっとだ!」とかなりの食材を用意させていた。
腹が減っているというのは本当の事なのだろう。
遠慮という物が全く無かった。
——向かい合った仮設調理台で料理する事しばし——
「「あがり!」」
闘士二人が声をあげたのはほぼ同時だった‥‥!
定額マンガサイトで「SYOU太の寿司」を先日全巻読破した。
寿司職人てのは新人時代から超人的な技量を要求されて大変なんだな。
やはり寿司は日本の文化の偉大な根源である事を再確認。
たぶん古墳の壁画か何かに絵が描かれているに違いない。




