5 タイガー抹殺拳の巻 3
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
——ウェスパレス国、街道の宿場町——
キラー達は町の外に艦を停め、酒場で休憩していた。
「次が首都じゃな。さて、鬼が出るか、蛇が出るか」
緊張して言うのはセファラス女王。
彼女だけでは無い。このヘイゴーで生まれ育った者達は、多かれ少なかれ脅威を感じているようだ。
このウェスパレスという国に。
強豪国らしいが、他の世界から来たキラーにはピンと来ない。
茶を飲んでいると、側から声をかけられた。
「君は‥‥」
そう言う者を見てみると——以前カパード国で会った、旅の魔術師だった。
「久しいな。この国で働くのか?」
キラーが訊くと、彼は頭を振る。
「いや。余所者はお呼びじゃないみたいだ。話のわからない奴らだよ」
「自分達の力で戦える自信がある、という事か」
「魔王軍相手には何の力にもならなかった奴らが、どこからそんな自信をもってくるのかはわからないがね」
納得したキラーに、青年魔術師は苦笑してみせる。
そう言われて、キラーには一つ疑問が浮かんだ。
「魔王軍残党と裏で繋がっているから‥‥という事はないか?」
青年と会ったカパード国で、実際にあった事だ。
新たな戦力を得て自信を得ているなら、余所者など必要としないだろう。
だが青年魔術師ははっきり否定した。
「無いよ。真魔怪大隊とは何度も戦っている敵同士さ。それを表向きの茶番だと疑うなら、僕を信じろとは言わないが」
その言葉に小さな棘を感じるキラー。
「この国がお気に召さないみたいだな」
それに魔術師は頷く。
「ま、そういう事だ。僕とは考えが違い過ぎる。もうじきハイマウンテンの使者が来るそうだが、そいつらにやられてしまえばいいと思っているよ」
「ハイマウンテンが寄越すのが暗殺者だとでも?」
青年魔術師の言い草だと、使者とこの国は戦いになると確信しているようだ。だからキラーはそう訊いた。
すると青年は笑った。
「まともな使者が来ても、この国の方から仕掛けるだろうな」
笑みが嘲るような物になる。何を嘲笑しているのかはわからないが。
「ま、君達もせいぜい頑張るといい」
そう言うと青年魔術師は酒場から出て行った。
「微妙にひっかかる言い方だな」
青年が出て行った後で呟くサイシュウ。
「二度も偶然、我らの前に? 彼が真魔怪大隊の一員という事はありえませんかな?」
マンドリオがキラーに訊く。
キラーは探るような目で出入り口を見つめていた。
「可能性だけなら有るだろう。敵なら容赦はしない。だが今の時点では憶測だ。それで何か仕掛けるつもりはない」
——翌日。Cバエナガメランはウェスパレス城のドックに入った——
下船したキラー達を案内の者が出迎える。
「ようこそ! ウェスパレスへ!」
元気いっぱいの笑顔で言うのは獣人の少女。
明るい茶色の短髪から出ているのは猫の耳。
白っぽい灰地に黒い斑点の、ノースリーブでハイレグのレオタードを着ており、すらりとした手と意外と太めの太腿は露わになっていた。
吊り気味の大きな目は好奇心で輝き、縦長の瞳がキラー達皆を見つめている。
「やっと待望のネコ娘か。しかし20世紀風味を感じるな」
「あんたが何言ってるのかわかんねーですね」
なんとなく地球を思い出して呟くサイシュウに、キャシャロットがジト目を向けた。
そんなやりとりを見て、猫獣人の娘はワクワクして目を輝かせた。
「お、物怖じしてにゃいね。いいよいいよ、王様も喜ぶよ」
「ありがとうございます。案内、お願いしますね」
丁寧に一礼するティア姫。
「はいな!」
威勢よく言うと、猫獣人の娘も頭をブンと振り下ろすようにお辞儀をした。
——ウェスパレス城・王座の間——
広い部屋に家臣を並べ、玉座にいるのは屈強な虎の獣人。
変身するタイプではないらしく、その頭部は既にトラのそれだ。
ロングタイツにシューズも履いて、マントを羽織ってはいるのだが、上半身には何も着ていない。
その腰には、翼のような意匠の施された黄金のベルトが輝いていた。
「お越しいただけて光栄だ、ハイマウンテンの姫よ」
玉座から立ち上がりもせず、腕組みしたまま傲岸不遜に言う王。
それを気にする様子もなく、ティア姫はにこにこ微笑みながらお辞儀した。
「初めまして、マックス国王。互いの友好と繁栄をハイマウンテンは望んでおります」
「うむ、同感だ。まさかヘイゴー史において目立った事など無いあの国が、この時代にここまで躍進するとは思わなかった」
嫌味にも聞こえる言い草だが、王の口ぶりは本当に感心している者のそれだ。
どことなく浮かれたようで、楽しそうでもある。
そして王は玉座から立ち上がった。
「私は貴国を歓迎する。戦も悪くは無いが、より名誉のある形で決着をつけよう」
それが何を意味しているのか?
「?」
ティア姫にはわからず、微笑んだまま首を傾げる。
「ほーら来たぞ」
サイシュウが呆れていた。
王は指を鳴らした。
それを合図に、騎士の一人が壁のボタンを操作する。
すると右手側の壁一面が上にスライドし、大きく開いた。
外にあるのは——巨大な闘技場!
中央のリングをぐるりと客席が囲んでいる。
そのリングサイドまで、開いた壁から階段で真っすぐ降りる事ができるようになっていた。
王の後ろに、いつの間にか立っているフードマントの人影が三つ。その横で「にゃはは」と笑うネコ少女。
「今日は最強の精鋭を連れてきてくれた筈。そこから五人選べ。我が国最強の五人に勝てれば、貴国を盟主と認めよう! 敗れた時は軍門に降ってもらうがな」
意気揚々と、溌剌と。マックス王はキラー達を促す。
「あー‥‥あの人、絶対楽しんでるわ」
「そりゃ楽しいでしょ♪」
げんなりするソフィアに、ネコ娘がウキウキと笑いかける。
観客席には無数の人民が入っており「始まるぞー!」「おいビールどこだ!」「賭け屋! 早くこっちに来い!」と祭りのように騒ぎ立てていた。
「王様が、ではなく、国民みんなそういう路線みてーですね」
キャシャロットの口ぶりも、心底本気でうんざりしていた‥‥!
設定解説
・しかし20世紀風味を感じるな
ネコ耳少女なんて物に時代遅れ感が漂っている時期が、90年代にはあったような気がするのだが‥‥
しかしいつのまにかまたゴロゴロと増えているようだ。
まぁそれに何か文句があるか、というと全く無いのだが。
個人的に思う事だが、無料ネット小説の界隈ってやつは時の狭間に消えかけてた物をリサイクルする役目も地味に担ってないか。
気のせいか。そうか。




