5 タイガー抹殺拳の巻 2
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
——ハイマウンテン城格納庫——
「ガギゴゴー! 私の生活費がアッー!」
アリンは壺の前でくずおれた。
「また死んだようだな」
横目でみながら呟くキラー。その側で獣人メンバー一同、アリンに呆れた目を向けていた。
キャシャロットはイカ焼きを齧りながら冷めた目を向ける。
「天井を設けたので、2800石溶かせばSSRが一つは出た筈ですが」
「出たけど、武器じゃないんだ」
整備士の大映正一はそう言うと、半透明の結晶板——地球でいうモバイルに当たる——を操作し、アイテムを表示した。
それを見てキラーは怪訝に思う。
「女性の‥‥ポスター? 誰だ、これは」
「魔王を倒した勇者パーティーの一員らしいぜ。スイデンという国の令嬢騎士で魔法戦士なんだと」
そう答えて正一は性能画面を表示する。
金髪巻き毛縦ロールの美しい女騎士が映ったポスター。魔法仕掛けなのだろう、その女性が信頼に満ちた眼差しを向け、手を差し伸べる動作つきで語りかけてくる。
『あなたとなら、どこまでも行けますわ』
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【強い意志の伴侶】支援Ⅳレベル
防御と回避が3.5%上昇する。防御回避タイプは攻撃と防御がさらに2%上昇する。
スピリットコマンド【チアー】2回。
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アリンは格納庫の床を叩いた。
「Sクマーベアーは攻撃特化タイプだぞ! 一致ボーナスが貰えないじゃないか! こんな後ろ向きな装備品じゃなくて、断艦刀はいつ出るんだアッー!」
そんな彼女をちらとも見ず、正一は顎に手を当てて考えた。
「とりあえず今回のアイテムは一軍のどれかに、RやSRの武器は別の部隊に回すか」
「この国の正規兵がアテになるんですか?」
疑わし気にジト目を向けるキャシャロット。
だが正一は頷いてみせる。
「これからは違う、と言いたいね」
「ああ。そう言ってもらえるようにしたいもんだ」
そう横から口を挟む者が一人。
鎧で武装した人間の戦士ではあるが‥‥キラーはその顔になんとなく見覚えがある。そして相手から感じる、そこそこ高めの異界流。
「君は‥‥」
キラーに相手は頷いた。
「種岩と一緒に転移してきた一人さ。名前は木戸統児。俺もようやくロボットの訓練を終えたぜ。しばらくは国内の警備をやる事になった。いずれは一緒に戦えるようになりたいもんだな」
共に転移してきた同級生達も、帰れぬとなればなんとか生き方を探すしかない。何人かはハイマウンテン国でキラーと共に戦う道を選んでくれた‥‥ソフィア然り、正一然り。そして統児もまたその一人なのだ。
「期待して待っているぞ」
軽く笑みを浮かべるキラー。
統児も冗談めいた苦笑を見せる。
「はは、こりゃプレッシャーだ」
「ま、他にもロボットの訓練している奴はいるし。一人で頑張りすぎる事もないぜ?」
正一が言うと、スフィル王子は悩んで眉を寄せる。
「聖勇士が増えるのはありがたいです。真魔界大隊は既に何人も投入していますから‥‥」
彼にはアーマルベン国が一度は陥落させられた苦い思い出がある。
その言葉を聞き、統児は浮かぬ顔になった。
「俺達と一緒に転移した奴らも、その中にいるんだろうな‥‥」
マンドリオが腕を組んで考える。
「敵の聖勇士を捕らえて従わせる事ができればいいのですが、生け捕りにできるような機会がありませんでしたからな」
「イケメンな奴がいたら捕らえよう!」
こちらはセファラス女王。全く正反対の能天気な言い分だ。
「顔はともかく、次に会った聖勇士はできれば捕まえるよう気を付けよう」
キラーがそう告げたのは、敵の中に自分の同級生がいる事と無関係では無いだろう。
「一応ですが、現時点の情報だと、ウェスパレス国が魔王軍と手を組んでいる様子はありません。だから聖勇士に関してはそれほど心配いらないでしょう。ただ‥‥こちらに匹敵する数の国を既に従えているようですから、国力は要注意ですね」
キャシャロットがそう告げると、マンドリオが頷いた。
「あの国は昔から武闘派ですからな。帝王も何人か輩出している強豪国の一つですぞ」
「いよいよまともな強敵との戦か。面白れえ」
サイシュウがニヤリと笑う。自信ありなのはいつもの通りだ。
そうやって相談しているとティア姫が格納庫に入ってきた。
足取りも軽く小走りで駆け寄ってきて、一同を見渡し、晴々とした笑顔を見せる。
「皆さん、明日の朝に出発ですよ。準備をしておいてくださいね」
「お、今回は姫さんもやる気だな」
いつにない姫の態度にサイシュウは感心した。
ようやく闘志の一つもわいたか、と思いきや——
「はい! あちらのマックス国王様が、首都で歓迎会を催してくださるとの事です」
軍は連れず、えり抜きの精鋭を護衛として単艦で来てくれ。
王城で今後の話を前向きにしよう。
歓迎会の席で、肚を割った関係を築きたい。
——それがウェスパレスからの申し入れだった。
「‥‥罠だろ」
呆れるサイシュウ。後ろで一同が同時に頷く。
それを見てティア姫は「えっ」と驚き、悲しそうに沈んだ。
「どうしてそんな事を‥‥。戦を避けられるんですよ?」
以前、ウェスパレスの使者が「従うか戦うか」という選択を突き付けて来た事は、彼女の頭の中ではどうなっているのか。
方針転換してくれた! 仲良くできるね、良かった!‥‥となっているのだ。
「この姫さん、平民に生まれてたら産毛全部抜かれるまで騙され続けてくたばってたろうな」
呆れるサイシュウ。
後ろで一同が同時に頷いた。
【登場キャラ解説】
主人公の同級生 木戸統児
元々アウトドア趣味があり、キャンプが好きでよく山や川辺に出かけていた。
高校を卒業したら適当に就職し、独り暮らししながら一泊ソロキャンプを毎月やろうと計画していた。
そんな考えがちゃらんぽらんに見られ、親との関係はいまいち良くなかった。
異世界インタセクシルに転移したが、期せずして山中の都市国家に身を寄せる事になったので、いっそ国境線あたりを泊まり歩きながら生きようと考えて兵士に志願。
勤務地を選べるようになったら関所か山中の見張り塔に行きたいと考えている。




