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5 タイガー抹殺拳の巻 1

キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

——ハイマウンテン城・大浴場——



 心地よい湯舟の中で、サイシュウは体をほぐしながら呟いた。

「次はどこに向かうか、指針が無くなっちまったな」

 対してティア姫はほっと安心。

「ではしばらく守りに専念できますね」

「なんだと! 波に乗っている時こそ攻め続けるべきだ! 次は金持ってそうな所を叩きのめして植民地にしよう!」

 息巻くアリン。顔がほんのり赤くなっているが、湯のせいなのか興奮のせいか。

 ソフィアはしんどそうに溜息をつく。

「真魔界大隊の動きがあるまでは静観でもいいんじゃない?」

「そんな弱気でどうする! おい新入り、お前も手柄を立てたいだろう? こいつらに何か言ってやれ!」

 怒鳴るアリンの矛先は、少し離れた所にいるスフィル王子へと飛び火した。


 スフィルはと言えば、肩まで浸かって赤い顔で俯き、声にも力が無い。

「あ‥‥いや‥‥僕は、別に‥‥」

「下ばっか見てないでこっちを向け!」

 苛立ったアリンが立ち上がり、大股でスフィルに迫った。肩をむんずと掴まれ、女性陣の方へ引っ張られ、スフィルは悲鳴をあげる。

「や、やめてください」

「後進国の格下が私に逆らうかー!」

 反抗されたのが気に入らないアリンはムキになって引きずって行こうとし、背後から羽交い絞めした体勢でスフィルを抱える。

「そ、そうじゃなくて!」

 接する肌を離そうともがきながら、スフィルは下半身が湯の外へ出ないよう死守していた。



 ヘイゴー連合内の温泉は混浴の方が多い。

 温泉だから当然だろう、という考えで、あまり異性を意識しないようにしながら男女で同じ湯に浸かる。

 だが意識しないでいられる者ばかりではないのもまた当然なのだ。

 特に今回のケースでは、全裸の女性に後ろからとはいえ密着されている事もある。


 だがその時、救いの手が!


「わいせつ禁止」

 そう言ってキャシャロットが頭を下げた。別に礼をしたのではない。頭頂部から白濁した液体が噴射され、アリンの顔面に吹きつけたのだ。

「‥‥!!!!」

 怯んで手を離したアリンからスフィルは逃れた。

 だがキャシャロットは容赦せずに白濁液を噴射し続け、アリンの上半身をべとべとにしてしまう。



※抹香鯨獣人(ワーマッコウクジラ)には、体内で精製した油を敵へと噴き出す特殊能力がある。これはブレス攻撃の一種であり、陸上では敏捷性が大きく落ちる弱点を補うために進化・獲得したのだ。

 粘度の高い油まみれになった標的は動きを緩慢にされ、また着火する事で相手を火達磨にできる。



 粘液まみれでもがくアリンを指さし、キャシャロットがキラーに訊いた。

「火をつければとどめを刺せますが」

「うむ‥‥」

 考えるキラー。


 だが答えが出る前に、外からセファラス女王が駆け込んできた。全裸で。

「大変じゃ! 大変なのじゃ!」

「いいから前ぐらい隠せ」

 げんなりして言うサイシュウ。

 セファラスは湯に飛び込みながら怒鳴る。

「見なければいいじゃろう! でも耳はこっちに向けろ! そして聞け! 宣戦布告してきた奴らがいるぞ!」

「なんだと‥‥?」

 振り向くキラーへ、セファラスは真剣な顔を向けた。

「ウェスパレス国の奴らじゃ。従うか、さもなくば戦うかだと」

「ウェスパレス?」

 疑問に思うキラーに、湯の外で体を洗っていたマンドリオが説明する。

「虎獣人(ワータイガー)の王が治める国ですな。武闘派で有名ですぞ」


 震えながらティア姫が、か細い声で提案する。

「なんとか宥めて、仲良くする道を探しましょう」


 だが顔を湯で洗ったアリンが拳を握った。

「よーし、叩きのめして下僕にしてやるぞ!」

「受けて立つしかありませんな」

 マンドリオが賛同する。

「ああ、思い知らせてやるのじゃ!」

 報告したセファラス自身も息巻いていた。


「戦いとなれば僕も全力を出しますが‥‥開戦の方向でよろしいんですか?」

 スフィル王子はキラーへ訊ねる。戦うと決めつけているわけではないが、拒むつもりはさらさら無い。

「無論だ。頼むぞ」

 キラーのその返事に、力強く頷いてみせた。


 おろおろするが文句は言えないティア姫。

 ソフィアは深い溜息をついた。

「ほんと、好戦的なヤツ多すぎ‥‥」

定期的に風呂回は入れているのだが、よく考えたら女体の描写をやっていないので無意味かもしれないな。

まぁいい。

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