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4 虜囚解放の巻 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

「母上!」

「スフィル!」

 ひしと抱き合う親子二人。キラーの目からは中高生の兄と小学生の妹が抱擁しているようにも見えるが、まぁいい光景なので邪魔はしない。



——大灯台・最上階——



 ワンフロアで一室、壁一つない広い部屋の中央に、魔力じかけの巨大な投光器が設置されている。

「ここが最上階だが、どうやって脱出するんだい?」

 エウリュア王女はキラーへ訊いた。

 脱出のために二人を先導したキラーは、フロアの際に寄って懐から次のアイテム——信号筒を出す。

 それを宙へ向け、発射。

 火の玉が空へ飛び、青い火花が盛大に爆発した。


 魔術も併用してはいるが、要するに花火であり、信号弾である。


 一分ほどで巨大な物体が大灯台めがけて飛来してきた。

 出番をまって準備していた戦艦Cバエナガメランである。

 それを見てスフィル王子が慄いた。

「と、跳び乗るんですか?」

「俺はな。君達は待っていてくれ」

 そう言うとキラーは躊躇(ためら)う事なく跳んだ!


 だがその背に大きな布が広がる。それは風をうけ、キラーの体を滑空させた。

 これが有名なニンポー・ムササビの術である。

 キラーの体は吸い込まれるように戦艦へ向かった。


 Sゲイルイーグルが灯台へ王子と女王を迎えにきたのは、そのすぐ後の事である。



——Cバエナガメラン・ブリッジ——



 連れて来られたエウリュア王女を見て、ソフィアが弾んだ声をあげた。

「あら、可愛い! こんにちは」

「いやいや、お嬢ちゃんこそ。ウチの息子の嫁に来るかい?」

 にこにこしながら言う王女に、ソフィアが微笑んだまま「?」を浮かべ、スフィル王子の母(・)親(・)を(・)奪還しに行った事を思い出して目を見開いた。

「お、お若いんですね‥‥」


 一方、王女を見てサイシュウは面白くなさそうだった。

「‥‥出て来る女がどんどん幼くなってんぞ」

「実年齢は上がっていってますから」

 キャシャロットがそう言っても「そういう逃げ道はいらねーんだよ」と不貞腐れたままだ。



 だがいつまでも性癖の話をしてはいられなかった。

 警報が鳴り、ソフィアが慌てて席へ戻る。

「敵が出ました!」

「い、急いで逃げ‥‥」

 ティア姫が指示を出そうとしたが、それをキラーが遮った。

「奴らを倒してアーマルベン国を解放する」

「僕も出撃します! 機体のある所に向かってください」

 スフィル王子が力強く言うと、ソフィアが「了解!」と言って艦を操作する。

 おろおろする姫の意思とは無関係に、バエナガメランは港を飛び越え、海岸に突き出た崖へ向かった。



——港のドック内——



「チッ‥‥女王を奪回されるなんぞ使えないにも程がある。あのヤロー、やられやがったか」

 そう毒づくのは武装した魔法戦士だ。目つきの悪いフェードカットのこの少年も、地球から召喚された聖勇士(パラディン)だった。

 彼は戦艦に乗り込むと真っすぐブリッジへ向かう。

 既に待機していた魔物兵達へ「出せ!」と横柄に命令した。



 艦がドックから出ると、敵の空飛ぶ亀艦が海岸に着陸するのが見えた。

「フン‥‥陸で戦うか。まぁそうだろうよ」

 彼は魔物兵達に前進を命じる。

「二段構えの攻撃にどう対抗するか‥‥見せてもらうぜぇ」



——浜辺——



 着陸したバエナガメランの周囲には、既にハイマウンテン勢の機体が出撃していた。

 Sベアークマーの中で高らかに笑うアリン。

「ウェーハッハ、これだけ白銀級機(シルバークラス)があればどんな敵部隊も楽勝だ」

「油断するな‥‥と言いたいが、まぁそうだろうな」

 Sヒババブーンの中でマンドリオも頷く。


 普通の部隊なら隊長格の白銀級機(シルバークラス)が1~2機、残りは量産型の青銅級機(ブロンズクラス)で揃える。

 だがバエナガメランに配備された機体は全てが白銀級機(シルバークラス)だ。頭数こそ少ないが、こんな部隊は滅多に無い。


 と、セファラス女王がSモールラットの中から皆へ通信を送る。

「あれが敵艦らしいぞ」

 海岸線に沿って海上を迫りくる巨大な艦は――


 黒い半球。両目をギョロギョロさせた、巨大な頭だった。


「敵艦名は‥‥ええと‥‥Cマリンボーズよ!」

 敵をサーチした結果を艦から伝えるソフィア。


 身構えるハイマウンテン勢。

 だが敵艦は大きく口を開けた。

 そこから吐き出す大量の海水が、おおきくうねって高波となる!

 高波は海岸を呑み込み、水の底に沈めた。


 押し流されそうになったり、本当に押し流されたりと混乱に陥るハイマウンテン勢。

 だが波に翻弄される艦の中で、エウリュア王女が必死に叫んだ。

「いかん! この後に来る武器は‥‥!」


 マリンボーズが海中から両手をもたげた。その手には巨大な手持ち太鼓とバチが!

 バンバンと太鼓を叩くと、そこから稲妻が生じる。それは海面へと流れ、水中を拡散した。

 高波の中でもがくハイマウンテン勢を、容赦なく電撃が襲う!


 あちこちから火花を飛ばすガメラン。

 そのブリッジでエウリュア王女が額を叩いた。

「こ、この武器で無敵の海軍を誇る我が国もやられたんだ‥‥」

「おいィ!? 敵の情報を出し惜しみするバカがあるかー!」

 クマーベアーからアリンが通信機越しに叫ぶ。もちろん彼女の機体も水底で火花を吹いていた。

 頭を掻いて謝る王女。

「あー、すまん。高波の方は、今、初めて見てな。まさかそんな物を組み合わせてくるとは‥‥」


 しかし、その時。


 キラーの肩で、ストライクが「シャー」と息を吐いた。

 直後、戦場に響き渡る音が!


 ヴォーヴォヴォー‥‥



「ん? 法螺貝?」

 その音を聞いて、敵艦の中で魔法戦士が訝しむ。



 突然、どこからともなく。

 黒い影が走った!

設定解説


・高波の方は、今、初めて見てな


つまり稲妻攻撃だけで、アーマルベン国の誇る海軍は撃破された。

海上・海中での戦いを得意とするアーマルベン海軍にとって、自身は防電処理を施したうえで電撃攻撃を放ち続けるCマリンボーズは、相性的に苦手とする相手だったのだ。

もちろん圧倒的に有利になるようスターゲイザーが調整したが故である。

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