4 虜囚解放の巻 2
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
浴場を出た後、キラーは城の格納庫へ向かった。
そこでは自機や戦艦が修理・補給されており、いつでも出撃できるように整備されている。
壁際の大きなハンガーに背を預けて立つSゲイルイーグル。
その前で作業していた整備士がキラーに気づく。
「よう、種岩。いつでも艦に積み込めるぜ」
その呼びかけで気づく。着ている作業服はこの城で支給された物だが、作業員は己の同級生だ。
「整備士になったのか」
そう言うと相手は頷いた。
「まぁな。どうせ卒業したら家を出てバイクの会社に行こうかと思ってたし」
彼と話しているうちに、相手の名前が大映正一であり、単車が趣味なのだと知る。
「お前とか旭日さんが働き出したのを見ると、俺も何かしなくちゃと思ってな。ロボット動かしてみたし、剣も習ってみたけど、どうも下手糞で‥‥。ただ格納庫の作業を手伝ってると、これならできそうな気がしたから、ぼちぼち使ってもらってんだわ」
そう言う彼は、特に帰りたいと思ってはなさそうだった。
彼の言う事には‥‥趣味が単車で時間も金もそれに使う彼を、家族はどうも不良だと決めつけているようだ。そのせいで彼は家族と折り合いが悪かったらしい。
そんな正一は、キラーからこれまでのイーグルでの戦いを聞いて、どうも気になる事があるようだった。
「そのニンジャロボの事だけど、どうにも不思議なんだ。合体するための接続部みたいな部品、イーグルにもベアーにも無いんだぜ」
鎧状になったヒエイマルと合体した以上、普通に考えれば差し込み口や固定用の金具などがある筈だ。しかしそんな物は二機とも用意されていないのである。
「話に聞いた通りだとすると、接着剤か何かで貼り付けてるとしか思えないんだけどな‥‥」
正一にそう言われ、キラーも頭を悩ませる。
「ヒエイマルが一方的に他のケイオス・ウォリアーへくっ付いているわけか」
しかしどうやってなのかは、二人にはちっともわからない。
二人が考え込んでいると、やかましい悲鳴が聞こえた。
「ガギゴゴオ‥‥!!」
その声の方を見ると、様々なパーツに囲まれた中、アリンが床に蹲っている。
それを遠巻きに眺めながら、ソフィアがキラーへ近づき訊いてきた。
「ねえ、あれは何してるの?」
無論、キラーにわかるわけがない。
だがキャシャロットが傍にきて教えてくれた。
「アイテム生成が思い通りにいかなかったようですね」
アリンの手には、アイテム作成用の特殊な壺があった。半透明の容器の中に様々な光彩の混じった気流が、いくつも、無秩序に対流している。
※ケイオス・ウォリアーの操作に必要な次元の力・異界流。それは物質に籠める事もできるし、それを利用したパーツがいくつも存在し、実用されている。
そうした物質に宿る異界流の力をケイオス・オア・コスモ・パワー‥‥COCPと呼び、この世界の工員達は部品の作成に使っているのだ。
「何かしらのパーツはできているようだけど?」
ソフィアはアリンの周りに散乱しているパーツを見ながら訊いた。
しかしキャシャロットは首を横にふる。
「彼女が使っている生成用の壺はD・D・ガッシャー式という特殊なタイプです。変化・変換にランダム性を持たせたタイプで、あれにCOCPを宿らせたクリスタルを投入すれば、低確率で投入COCPを超えた強力なアイテムが作成されます」
「つまり高確率で、投入COCPに見合わない安物が輩出されるんだな」
なんとなく察したキラーが訊くと、キャシャロットは顔色一つ変えずに頷く。
「まぁSSR排出率は約3%という所でしょうかね」
そんな話の間にも、アリンは虹色の石を壺に突っ込んでいた。
光が渦巻き、壺から飛び出し、床の上で形を成す。
手持ち近接武器の部品らしいが、それを見たアリンは頭を抱えた。
「アッー! また汎用武器のパーツだアッー!」
「なんか上手く行ってないみたいね?」
眉を寄せるソフィア。
正一は部品を眺めて「うーん‥‥」と難しい顔をする。
「さっきからケイオス・ウォリアー用ロングソードの部品ばかり出てるな。余らせても仕方ないし、目方で売りとばすしか‥‥」
アリンは壺を掴んで振り回していた。
「なんでクイジナートブレードが出ないかアッー! 本当にSSR武器が出るのかこのクソツボがアッー! 石が全部溶けたアッー! 」
なお石を買った金は彼女の自腹である。
彼女の脳内計画では、SSR武器を複数手に入れてSクマーベアーがパワーアップする予定だったのだ。
ストライクが体色を橙色に変えていた。
「あんな悪い文明の壺、誰が作ったのよ」
げんなりするソフィア。
それにキャシャロットが冷静に答える。
「最初に開発したのが誰かは知りません。あそこの壺は私が作りましたが」
「えっ!? 行商人でメイドだった貴女が、どこでそんな技術を学んだの?」
驚愕するソフィア。
それにキャシャロットが冷静に答える。
「実家です。両親は魔法道具の職人で、D・D・ガッシャーを何種類も造っていました」
「なぜそれで行商人へ丁稚奉公に?」
首を傾げるソフィア。
それにキャシャロットが冷静に答える。
「父と母は壺につぎ込むのも好きなので、他所のメーカーの壺で溶かして‥‥」
「あ、うん、わかったわ、もういい、ゴメンね?」
謝って話を終わらせるソフィア。
それにキャシャロットも冷静に頷き、辛い過去のお涙頂戴話は終わった。
「どうやら出発の時のようだな」
壺に興味なさそうなキラーは泣いて蹲るアリンに背を向けた。
ソフィアも頷き、力いっぱい同意した。
「そうね。もうさっさと出発するべきね‥‥」
再び戦いの時が来た‥‥!
【登場キャラ解説】
主人公の同級生 大映正一
地球では単車が趣味だった男子。
時間も金もそれに使う彼を、家族は不良だと決めつけ、折り合いが悪かった。卒業後はどこかのメーカーか工場に就職して家を出ようと考えていたが、異世界インタセクシルに召喚されてしまう。
主人公達が現地の軍で戦っているのを見て、この世界の兵器の整備工に志願した。




