3 地下で渦巻く陰謀の巻 8
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。
スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
「というわけでカパード国が傘下に入りました」
キラーが報告すると、セファラス女王は頭を下げた。
「よ、よろしくお願いする‥‥」
「え、ああ、うん‥‥こちらこそよろしくお願いします」
戸惑いながらも頷くサンタナ王。
ハイマウンテン国・王城、謁見の間。
居並ぶ家臣達もざわめいていた。仰天して目を丸くしたままの者、戸惑いおろおろする者、「またか‥‥」と溜息をつく者。
なにせ調査に出かけただけなのに、出先の女王を従えて来たのだ。ついこの間、防衛のため出撃したと思ったら相手国の王を捕えて来たばかりである。
キラーを雇った時、ここまでやると予想していた者など一人でもいるだろうか。
キラーの同級生達は「やるじゃん!」「さっすが」と賞賛していたが。
中には「もう全部あいつに任せておけばいいんじゃないかな」と言う者さえいた。流石にそれには、ソフィアを始め顔を顰める者もいたが。
そんな中、アリンは得意気に胸をはる。
「ハイマウンテン国の属国もだいぶ増えたな。ナンバー2のコリーン国としては鼻が高いぞ!」
マンドリオがぎろりと睨み、セファラス女王も鼻息を荒くする。
「いつ貴様らが2番になったのじゃ?」
「貴様は穴の底でもがいていただけだろうが!」
青筋を立ててアリンは怒鳴った。
「なんだとう! 後進新参国が優秀民族の先輩に口ごたえするのか!」
王が大慌てで口を挟む。
「と、とにかくこれだけの国が集まれば、もうおいそれと攻められる事はないだろう。後は魔王軍残党の動きにだけ注意しておけば‥‥」
王にしてみれば、自国周囲の不穏な動きから防衛するためにサイシュウとキラーを雇ったのである。周囲が大人しくなれば、当然、守勢にまわりたいのだ。
だがそんな王の気持ちをブッた斬るかのようにキャシャロットが言いだした。
「その残党なら私の故郷にも居るようですよ。カパード国とは比べ物にならないぐらいの数がね‥‥」
「故郷? キャシャロットさんはどこの方なのでしょう?」
訊ねるティア姫に、キャシャロットは身の上を話しだす。
「カパードの向こうにある港湾都市国家のアーマルベン国です。私は両親が散財して家を傾かせた年に、丁稚奉公で行商人に身売りしたのですが、カパード国まで旅をした時、予定より売上が出なかった旦那に城へ売られてメイドへ転職しました」
「なんだか波乱に富んだ生き方ね‥‥」
側で聞いていたソフィアが感心していた。
一方でマンドリオは別の点に疑問を持つ。
「しかしカパードのどこに魔王軍が?」
「海上だそうです」
「う、海?」
さらりと答えたキャシャロットに、セファラス女王が目を丸くする。
キャシャロットは頷き、そして付け加えた。
「沖の海中に竜神が住んでいて、大いなる力と大いなる知識を持つという伝説があります。そこら辺の関係かと」
「ふむ。聞いた事がある。全ての動物の祖である竜神の、直系の子供達‥‥それが五頭の上位竜。その一匹がカパード国の沖の海中で暮らしていると。竜にして荒ぶる神であり、その息吹は天を裂き、尾の一撃は大地を割るという」
マンドリオが腕組みして唸った。
さらにサイシュウが己の頭をつつきながら思い出す。
「そういや、魔王軍はその上位竜を一頭捕まえてた事があったな。その細胞を利用して改造人間を造ってたぜ」
「いかにも悪の組織ね。今の残党も同じ事を狙っているのかしら?」
「ありそうですね」
ソフィアの疑問に頷くキャシャロット。
しかしそんな彼女にアリンが訊く。
「ところでさっきからずっと『~だそうだ』みたいな話し方をしているが。お前の故郷の事なんじゃないのか?」
「はい、そうです。でも私が出た後の事なので、人づてに聞いただけです」
事も無げにそういうキャシャロットには、故郷を心配している素振りなど全く無かった。
「どうやら探る必要があるな」
そう言うキラーの目は鋭かった。
その脳裏に浮かぶのは、カパード国で会った、魔王軍に降った元同級生。
戦いが終わった後で城の地下へ戻り探してみたが、彼はどこかへ消えていた。
(魔王軍残党に回収されたのか? 他にも魔王軍についていった奴らがいる筈だから、今後はそいつらと出会う可能性もある‥‥)
「え、あの、他国の海上なら下手につつかなくてもいいのでは‥‥」
小さな声で、ティア姫が恐々と訴えた。
しかしサイシュウが「ククク‥‥」と楽しそうに笑う。
「次の遠征先は決まりだな。そこの王様が魔王軍とつるんでるなら、ついでにヤキ入れてくるか」
「え、いや、あの、最初から戦う前提で行くべきではないかと‥‥」
小さな声で、ティア姫が恐々と訴えた。
しかしアリンが意気揚々と声をあげた。
「よーし、世界最高民族の海上戦闘を見せてやろう!」
腕組みして頷くマンドリオ。
「無論、我々も戦いますぞ」
苦笑しつつもセファラス女王がやる気に満ちた顔をあげる。
「新参の私が怠ける事はできんのじゃろうなー」
「え、いや、あの、その、もう少し静観した方が‥‥」
小さな声で、ティア姫が恐々と訴えた。
その後ろでソファイが溜息をつく。
「どうしてこう、戦いたがる奴ばかり集まったのかしらね‥‥?」
設定解説
・その細胞を利用して改造人間を造ってたぜ
そして改造人間達は離反し、魔王軍打倒の主力となった。
世界を超えて不変の真理はあるのだ。




