3 地下で渦巻く陰謀の巻 6
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。
一時間もせぬうちに、キラーはキャシャロットを抱えて街の外へ駆け出た。
だが地の底からセファラス女王の声が響く。
『よくも好き放題やってくれたな! 私が成敗してくれる!』
そして土中から飛び出す、ハダカデバネズミの頭部を持つ重装甲のケイオス・ウォリアー!
さらに続いて、周囲にも土中からモグラの頭を持つ量産型の機体が現れた。
「生身の俺達を追うのに、ご丁寧にも軍を動かしたか」
呆れるキラー。
そんな彼へ敵の一機が照準を合わせる‥‥!
だが突然、巨大な物体が敵軍の中へ突っ込んだ!
モグラ機達は勢い良く撥ね飛ばされる。
「間に合ったみたいね!」
その巨大物体——亀戦艦Cバエナガメランから、ソフィアの声が届いた。
モグラ軍団が立て直そうともがく間に、着地した艦へキラーは走る。
入れ替わりに飛び出す三機のケイオス・ウォリアー。
その一機、Sベアークマーの操縦席でアリンが威勢よく叫んだ。
「よーし、私の強さを見せてやるぞ。べあー!」
女騎士から熊騎士へと変身し、その機体を全力で突撃させる。未だよろめいている敵軍へと!
そして、落とし穴にまともに嵌って胸まで落ちた!
モグラ軍団からの、鼻ドリルと熱線ビームの集中攻撃!
動けないベアーを容赦なく撃つ!
「ガギゴゴー!」
響くアリンの断末魔!
「お、落とし穴!?」
ブリッジでティア姫が慄き、Sヒババブーンの操縦席でマンドリオが渋い顔をする。
「一つとは限りません。これでは迂闊に動けませんな」
一方、セファラス女王は高笑い。
『ははは、撃て! 撃てー!』
指示に従いモグラ機軍団から無数の熱線が飛んできた!
しかしサイシュウがSサンライザーで味方の先頭に出る。
その機体に当たる筈の熱線が、光のカーテンでことごとく消滅した!
一方、サンライザーはその頭部を輝かせると、お返しとばかりにビームを撃ち返す。
それは次々と敵を貫き、爆発させ、行動不能にした。
バリアごしに敵を見ながら笑うサイシュウ。
「撃ちあいなら勝てると思ったかよ?」
だがしかし。
サンライザーの足元に亀裂が走り、そのバランスを崩した。
亀裂はそれに留まらず、艦や他の機体の足元にも生じる!
大得意の女王。
『ふははは、馬鹿め! 貴様等の真下を掘っていたのだ! 奈落へ落ちろー!』
落とし穴は前もって用意されたのではない。
地中行動できる機体を豊富に持つ軍の特性を活かし、戦闘中に必要な場所へ掘っているのである!
女王の前で、ハイマウンテン軍の足元は崩れ落ちた。
機体も艦も落下する——ケイオス・ウォリアーの膝ぐらいの高さを。
もちろん、この程度では各機とも行動不能にならない。
一瞬よろめいたぐらいの物だ。
目をぱちくりさせる女王。
『え? 深さあれだけ? そんな馬鹿な‥‥』
落とし穴作成隊が、そんな深さに掘るわけがない。
一方、サイシュウは操縦席で笑っていた。
「ああ。オレが落とし穴を消去した。空亡獣人のオレには、望む物を消去する反則能力があるからな」」
わけがわからず叫ぶ女王。
『落とし穴を消去ってどういう事じゃー!? 土が無いから落とし穴じゃろ!』
「だからその落とし穴が無い事になったんだよ」
サイシュウは当然だと言わんばかりだ。
納得はともかく、マンドリオは機体を前進させる。
「よし、接近戦ができるならば私が奴らを撲滅してきますぞ」
Sヒババブーンはのしのしと敵へ、女王の機体へ向かう。
が—―
突如、ヒババブーンの周囲で「パン!」と音が鳴った。その周囲が何かのレンズを通したかのように歪む。
すかさず突進する、女王の機体。
咄嗟にヒババブーンはそれへラリアートを繰り出した‥‥が、敵の巨大な歯で叩きのめされてしまう!
大出力を誇るヒババブーンが明らかにパワー負けしているのだ。
「な、なにぃ!? これはもしや‥‥酸素半減空間!」
周囲の空間を見て慄くマンドリオ。
『ほう、知っているのか。いかにも、酸素濃度を約半分にした結界よ。貴様の機体に【異空間】の地形適応はあるまい!』
女王の勝ち誇った声が通信機から届いた。
モールラットのドリル前歯が弱ったヒババブーンを抉る!
「ぐわあー!」
火花をあげて倒れる機体の中で、マンドリオが断末魔をあげた。
ヒババブーンを踏みつけて勝ち誇る女王。
『ふふふ、次はどいつだ! そこの変な機体か、亀か、忍者か‥‥忍者は‥‥どこ?』
きょろきょろと周囲を窺うモールラット。
すると、いた。
キラーの乗るSゲイルイーグルが。
少し離れた所で、空から手裏剣を投げ続けている。
その下には撃破された量産型のモグラ機が何体も。
生き残っているモグラ機どもが熱線を撃って応戦しているが、高速で飛行するゲイルイーグルを捉えられないまま、一機ずつ倒されてその数を減らしていた。
女王がハイマウンテン軍と戦っている傍ら、あっちはあっちで戦っていたのだ。
イーグルは空を飛んでいるので、落とし穴殺法も意味が無かったらしい。
『こ、こらー! 黙々と何やっとんじゃー!』
怒りの心頭の王女が吠える!
こうなったら己が叩きのめしてやろうと、イーグルの方へずかずかと歩いて行くが――
しかし、その時。
キラーの肩で、ストライクが「シャー」と息を吐いた。
直後、戦場に響き渡る音が!
ヴォーヴォヴォー‥‥
『法螺貝?』
その音を聞いて訝しむセファラス女王。
突然、どこからともなく。
黒い影が戦場を走った!
その影を機体の目で見て、キラーが呟く。
「来たか、ヒエイマル」
設定解説
・酸素半減空間
その名の通り、酸素濃度を約半分にした結界。
この範囲内の地形は「異空間」に上書きされるが、ほとんどのケイオス・ウォリアーにそんな適応設定はされていない。よってまともなパワーは出せなくなる。
結果、「地形適応・異空間S」のSモールラットは相対的に4倍くらいのパワーを発揮できるのだ。




