その頃、別の場所にて 3
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。
――人里離れた山中の塔——
大きな部屋の床、中央に魔法陣がある。数人の人間が同時に余裕をもって入る事のできる物が。
それが輝き――まさに数人、光の中から魔法陣へ出て来た。
光が収まり、彼らは外へ出て来る。そしてそのまま部屋の外へ。
先頭にいるのは魔術師スターゲイザー。魔王軍残党、真魔怪大隊の首領。
彼のすぐ後ろにいるリザードマンの騎士が、つき従いながら尋ねる。
「使えますかな、あの国は」
彼らが先程までいた地の事だ。
スターゲイザーの声は冷たい。
「大した期待はしていない。だがこのヘイゴー連合を手に入れるには、頭数が必要になるからな。しばらく良い気分を味あわせておけ。案外、旗頭を務めてもらう事になるやもしれん」
魔王軍は何年も人類を苦しめ、この世界を滅ぼす一歩手前まで追いやった。
その強大な戦力の、もし一部でも手にできたら‥‥と、考える者もいるだろう。
スターゲイザーは、まさしくそういった者達と手を組んでいたのだ。
一行が塔の廊下を歩いていると、窓から外の訓練風景が見えた。
剣と魔法での、獣を相手にしての戦闘。戦わされているのは他の世界から召喚された青少年達。
彼らはスターゲイザーに召喚された聖勇士で、キラーの同級生達も少なからず混じっている。
歩みを停めず、しかし半魔族の魔術師が横目で見ていた。
「使えるレベルに到達する者も日々増えております。順調と言えますでしょうねぇ‥‥」
「しかし、全く別の世界から来て、順応できるものなんですな」
ダークトロールの戦士が感心する。
そんな彼に、スターゲイザーは外をちらとも見ずに答えた。
「できるさ。その素質を持つ者を選別しているのだから。それは私が一番よく知っている」
真魔怪大隊での聖勇士召喚は、スターゲイザーが一手に行っている。
その召喚儀式には、目的に沿う者のみに絞るため、彼独特の改良がなされているのだ。
それはこの世界のこの時代の魔道技術に比べ、一段上のものだった。
「聖勇士の召喚を、一度にあれだけの数、選別の条件まで付け加えて‥‥スターゲイザー様の魔力はかつての四大隊長を超えたでしょうな」
部下の一人がそう言ったのは、媚びでもおべっかでもなく、単なる彼の感想に過ぎない。
しかしスターゲイザーは肩越しに訊く。
「この力をもっと早く手に入れていれば‥‥と言いたいか?」
「そ、そういうわけでは!」
その部下は慌てた。
しかしスターゲイザーにはそんな態度を気にする様子も無く、静かに呟くだけだ。
「そうか。他ならぬ私自身がそう思っているのでな」
一行は別の部屋に入った。
机で書類の山を整理していたダークエルフの魔術師が立ち上がり、数枚の書類をスターゲイザーに差し出す。
「お疲れ様です。他の地域での現状です」
他の地域。
先刻までスターゲイザーが出向いていたのとは違う場所。
それが意味する所は――真魔怪大隊と手を組む意のある地域が複数ある、という事。
「ご苦労」
スターゲイザーは書類を受け取り、手早く目を通す。
やがて一枚を選んで抜き出し、ダークエルフに返した。
「‥‥ここを見に行く。お前の部下を一人か二人、用意しろ」
「はっ!」
恭しく頭を下げるダークエルフ。
彼らの活動は続いている。
深く、静かに――。
設定解説
・この世界のこの時代の魔道技術に比べ、一段上のものだった
別の世界からの召喚魔術で呼ばれるのは、ある程度の体力とケイオス(この世界のロボットを動かすパワー)を持っている者、という条件を満たしている。
動けないケガ人やロボットの操縦ができない者に来られても戦果を期待できないので、あらかじめ条件をつけて召喚対象を選別しているのだ。
また一度に呼べるのは基本一人で、数人召喚するには設備や人員などでの補助が必要。
スターゲイザーはたった一人で召喚術を行使し、召喚対象への条件を増やした上で、二十人以上を一度に呼んでいる。
こんな事ができるのは、現状、この世界では彼だけである。




