↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/137

2 状勢激動の巻 10

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

「というわけでニスケー国を平定しました」

 帰還したキラーは王の間に直行し、サンタナ王に戦果を告げる。

 その横でタイコウサン王——燃える艦から辛くも脱出していた――が、恭(うやうや)しく頭を下げた。

「ハイマウンテン王よ、今後はそちらを宗主国として従いましょう。よしなに」


 王は目をぱちくりさせ、ぎこちなく頷いてから、なんとか声を絞り出す。

「え? あ、ああ。よ、よしなに」


 国境線の守りを頼んだら敵国の総大将を捕えて帰って来た。

 王にすれば予想外もいい所、混乱も仕方なし。


 驚いているのは戦艦で同行していたソフィアも同じだった。

「国境線の戦いだけで、こういうの、決まるものなんだ‥‥」

 呆れさえしている彼女に、サイシュウが軽く肩を竦める。

「まぁ王様自身が前線に出てきて捕まったからな。敵国に一歩も入らず占領できる事もあるって事でいいだろ」

 その横で頷くのは、ニスケー国騎士団長・ゴリラ獣人のマンドリオだった。

「我らとしても、ならば都が落ちるまで戦うのか‥‥と問われれば、まぁこれでいいかと」



 そこへ上機嫌な笑い声が響く。

「ウェハッハー! 思い知ったか戦犯猿どもめ! お前らは三等国だ! 我ら二等国のコリーンを兄と崇め、謝罪して損害を賠償しろ!」

 破損した機体で呻いていたのも過去の事、帰りの戦艦内ですっかり回復し、アリンだけは鼻息が荒い。


 二等だ三等だと言っているのは彼女の中で決められた序列だ。

 ハイマウンテン国を宗主国として一等とし、最初に下へついたコリーン国が二等、よって次に下についたニスケーは三等‥‥という事である。



 アリンの言い分を聞き、タイコウサン王はサンタナ王に訊いた。

「賠償金ですか。それは我らの盟主であるハイマウンテン国に支払えばよろしいですかな?」

「え? いや、別にそんな物は‥‥」

 戸惑うサンタナ王。

 だが側にいた大臣が忠告する。

「王よ、戦艦を動かすにも金はかかっておりますぞ」

 そう言われたサンタナ王は困って頭を掻いた。

「そうか‥‥なら見積をまず出さないとな」


 と、ニスケーとハイマウンテンの二国での話になったのを見て、アリンが慌てて口を挟む。

「わ、我らコリーン国はニスケーの侵攻で打撃を受けてるんだ! こっちの補填も忘れてはいませんよね!?」

「あー‥‥うん‥‥」

 必死なアリンに比べ、サンタナ王は気乗りしていない。

 そんな煮え切らない態度に、女騎士はますます声を荒げた。

「過去を忘れた民族に未来はない! 真正性のある謝罪と賠償が必要だ!!」

「そうは言われましても・・・・」

 言葉を濁しつつ、王は助けを求めるように周囲を窺った。


(なあなあで終わらせる気だろうな)

 王の態度を見てキラーはそう思ったが、自分に関係ある話だとも思わず静観する。

 なのにサイシュウが話をふってくるではないか。

「おいキラー。なんか意見はあるか?」

 決して小さな声ではない。

 それを聞きつけ、王が期待しつつ訊いてくる程度には。

「あるかな?」


 正直困ったが、波風立てたくなさそうな王の意に沿ってあげたい半面、被害を賄えというアリンの言い分にも理はあるような気もする。

 とりあえず色々と考えながらではあるが、キラーは意見を出してみた。

「確かにコリーン国からは‥‥賠償として戦艦を収めさせましたね」

「だろ? だろ?」

 キラーの言い分に元気よく頷くアリン。

「アリンもハイマウンテン軍に同行して戦っていますし」

「だろ? だろ?」

 キラーの言い分に元気よく頷くアリン。

「まぁ戦(いくさ)にかかった費用を請求して、そこからアリン一人ぶんの報酬をコリーンに払えばいいのでは?」

「だろ? だろ‥‥って、私一人ぶん?」

 キラーの言い分に元気よく頷くアリン‥‥だったが、一転、首を傾げながら顔を顰めた。


「過去を忘れずに言うが、ハイマウンテン国から見れば、今回の戦いはコリーンから回って来たからな。なのにアリン一人しか出さなかった以上、それを超える支払はまぁ無いだろう‥‥むしろ救援を出した報酬をハイマウンテン国が請求する事さえできそうだが」

 そんなキラーの言い分に、アリンは元気よく反応した。

 まぁ頷くのではなく、床に倒れて手足をジタバタさせたのだが。

「酷いー! ズルいー! 差別だあー!」

 大声で泣き喚く女騎士。うるさい。


 ソフィアが溜息をついた。

「思い通りにいかなかったら喚けばいいと思ってない‥‥?」



 結局、そんなアリンをどうしたのかというと――

「黙らせっか」

 サイシュウがそう呟くと、その頭がぼんやりと光った。

 途端にアリンから音(・)が(・)し(・)な(・)く(・)な(・)る(・)。声も出ないし、手足をバタつかせても全くの無音だ。

 びっくりして、アリンを含めた皆が凍り付く。

 アリンは必死こいて地団太を踏み、両手を振り回し、床をごろごろ転がって、大口を開けて何か叫ぼうとしていたが‥‥そのどれもが完全に無音だった。


「‥‥魔法? いや、スキルの類ですか?」

「ご名答。我ながら応用の利く技だぜ?」

 キラーの推測に、サイシュウはニヤニヤと笑いながら肯定してみせた。

設定解説


・我ながら応用の利く技だぜ?


空亡獣人であるサイシュウは【消去自在】というスキルを持つ。

これは望んだ物を消すアクティブスキルで、対象は物理的な物に限らず、相手の技や能力、自然現象や物理法則にまで及ぶ。

この場面ではアリンの「音」を消した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。