2 状勢激動の巻 9
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。
スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
「納豆使ったのも今操縦してんのもお前じゃねーだろ‥‥」
呆れるサイシュウ。
途端に――
「ガギゴゴオ!」
アリンの悲鳴が響き渡り、合体クマーベアーが吹っ飛んだ‥‥!
合体ベアーを吹き飛ばした物が、森の奥から姿を見せる。
ケイオス・ウォリアーを遥かに上回る巨大な兵器‥‥軍艦!
それは長い布をマントのように巻いた巨大なアヒルだった。
アヒル‥‥戦艦Cランバダックが木々を踏み潰しながら前進する。
タイコウサン王の声が響いた。
『キ、キキ‥‥こいつを控えさせていて良かったわい』
彼は際どい所で艦の中へ逃げ込む事に成功したのだ。
そしてダックは花札型のミサイルを無数に撃ち出す!
次々と地面に着弾、火柱をあげるミサイルの雨。吹っ飛んだ合体クマーベアーへ追い打ちをかける。
しかし、クマーベアーと合体したニンジャ機ヒエイマルはそれをむざむざとは食らわなかった。
花札ミサイルが直撃する寸前、ヒエイマルは高速分離! 再合体しながら残像をひきつつ高速離脱。
爆炎に呑み込まれたのはクマーベアーのみだった。
「ガギゴゴォー!」
断末魔を背に、ヒエイマルは飛ぶように走る。
その先は――キラーのSゲイルイーグル!
ヒエイマルの再分離、再合体!
追加装甲の鎧を纏ったイーグルは、大幅に増加した速度で宙へ‥‥アヒル艦ランバダックへ飛ぶ。
『む? いかん、撃ち落とせ!』
艦内で指示を出すタイコウサン王。
花札ミサイルがバラ撒くように撃ち出された。
だが、イーグルはそれをことごとく避ける!
しかもいくつもの残像を発生させ、アヒル艦は撹乱されていた。
『あの残像、バラバラに動きますし、こちらの照準を反応させます! ただの錯覚ではありません!』
慄くブリッジクルーの声に、王は忌々しげに唸る。
『ケイオス・ウォリアーのセンサーに、実体があると誤認させているのか‥‥』
ぐんぐん迫るイーグルへ、ダックは半ばヤケクソでミサイルを撃ち続けた。
しかし、そんなダックへ――
ほぼ同等の巨大物体が衝突した!
ゴムマリのごとく吹き飛ぶダック。
『なんじゃー!?』
王の絶叫とともに、派手にひっくり返る。
さらに追い打ち。灼熱の火球が何発も当たり、ダックは火達磨となった。
奇襲した巨大物体‥‥それはハイマウンテン国の亀戦艦・Cバエナガメラン。
艦の後方、後ろ足の辺りからは二枚の翼がV字を描くように生えている!
この艦には飛行用の形態があったのだ。
口からプラズマ火球をダックへ吐く亀艦の、ブリッジからの映像がイーグル操縦席のモニターに届く。
でかい甲羅の隙間から、ティア姫が恐々と顔だけ出していた。
「大丈夫ですか?」
「は、はあ‥‥」
戸惑いつつもキラーが応えると、ソフィアが横からひょいと覗き込んできた。
「クマーベアーがやられたみたいだから、怖くても行かなきゃって姫様が仰られてね」
姫も震えているばかりではないという事だろう。
「大丈夫だ。今ケリをつける」
静かに、だが力強く、キラーは断言した。
「はい、貴方を信じます」
「頼むわよ、こっちは初心者なんだから」
安堵の微笑みを見せる姫、火球を吐かせながらくすりと笑うソフィア。
「大丈夫じゃないぞ‥‥」
一人呻くアリン。
キラーは彼らの想いを背負い、イーグルを飛ばせた。
「サンダーボルト‥‥ダイバー!」
キラーの声と共にイーグルは電光を纏った!
タイコウサン王はブリッジで見た。
高速で飛来する雷球を。
そこからイーグルが離脱し、電撃だけが飛んできて——回避など叶わず——
着弾・爆発!
バンザイ状態で両の翼をあげ、ダックは火と煙を吹きながら森の中に横たわった。
空中で腕組みしつつ、それを見下ろすキラーのイーグル。
その全身から鎧が外れ‥‥落下しながら再合体した。
ヒエイマルの姿に戻りながら、森の一番大きな木へ着地する。
ニンジャ機は身を翻し、森の中へ飛び込み姿を消した。
モニターに表示された戦闘MAPにも見当たらない。レーダーの圏内からも失せたのだ。
キラーは肩のストライクを見る。
「あのヒエイマルというニンジャ機‥‥一体何なんだ?」
そう訊いてはみたが、ストライクは目玉をぐるぐる回すだけで、何の返答もなかった。
設定解説
・Cバエナガメラン
コリーン国の欠陥品を改造した、ハイマウンテン国唯一の軍艦。
水上で活動する筈だったのに沈没して動けない艦を「もう水は諦めて空とばそうぜ。俺らの国は山の中だからその方が便利だわ」という発想で翼をつけた。
そのため高速で飛行が可能だが、反面、空中の機動性はあまり高くない‥‥というか低い。
口から吐くプラズマ火球と、大質量を活かした体当たりは高い破壊力を生み出す。




