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2 状勢激動の巻 8

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

サンタナ王:ハイマウンテン王国の王。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

 ニスケー騎士団長マンドリオの乗機・Sヒババブーンがその剛腕を振り回す。

 丸太のようなその腕は棍棒のごとくサイシュウのSサンライザーを打った!


 だがマンドリオは顔を顰(しか)める。

『ぬう! 俺のゴリラリアートが!?』

 いかな高性能機にも大きな痛手を与える筈の一撃は、サンライザーを打つ寸前、半透明のカーテンでその威力を殺されていた。

「いい威力だぜ。バリアが無ければ危なかったかもな」

 嘯(うそぶ)くサイシュウ。

 だがバリアで軽減してなお、決して無傷ではなかった。


 しかし機体の損傷などお構いなしにサイシュウは叫ぶ。

「そしてこいつが‥‥ディスインテグレーションフィンガー!」

 サンライザーの腕に太陽のコロナのごときオーラが纏わりついた。そして繰り出される必殺の貫手! 狙い過たずヒババブーンの胴体を貫く。

 それが刺さった所から、粒子が滝のごとく噴き出した!


 サイシュウの能力により、サンライザーの腕に宿った力――それは原子分解。

 噴き出す粒子は分解された敵の装甲、内部の機器だった物である。


『こ、これが‥‥魔王軍最強最後の四大隊長と戦った力、か!』

 呻くマンドリオ。

 行動不能に陥り、ヒババブーンはその場に倒れた‥‥。



 一方、キラーは敵の攻撃で大木に叩きつけられていた。

 タイコウサン王の乗機Sシンバルチンパンがシンバルを叩き合わせると、周囲一帯を破壊音波が吹き飛ばしたのだ!

 全方位へ放たれる不可視の衝撃波は、Sゲイルイーグルの運動性と今のキラーの操縦技術をもってしても避けきれる物ではなかった。

 勝ち誇るタイコウサン王。

『どうだ! 爆音魔破からは逃げられんぞ!』

「なるほど。王自ら戦場に出るだけはある」

 機体を立て直すキラーへ、王が叫ぶ。

『観念したか! 死ねぃ!』

 シンバルチンパンの持つシンバルにエネルギーが満ちた。


 勢いよく叩き合されるシンバル。

 しかし「ブチャッ」と変な音がするだけで衝撃波は生じない。水を叩いたかのようなおかしな手応え‥‥王は手元を見た。

『ウキーッ! これは!?』

 白い粘着性の糸が、シンバルの間を埋めている。

 それがシンバルの衝突を邪魔して衝撃波の発生を阻害したのだ。

 王はその糸を知っていた。

『これは魔術‥‥スパイダーウェブ?』



※【スパイダーウェブ】

 蜘蛛の糸のような粘着性の糸を作り出し、敵を絡めとる魔法。



 この世界のニンジャは忍術の一環として錬金術系魔法を習得する。その事を王は思い出していた。

 だがしかし。キラーが静かな声で告げるには――

「正確には別の呪文だ。俺が手を加えた‥‥転移者流に言えば術(・)式(・)を(・)改(・)良(・)し(・)て(・)お(・)い(・)た(・)、俺の独自魔法(オリジナルスペル)だ」


 そして王を襲う、独特の臭気!

 王は見た。

 白い糸の中に混ざる無数の茶色い粒を!

『こ、これは‥‥発酵した大豆?』


 納豆の臭気は地球の料理の中では十指に入ると言われている。

 日本人がこれに平気なのは、いわゆる慣(・)れ(・)だ。

 ならば慣れていない者は?


『うおぉ‥‥気持ち悪い』

 臭気により敵は【嘔吐感】のバッドステータスを食らい、その効果で動きは大きく鈍る!

「邪道納豆緊(のうとうきん)(きん・きん・きん)‥‥!」

 悶絶する王を前にエコーつきで技の名を口にするキラー。

 忍術なのか魔術なのか曖昧ではあるが、食べ物を粗末にする点で正道の技とは言えない。それは確かだ。


 だがニンジャはそもそも非情。敵を倒すためならば容赦なく食べ物を勿体なく使う。飯に毒を盛るとか割と普通にやっていたらしい。

 そして次の非情な技を放つため、キラーはイーグルを跳躍させていた。


 敵を縛る粘着性の糸を飛び越え、その身を回転させてオーバーヘッドキックで放つ足刀‥‥天馬(ペガサス)田楽刺しキック!

 これは象形拳と言われる、獣の動きや闘法を模した系統の技であり、殺人的なカラテだ。

 彗星のごときその足が敵機の頭部を捉える。打たれたシンバルチンパンは――首を刎ねられた!


 一たまりもなく千切れ飛んだ頭部が、側の大木に叩きつけられる。

 音を立てて倒れるチンパンの体。

 しかし――


「逃げたか?」

 敵機から全く気配が消えている事を、着地したキラーは鋭く察した。



「見つけたぞ! あそこだ!」

 そう叫んだのは雑兵どもと戦っていたアリンだ。

 この世界の脱出装置——機体から飛び出して短時間だけ浮遊系の魔力を発揮する座席——により、王は森の中へ飛び出し、全力で走っていたのだ。

 アリンがそれを見つけると、合体ベアーは残っていた僅かな雑兵どもを力任せに撥ね飛ばしながら王の後を追う。アリンの優越感に浸った声が高く響いた。

「ウェーハッハッハ! 納豆の起源はコリーンだ! 恐れ入ったか!」



※コリーン国の大王城壁画には、半裸の男達が組み合っている姿が描かれている。

 コリーンの学者が唱える説によれば、これは納豆を作る過程であり同食品の起源たる証拠である。



「納豆使ったのも今操縦してんのもお前じゃねーだろ‥‥」

 呆れるサイシュウ。

 途端に――


「ガギゴゴオ!」

 アリンの悲鳴が響き渡り、合体クマーベアーが吹っ飛んだ‥‥!

設定解説


・納豆の臭気は地球の料理の中では十指に入ると言われている


なお上位3つはそれより下の料理の「数倍」の臭気で、そこで急に数値(どうやって出しているのかは知らん)が急勾配に跳ね上がるらしい。

バトルマンガの戦闘力かよ。

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