表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/137

0 異世界漂流の巻 10

第二の仲間が追加だ。

 吉良(きら)達は異世界のロボット、ケイオス・ウォリアーに乗りこみ、異世界の山間部を進んでいた。

 サイシュウの言った通り、誰も彼もが操縦する事ができた。だが動かせる状態だった数の都合で、全機が相乗りしている。中には三人で鮨詰めの機体もある。


 吉良(きら)と一緒にいるのは旭日(あさひ)ソフィアだ。

 吉良(きら)には友達と呼べる者などいなかったが、塔の中でソフィアと話していたので、彼女とは仲が良いのだろうと周囲が思ったのである。

 一応「そうでもないけど」とは言っておいたが、どうせ誰かは乗せねばならなかった。ソフィア本人が拒まなかった事もあり、結局は彼女を座席の後ろに乗せている。


 ソフィアは座席の後ろから吉良(きら)を覗き込んだ。

「揺れるわね、これ。で‥‥町へ行くのはいいけど、それからどうするの?」

「それはわからない。けど、あの塔にいても悪者に襲われるだけだからね」

 逃げた敵兵士の報告を聞けば、次の部隊が様子を探りに来る筈だ。だから急いで離れたのだが、人里に着いてもその後の計画は無い。


(やっぱり、冒険者をやる事になるのかな)

 異世界転移物作品を思い出しつつ、吉良(きら)はなんとなくそう考えていた。魔法やモンスターが実在する世界なら、それがパターンではある筈だ。

 だが隠しアイテムで何らかのパワーを得ても、チートと言えるほどの強さは無い。他の同級生達はただの高校生のままだ。こんな状態でどうすればいいのか‥‥。



 悩んでいると、サイシュウの機体Sサンライザーが立ち止った。

『ちょっと休憩だ』

(こんな所で?)

 吉良(きら)は周囲を覗う。

 舗装もされていない道の、両側を山林が挟んでいる。特に広いわけでも施設があるわけでもない。

 だがサンライザーのハッチが開き、サイシュウは縄橋子を降りて外へ降りてしまった。


 ソフィアと一度顔を見合わせ、ちょっと悩んで‥‥吉良(きら)もハッチを開けて外へ出る。

 サイシュウは‥‥と見ると、周囲をきょろきょろし、山林を警戒しているようだった。

「どうしたんです?」

 近づいて訊くと、サイシュウが逆に訊いてくる。

「お前さん、何か感じないか?」


 言われて周囲を見渡す吉良(きら)。何もいない。

 だがサイシュウは疑っているようだ。

「どうもな。何かがここらで、俺らを覗っている気がするんだが‥‥」

 二人で山林を覗き込んでいるうちに――吉良(きら)はふと、何かひっかかる物を感じた。

 見るというより、空気の流れだか淀みだかのような物が、ある気がしたとでも言うのか。

 一歩そちらに踏み出し、凝視し‥‥吉良(きら)は側の木を指さした。

「‥‥あ! あれですか?」


 その声に反応したのだろうか?

 (こずえ)にへばりついていた物が姿を現す。

 その体色を変えて、緑色の、本来の姿を。


 見つけた吉良(きら)自身が驚いた。

「カメレオン?」

 それが地球の物と同じかどうかはわからないが、姿は確かにカメレオンだ。

 サイシュウが吉良(きら)を横目で見る。

「ふむ‥‥俺でも見破れなかったのによく見つけたな。お前が得た冒険者クラスは探索系のスキルがあるようだぜ」



(盗賊系って事か? 確かに身軽に動けるし、感覚も研ぎ澄まされてる気がする。けれどカラテを使う盗賊系の、「忍」がつく職業(クラス)って‥‥一体何なんだ?)

 吉良(きら)が考えていると、サイシュウは機体を見上げた。

「ケイオス・ウォリアー操縦者としてのレベルと能力なら、モニターのステータス画面でわかるんだが。冒険者としての‥‥となると、やはり街まで行ってからだな」



 二人が話している間に、カメレオンは動いていた。

 とはいえ逃げるわけではなく、木の枝を渡って、なんと吉良(きら)の肩に乗り込んで来たのだ。

「え? なんだ?」

 ぎょろぎょろ動く目玉を顔の側に見てびっくりする吉良(きら)

 サイシュウは「ふむ」と呟く。

「こいつからは妙な気配を感じる。敵意は無さそうだな。懐かれてるお前さんとしちゃ、どうだ?」

「どうと言われても‥‥害は無さそうですが」

「なら連れて行くか? 案外なんかのモンスターで、成長させれば戦力になるのかもしれないぜ」


(拾ったモンスターが力になってくれるパターンか。そう都合よくいくのかな?)

 少し悩みはした。

 だが結局、吉良(きら)はこう答えた。

「今の俺達は何のアテも無い状態ですし、役立つ可能性があるならそうします」



――再び機体へ戻り、人里へと向かう一同――



 吉良(きら)の肩に乗ったままのカメレオンをしげしげと見つめるソフィア。

「で、名前はどうするの?」

「特に考えてないけど」

 それを聞いて「ふーん」と呟き、舌を伸ばしたり引っ込めたりするカメレオンを前に、しばし考えて――

「じゃあ『ストライク』で」


「な、なんで!?」

 提案に目を丸くする吉良(きら)

 彼の名前の元ネタになったアニメに縁の深い単語だ。

 だがソフィアはそこまで驚かれると思っていなかったらしく、逆にびっくりしていた。

「え? ホームランの方が良かった?」

 アニメではなく野球だったらしい。ならなぜ野球なのか、という疑問はあるが‥‥。

「いや、そうじゃないけど‥‥」

「ならいいじゃない」

 いまいち納得できない吉良(きら)だったが、ソフィアはOKだと捉えたようだった。



 カメレオンの名前について悶々としていると、サイシュウから通信が来た。

『お、見えてきたぞ。日が暮れる前に入るか』

 吉良(きら)は前方を「機体の目」で見る。

 夕焼けに染まる山を背に、壁で囲まれた街があり、その向こうには――

「お城‥‥?」


 (やぐら)のついた塔と厚い壁の、武骨な城だった。

ここでやっとチュートリアル編が終わるんだ。

ちょっとスタートダッシュがモタモタし過ぎている気はするな。

あとここまで書いてから気づいたが、女が脱ぐシーン入れるの忘れてたわ。

まー近いうちになんとかしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ