その頃、別の場所にて 1
素顔を男にするか美少女にするかバケモノにするか、なかなか悩んだわ。
――人里離れた山中の塔——
薄暗い一室に、一人の魔術師がいた。
紫色のマントを羽織り、舞踏会で使うような仮面で顔を隠した青年‥‥魔王軍残党・新魔界大隊の大隊長スターゲイザー。
彼は地図を前に計画を練っていた。
部屋の扉が開き、廊下の灯りが差し込む。
フードローブで身を包んだ者が一人、無機質な、歳も性別もわからない声で告げる。
「召喚した聖勇士達を回収しました」
「強い異界流を持つ者はいそうか?」
スターゲイザーが振り向きもせず問うと、フードローブは微かに首をふる。
「目立った者は、とくに‥‥」
「そうか」
スターゲイザーのその呟きは、予想していたようでもあり、興味を無くしたようでもあった。
※異界流——それは次元の力の切れ端。
世界に存在する者達は、存在するというだけで物理的・霊的にエネルギーを持つ。異世界から召喚された者には、この世界に存在する事で持つエネルギーに、元の世界から持ち込んだエネルギーを加えた者――いわば二重のエネルギーを持つ者がいる。それをこの世界の住人は「聖勇士」と呼んでいるのだ。
二重にエネルギーを持つという事はそれだけ高い能力を発揮するという事でもある。
何よりこの世界の巨大ロボット‥‥ケイオス・ウォリアーは、操縦者の異界流により動き、その強さを増幅させる特性を持っているのだ。
「まぁいい。今は数が必要な時期だ。そいつらに訓練を積ませておけ」
スターゲイザーが命じると、フードローブは「心得ました」と返し、部屋から出て行った。
スターゲイザーは地図に何カ所か印をつける。
その地図は、この世界最大の大陸の一画、住人がヘイゴー連合と呼ぶ小国群の物だ。
かつて世界を滅ぼす一歩手前まで猛威を揮った魔王軍‥‥その残党のこの魔術師は、大陸でも三指に入る大勢力だったこの地を、己の手中に収めようとしていた。
その計画を、今は誰も知らない‥‥。
設定解説
・量産型ケイオス・ウォリアー
青銅級機(ブロンズクラス・ランクB)と呼ばれる機体。
巨大な戦士や獣人が鎧を纏ったような外観。バイオ素材もふんだんに使われており、鎧で覆われていない部位には生物の体のようなパーツもある。
まともな国家なら複数配備しているし、建築関係や冒険者パーティが所有している事もある。
作中ではいちいち名前で書かないが、以下のような種類がある。
Bソードアーミー
鎧兜で武装した巨人型の機体。武器は剣と弓。
最も普及しているケイオス・ウォリアー。
最初に主人公が乗ったのもこれ。
量産型の機体で巨人型機と書いてあったらだいたいコレだと思っていただきたい。
Bダガーハウンド
狼男が鎧を着たような機体。武器は爪・キバ・投げ短剣。
攻守ともにたいした性能ではないが、地上での移動力に優れ、見かける頻度は多い。
Bカノンピルパグ
ダンゴムシの頭を持ち、肩に大砲を担いだ機体。武器は当然大砲。近接戦用に拳にはナックルガードもある。
動きは鈍いが射程と装甲強度に優れる。
Bボウクロウ
カラスの頭と翼をもつ機体。武器は短剣と弓。
戦闘力はいまいちだが空を飛べる。よって重宝はされるのだが、この世界には空中戦の得意な者は少なく、コストも高めなので、量産機の中では数は少ない方。




