あるモノ
「ナイスボール、平瀬!!」
ブルペンにキャッチャーの徳田先輩の声が響き渡る。
サインに従って球を調整
俺はさっきから本当に気持ちよくなげさせてもらっている。ストレートは勿論、ツーシーム、スライダー、カーブ、チェンジアップと全て調子がいい。
「よし、もういいだろう。次は山縣に変わろうか。平瀬は八鍬先輩の所に行ってこい。」
分かりました!と八鍬先輩を探すべくブルペンを後にした。
「おう、終わったか。どうだったか」
先輩は室内ブルペンのすぐ横のウェイトトレーニングルームでストレッチをしていた。
「今日は相当調子がよかったです。早く試合で投げるのが楽しみになりました。」
なるほどな、と八鍬先輩は嬉しそうに頷いた。
「でも、このままだとお前は高校野球の世界では全く通用しないぞ」
と一気に顔を強ばらせ、真剣な眼差しで言った。
通用……しない??そんなわけない。もし通用しないんだったらこの高校に来た意味なんて……
「今に分かるさ」
とうろたえる俺を諭すように話をつづける。
「平瀬も山縣も本当にいいボールを投げるし素質は俺よりも遥かに良いと思う。だけど今の平瀬なんかはハッキリ言って小手先の技術だけだし大したことないよ」
俺はその言葉で拳を強く握りしめる
「だったらどうしたら……」
「鍛えろ。」
そう呟く八鍬先輩の目は真剣だ。
「俺の練習に着いてこれたら力はつくし、身体が強くなればもっといいボールを投げれるし、その技術は小手先のものでなくなると思う」
はぁ、とただ答えることしか出来なかった。
「そこの1年、心配すんな。こいつ偉そうなこと言ってるけど実際1年坊主の頃は大したこと無かったぜ」
「涼真!お前……いつの間に?」
「まぁでも、こいつも『あるモノ』を見つけてからはホントに逞しくなったんだけどな」
「『あるモノ』って……?」
「見に行くかい?」
「行きます!」
即答だった。何でもいいから早く通用するためのヒントが欲しかった。
「そうだ、自己紹介してなかったな。オレ、3年の角田涼真。ここでショートを守ってる。よろしくな」
自己紹介もそこそこに俺たち3人はある部屋の前にたどり着いた。
軋む扉を開けるとそこは野球部の写真や賞状、トロフィーなどが沢山並んでいる。
野球部自体は歴
「これ誰かに盗まれたりしないんですかね?」
「一応看守さんに鍵を開けてもらったからな、普段は大丈夫さ。」
じっと部屋を見渡した俺はあるものを見つけた。
「あっ、これって……」
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