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122話 敵勢力の現状

6章スタート! 章の始まりなのでのんびりやっていきます。


 犯罪結社ネビュラ本部、幹部に与えられた一室にその二人はいた。


 カイ、魅了スキルを追い求めるイケメンとその彼女であるギャルのエミだ。この異世界に留まり好き勝手する事を目的とする駐留派の中核メンバーである。




「この前の任務どうだったの、カイ」

「……ああ、散々だったよ」


 エミが恭しく聞くと、カイはソファに寝転がったまま「はぁ」と溜め息を吐いた。


「苦労したってのは聞いてるけど」

「僕たちは今、魅了スキルによって掌握した仲間を持つサトルたち帰還派と渡世とせ宝玉ほうぎょくを奪い合っているというのは知っているだろう?」

「うん、それくらいは」

「ただ敵はそれだけじゃない。魔神復活のために動く魔族と伝説の傭兵のコンビ、復活派。彼らとかちあったのさ」



「っ……!」

「全く、竜闘士を圧倒するために悪魔を呼び出そうと宝玉を集めているのに、その過程で竜闘士と争っていたんじゃ意味が分からないね」

「そ、それでどうなったの!?」

「もちろん敵うわけないだろう。目的としていた渡世とせ宝玉ほうぎょくは復活派に奪われた。骨折り損のくたびれ儲けさ」



「復活派は……報告によると今まで宝玉を二つ集めていた。ってことはこれで三つ目よね」

「ああ、対して駐留派は僕もエミも奪取に失敗したけど、もう一つ別働隊が手に入れたおかげで、どうにか四つ目だ」

「帰還派が持っている宝玉は五個……必要量が一番少ないのもあってこのままだとマズいよね」




 二人が話している通り、現在それぞれの勢力が持つ渡世とせ宝玉ほうぎょくの数は、帰還派が五個、駐留派が四個、復活派が三個だ。


 そして渡世とせ宝玉ほうぎょくは数が集まるほどにその力を増す。


 二つならランダムな世界に通じるゲートが、

 四つである程度指定してゲートを、

 六つで完全に指定できるが強度の低いゲートが開けて、

 八つでその強度が上がり、

 十で高位存在も召喚することが出来て、

 十二で神さえも呼ぶことが出来る。




「帰還派の必要数は僕らクラスメイトを全員帰還させることだから8個。対して悪魔を呼び出したい僕たちが10。魔神を呼び出したい復活派は12のはず」

「それぞれ集めないといけない残りは3個、6個、9個……復活派が一番遠いけど、だからってエミたちが近いわけでも無いか」

「ネビュラの力も借りて各地でどうにか集めているけど……目標達成は遠そうだな」




 カイは思考する。

 このまま順当に行けば、帰還派が一番最初に宝玉を必要数まで集めて、元の世界に戻る準備を整えるだろう。

 そうなれば魅了スキルによって、自身がこれまであった女の中で一番だと確信するユウカを支配する機会は永遠に失われる。

 だったらどうすればいいか。

 逆転するための一手は――。




「これしかないか」

「カイ……?」

「そうと決まれば行動だな。エミ、僕は行くよ」

「行くって……ど、どこになの!?」

「偵察隊によると、どうやら今度はやつらがかち合うようだからね。ちょっとそこに行ってくるよ。そう――――」






ーーー






「――以上が今回の段取りだ」

「承知した」


 某所にて。

 魔族レイリの語った今回の計画について、伝説の傭兵ガランは頷く。


「変更があればその都度連絡する。何も無い間は自分の判断で動け」

「分かっている……ただ今回は予測不可能なところが多そうだな」

「ああ……やつらも来るんだったな」




 レイリが思い浮かべるのは、あの忌々しい女神の力、魅了スキルを引き継いだガキの顔。

 女神教の力も削ぎ、ようやく魔神様復活のために動き出した自分たちを妨害する女神の悪足掻き。

 だが渡世とせ宝玉ほうぎょくの多くをやつら召喚者に抑えられている現状を考えるとその策は成功している。




「この前はあの少年少女とは袂を分かったらしい『影使い』の少年と争ったが……彼は見事に力に溺れていたな。昔を思い出した」

「昔というと……私と出会う前のことか」

「ああ。力さえあればどうにでもなると、何をしてもいいと……腹正しい」

「私としてはそちらの方が御しやすいがな」

「……まあいい。私情を挟むつもりはない。好きに命令しろ」

「それはありがたい」




 レイリには余裕があった。

 固有スキル『変身』、絶対にバレない隠蔽スキルを使って各所に潜入できる彼女は様々な情報を持っており、当然それぞれの勢力が持つ渡世とせ宝玉ほうぎょくの数も把握していた。


 復活派と呼ばれる自分たちが集めた渡世とせ宝玉ほうぎょくの数で出遅れていることは分かっている。それでも他の二勢力が誤解していることから、最後に勝つのは自分たちだと信じていた。




「さて、ここからは別行動だな。武運を祈るぞ」

「ああ、任せろ」


 そして二人が進む、その地は――。






ーーー






「いやー、長旅だったね!」

「ほら、サトルさん、着きましたよ」

「……そうか」


 ユウカとリオの後を付いてくようにサトルも馬車を降りる。


 三人が次に求める渡世とせ宝玉ほうぎょくがあるその地にたどり着いたのだ。




「学術都市……ここに次の渡世とせ宝玉ほうぎょくがあるんですね」





『学術都市』編もよろしくお願いします。

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