5、ガラスのハートにご注意ください!?
そんなこんなで、朝はやっとの事で森野から逃げ切る事が出来ました。応援してくださった皆さん、本当に有難うございました!……え?応援してない?……マジですか!?
……まあ、それはそれとして、どっか遠くに置いといてやってください。……あ、そこら辺でいいですよ。……あ、いや、そっちじゃなくて、もっとこっちに。……よーし、OKです!
なんか、あんまり意味ない事に行使ってますが、気にしないでください。今日は、かなり現実逃避したいだけなんです。なんかもう、ほっといてくれって感じなんですよ。はい。
あ、そうだ。そういえば、今朝会った坂井君。転校生だったみたいです。大阪から来たって言ってたんですけど、やっぱりって感じですよね。そして、やっぱり彼は、アレだったようです。動きがそれだったので。……いや、悪気があるわけじゃないんです。ただ、面倒な奴が増えたと思いまして……はぁ。
「瀬川くーん!森野さんが呼んでるよ!」
誰だ!地獄の呪文を唱えるのは!その名前は言ってはいけないぞ!なんか、穴的なものから、変なおっさん的な人がでてくるぞ!
「瀬川君!瀬川君ってば!」
「呼んでるぜ、瀬川」
ひれ伏してた顔を上げると、俺の親友の小橋泰助が楽しそうに笑ってた。こいつは、自称Sだそうだ。
「恋人が呼んでんだぜ?言ってやれよ。それが英国紳士ってもんだろ?」
「恋人じゃねぇし。ここ英国じゃねぇし。紳士じゃねぇし。関係ねぇし」
「いいじゃんか、行ってやれって」
「じゃ、俺の代わりにお前が行けよ」
「ヤダよ、あんな女。ただキモいだけだろ」
「……お前、なかなか分かってんじゃねぇか」
「……そういうお前こそ」
「何々?何の話?」
「うっせぇな……って何でお前は勝手に他のクラスに入ってきてんだよ!」
上履きで侵入者を撃退してみました。……どうせ、帰らないと思うけど。
「他のクラスが何よ!ただ、薄っぺらい板で区切られてるだけでしょ!」
「薄っぺらくねぇよ、多分。薄かったら、もうとっくのとうに破れてるよ!」
「ごもっともで」
「あなたは黙っててよ、お父様」
「え、俺、お父様?」
名前的には、お父様でいけるな。泰助だぜ?時代劇の主人公の隣にいそうな名前じゃねぇかよ。……今の発言、カットで。……マニアックな気がしたんで。どうか、忘れてください。
「お父様ったら、私たちの恋路を邪魔して、そんなに楽しいの?」
「邪魔してるつもりは……」
「存在自体が邪魔なのよ!そんなのも分からないの!」
ひっでぇーー!こいつ、Mのくせして、かなり毒舌だ!
あ、待て。……小橋って意外と……。
「……そうなのか、分かったよジュリエット。そんなに私が邪魔なんだね。私なんて、必要のない存在なんだね。魚によく付いてる、小骨ぐらいにいらないんだね」
小橋って、かなり傷つきやすいの、忘れてたぁ!!
外見は、シャイでカッコイイ、今風な感じだけど、心はガラス玉のような奴なんだよ。触れただけで、壊れちゃいそうな奴なんだよ!
森野!察しろ。こいつは気弱なんだ。一人じゃ生きていけません的な、気弱タイプなんだよ、ホントは!気付いてやれ、森野!もし気付いてくれたら、150円アゲルから!
「そうよ、お父様なんて魚の小骨と同じよ、同類よ!邪魔よ、消えなさい!」
「……そっか、そうだよな。俺なんて生きててもしょうがねぇ奴なんだよな」
待て、おい待てよ。なんか、SとMが入れ替わってね?Mって言うか、引きこもりっぽくね?
「私はロミオを愛してるのよ、お父様。私はもう、ロミオしか愛せないの!」
「……俺なんて、どうせ。どうせ―――」
「こ、小橋。だ、大丈夫だよ。お前を必要としてくれる奴はいるから」
「例えば?」
「は?」
「例えば、誰?」
あ゛ーーーーーーーっ!!扱いにくい!かなり、鬱陶しいほどに扱いにくい!初めて買った電気機器並に扱いにくい!
「……恋人、とか?」
「はは、俺に恋人なんているかよ。……あ、いや、いたよ。死って言う恋人が」
「危ない発言、やめてくんない!?こっちが焦るから、やめてくんない!?」
「はは、俺なんて。……俺なんて、死ねばいいんだ」
「そうよ、死になさい!娘のあたしとロミオの恋路を邪魔したお父様が悪いのよ!」
てか、ロミオって誰なんだ?
てか、何でロミオとジュリエットみたいになってんだ?全然話し、違うけど……。
席を立った小橋がどこへ行くかと思ったら、廊下に出ただけだったみたいだ。それなら良かった。……ふぅ、一安心、一安し―――。
「ちょ、ちょっと小橋君!?何してるのよ!」
女子の悲鳴が聞こえる。……なんかこれ、やばくない?方程式作れそうじゃない?
かなり傷ついた→席を立つ→廊下に出る→悲鳴が聞こえる→死のうとしてる=……小橋!?
「小橋〜!」
予想どーりに奴は窓から出ようとしてた。ちなみに、ここは四階です。おちたらヤバくね?
「早まるな!大丈夫だ、お前なら、俺が必要としてやるから!」
「嫌々ならいいんだよ。俺なんかほっといて、森野と、あの悪女と幸せになれよ」
「ヤダよ、アイツとゴールインなんてしたくねぇから!」
「……天国から、呪ってるよ」
「何気に黒い事言うな!祈ってるじゃなくて、呪ってる!?森野はいいけど、俺は嫌だぞ」
「……後で手紙書くから。俺をここまで追い込んだのは、瀬川と森野ですって」
「そんな遺書、書かんでいいわ!てか、俺、関係なくね?」
「……そんなの関係ねぇ×3。はい、オッパッピー」
「若手芸人のネタをパクって、許されると思ってるのか!?」
「……いいんじゃね?どうせ、俺死ぬし」
「暗い事言うなって。……とりあえず、教室でゆっくり話そう」
何とか事が収まって、小橋は元気になってくれたけど、森野が不機嫌だった。
「……何で、私にツッコンでくれないの?」
「朝、散々ツッコまさせただろ」
「……そんなんじゃ、南、足りないもの」
「何で南?○ッチか?おれは、カ○ヤか?」
「カイヤ?あの、怖い人?」
「違うわ、ボケ!てか、最後の一言余計だろ!」
「でも、そんなの関係ねぇ×3。はい、オッパッピー」
「お前までパクるな!」
「何で小橋君は良くて、私はダメなの!?そんなの差別じゃない!」
「小橋にも言ったよ!パクるなって言ったよ!」
「彼の時は、もっと優しかったわ!……あ、もしかして、ダーリンは、小橋君が」
「お前はもう黙ってろ!土に還されてーのか?あん?」
「還せるものなら、還してみなさいよ!」
「還してやるさ!ついでに地獄に届けてやるよ」
睨みあってたら、急に森野が嬉しそうに微笑みだした。キモい。何だよこいつ、やっぱり、キモい奴の心はわからねぇや。……分かりたくねぇや。
「……何だよ」
「ダ、ダーリンが私を見つめてくれてる」
お決まりにハート付きで、頬まで染めてる。もう、馬鹿というか、そんなレベルじゃない。馬鹿の上に超をつけても足りない気がする。
その時、神の救いがきた。待ちに待った、休み時間の終わりを告げるチャイムだ。
それでも、森野は帰ろうとせずに、教室に居座った。
「……帰れよ」
「土に?」
「自分の教室にだよ!お前、ホントにどこまでも馬鹿だな!」
「嫌よ、ずっとこのまま、ダーリンと―――」
「いいから帰れ!」
「土に?」
「……お前、本気か?」
「土になら、いつにでも還ってあげるよ」
「……やっぱお前、どこまでも馬鹿だな」
「だって、ずっとダーリンのそばに居たいもの。学校だって、辞めれるわ」
「学校は無理だから!義務教育だからね!」
「じゃあ、ダーリンが私に勉強を―――」
「いい加減に、お前は帰れ!」
その後、先生が来るまでここにいた森野だけど、先生が来ると、忽然と姿を消してた。
……と思ったけど、床を這っていただけで、見えなかっただけだったんです。マジックでもなんでもない、ただの馬鹿の行動でした。馬鹿のね。
……これを読んでいる皆さん、これが最期とならない事を祈っていてください。俺、学校が終わるまでに、生きている自身がないので。
では、生きてまた会える事を、心から祈って。
これ、遺書じゃないんで。それだけは分かってください。
遺書じゃありませんから、あーあ、終わっちゃったよ、短けぇなぁ、とか思わないでください……。




