113、ドSと大縄とアイスと!?
ごめんなさいすみません申し訳ございません酌量の余地もございません頭も上がりません土下座しようにももう頭めり込んでてこれ以上無理です勘弁してくださいげふっ……。
7月更新しなくってすみませんでした。夏休みだからって浮かれてましたすみません。マジですみません。予約更新じゃなくってごめんなさい。
中途半端ではありますが、更新させていただきます。今月、もう1話更新しますので、この話は先月分になるますハイ。
待っていてくださった方、大変申し訳ございませんでした。ヘボ作者で本当にごめんなさい……。
前書き長くなってしまいましたが、最新話、楽しんでいただけたらと思います。
晴れ渡る空の下、4色のハチマキを巻いた選手たちが足の速さを競っている。50mという距離は、走り去ってしまえば一瞬だが、隣を走るライバルにだけは負けられない。平静を装って白い線の前に立つ。程よい緊張感が彼らを包む中、先頭の彼らは位置についた。体育委員の腕章をつけた選手が、ピストルを持った腕を耳につけて上へ向ける。耳栓をきちんとしてから、彼はよく通る声を張り上げる。
「位置について! よーい……!」
パンッ! という小気味良い発砲音と共に、クラウチングスタートで彼らは走り出す。赤が早いか、いや、緑が抜いた。
「どーでもいいからすべて終わってしまえばいい」
「お前、どこまでもやる気がないな」
「黙れ小橋。お前に用はない。体育大会と一緒に消えてしまえばいいのに」
「友人に言う事じゃなくね?」
「小橋だからいいんじゃね?」
「いやよくねぇよ」
「知らんわそんなもん。小橋なんかが口答えするのが悪い」
「俺には否定する権利も拒否する権利もないのか」
もちろんだと頷けば、なぜか隣に居座る影薄はぶつぶつ文句を言い出すから無視の方向で行こう。そうだよ、こいつは幻覚のはずだ。
「そーいや、瀬川は練習を気持ちいいほどサボってくれたから知らないかもだけど」
「あーあー、俺は何も聞きたくない。聞く気もないぞ」
「いやいや、一応クラス全体のために聞いておくれよ」
どんよりしてる小橋に寄りかかる神郷よ、もう少しでそいつ完璧に潰れると思うぞ。
「で、何だよ」
「あれ、聞いてくれるんだ」
「聞いてくれって言ったのはどこの誰だよ」
「じゃあ、聞きたくないって言ったのはどこの誰だって返すのもいいよね」
「あー、そう返すのもありだな、うん。じゃあやっぱ聞かん」
「えー、せっかく聞く気になったんなら聞こうよ」
ぎゅえっ。小橋が押し潰される声がしたような気がした。屈み込んだ影薄の上に、左ひざを乗せて立つ神郷が口を尖らせる。
「きっと負けるとうるさいのは、うちの担任だと思うんだよね」
確かに、50m走に出てる自分のクラスのやつらが3,4位になるたびに悲鳴に近い声上げてるしなぁ。てか、なぜそこまで熱くなる。てか、ともかくうるさいから黙っててくれないものか。
「だから、うるさいのを黙らせるために頼むよ、瀬川」
ちゃっかり黒い事言った気がするのは俺だけか。
「じゃ、俺にどうしろと?」
「えっと、何だっけ?」
「いや、聞くなよ」
なんかデジャヴなやりとりやめろよ。作者がネタ切れだって読者にもろバレするだろ。
「いやぁ、ネタ切れは当にバレバレだと思う」
「口に出してたか」
神郷が頷くと、下敷きになっている小橋がうめき声を上げる。きっとひざがいい感じに痛いところに入ったんだと思う。ざまぁみろ。
「まあ、さっくりいうと、掛け声くらいは出してほしいなぁって事だよ、姫君」
「その呼び方をやめるなら考えてやろう」
「え~、楽しいのに~」
「俺は不愉快だ」
神郷の膝の隣に、俺の右膝を乗せる。下敷きの下僕が何か言ってるとか気にしない。てか気にするつもりは一切ないので安心しろ。俺に慈悲の心なぞないわ!
「腹黒い笑み浮かべてるねぇ」
「いやいや、お前ほどではねぇよ」
「いやいやいやいや、そんな事はないよ。瀬川姫が一番黒い」
「さっくり姫ってつけてんじゃねぇよ。俺は男だコノヤロウ」
「女装に目覚めては○な愛とかと友達になるのもいいかもよ?」
「お前の目に俺はどう写ってるのか甚だ疑問だな」
「ん、ひめぎ」
「それ以上言ったらサボって帰る」
うっわぁ卑怯。そう神郷が言うのが早いか、小橋が潰れるのが早いか、はたまた最終ランナーがゴールするのが早かったか。いや、すべて同時だったかもしれない。
「お・ま・え・ら・なぁ……!」
「なんだ、いたのか小橋。椅子だと思った」
「んなところに椅子があるわけないだろ!」
「うるさいなぁ、椅子は黙ってないといけないんだぞ」
「俺が椅子だってか、俺が椅子だってのか?!」
あーもう、めんどくせぇ。無視でいいや、無視で。
さっきまでライバル同士だった選手たちが、仲良く並んで退場していく。その間に、体育委員がテキパキと次の競技の準備をしていた。とは言っても、邪魔な順位のついた旗とゴールテープを持ってテントに戻るだけだけどな。
「オイ、何も言わなくなったと思ったら無視か!」
うるさいやつは無視するに限るだろう。マジでめんどくせぇし。
「人の背中を膝でぐりぐりやっておいてそれはないだろ!?」
知らねぇよ。どーでもいいよ、小橋の痛みなんて。
「小学校の組体操でいやというほどわかるだろう、この苦しみ!!」
すまんな、俺はいつも一番上で。ぐりぐりしかやったことねぇんだわ。……おい、誰だ今痩せチビって言ったやつ。体育館裏に来いやコノヤロウ!
「そうか、瀬川は小学校からチぶふぁ!!」
「小橋君、小橋君。この口どうされたいのかなぁ?」
「ずびばぜんでびだ」
あごを掴まれたあふぉが、さらにあふぉな顔をして謝る。なんだこれ、楽しい。
「あん? 誰がチビだコラ」
「じびゅんでいっでぢょーずるんじゃじょ」
「あぁそうさ、どうせ一番上で立たされてたさ。悪いか、ん? 悪いか?」
「おでじょんにゃこちょいってにゃーし」
「そうかそうか。お詫びに帰りにアイスバー奢ってくれるのか」
「にゃーでしょーにゃる!?」
「そうだなぁ、俺は小豆バーがいいかな」
「かっちぇにはにゃし、しゅしゅめんにゃ!」
「何? 3本まで買ってくれるのか」
「だからしょんにゃこといって――!」
「はいはい、仲良しお2人さん。入場するから並ばないと」
神郷が間に入ったせいで、小橋のあごを離してしまった。もう一回やってやろうと手を伸ばしたが、小橋が先に逃げやがるし。
「ちぇ、楽しかったのに」
「ひー、いてて……。助かった、神郷」
「お礼はカルピスバーでいいよ」
「さわやかな笑顔で言うけど、お前も結局瀬川と同類だよな……」
ニコニコするだけで神郷は何も言わなかった。代わりに俺に、「掛け声はみんなでやるから合うんだよ」と言ってきた。わぁったよ、声出せばいいんだろ、声出せば。
『次は1年生による大縄跳びです』
アナウンスがそう告げると、笛がビーーーッ! と鳴り響いた。入場の合図、めんどくさいが帰りに小豆バー奢ってもらえるし、頑張ってやろうじゃねぇか。
校庭のグラウンドを大体4分割した位置に、それぞれ移動すると、クラス別に縄を回すやつらがそれの準備をする。列の前から後ろへ丈夫そうな縄がミミズのように地面に這っている。普通の大縄なら、飛んで抜けてを全員で繰り返すんだが、この競技は全員で3分間飛び続ける。その飛んだ回数を競うらしい。俺はよくルール聞いてないからよく分からないが、とりあえず飛んでいればいいんだろ。引っかかったら1からやり直しじゃなく、そこからまた数え始めるらしいから、そんなに辛くないはずだ。
「いつもより早くまわすらしいから、黄色は敵じゃないな」
「小橋の情報なんて信じられないな」
「練習参加してないやつに言われたかねぇよ!」
準備体操のときの悲劇を繰り返さないためか、控えめにうるさい。
再び笛が鳴った。起立の合図だ。
「さて、頑張ろうか」
「お前の口からそんな言葉って出るもんなんだな」
「影薄、ガリ○リ君ソーダ追加な」
「は、え!?」
『準備はよろしいですか? それでは、始めます』
影薄の焦りを踏み潰して、アナウンスがそう告げると、三度笛が響く。それと同時に、各クラスから威勢のいい声が張り合って響いた。
『せーのっ!!』
「いち、に、さん、し――!」
パシッパシッと縄が地面を打つ音がする。小刻みにジャンプしながら、周囲に合わせて声を上げる。さすがにふざけていられない。リズムとタイミングを崩さないようにするだけで精一杯だ。
『あぁっと黄組、引っかかってしまってなかなか飛べません。落ち着いて頑張ってください』
冷静な声でそんなこと言われても、周りがこうも調子よく飛び続けてるのだから、落ち着くことなんてなかなかできないだろう。
『おっと、ここで緑も躓いてしまいました。あと2分です、頑張ってください』
おいおい、急かしてどうする。てか、まだ1分しか経ってねぇのか。
徐々に疲れてきて、必ずどこかの組が止まる場面が増えてきた。これ、結構きっついな……。誰だよ、こんな体力使う競技考えたバカは。
「61、62、63……」
『残り30秒です、皆さん、頑張ってください』
ま、まだ30秒残ってんのかよ。ダメだ、集中力切れそ。
「頑張れー、もうちょっと!」
縄を回してるやつも大変だろうに、そんなこと言ってくれやがる。確かにもうちょっと、もうちょっと頑張れ、俺。
回数が90に近づいたころ、笛が鳴った。一時経過では、青88回、赤76回、緑69回、黄52回という結果だった。もう終わりで退場したいところだが、2回目がある。合計得点で多い順から順位がついていくので、黄組にはなかなか厳しい結果だな。しかし、青組すげぇな。1回くらいしか止まってないんじゃないか? ペースも変わってねぇし、後半もあのペースで数とられると、俺らが1位になるのはちょっと難しいか。
「ふぅ~、結構いったね。練習よりいいんじゃない?」
どっかの女子がそう言い出す。
「そうだな。練習は黄色みたいに引っかかってばっかで40すら行かないときもあったし」
男子もそれに便乗してしゃべりだす。
「確かにそうだったかも。今の私たちなら1位も夢じゃないんじゃない?」
「よぉし、じゃあ頑張ろうぜ!」
そんな調子よく行くもんかね。そう思いながら一緒になって「おぉー!」なんて言ってしまった自分がなんだか可笑しかった。
1回目のように始まる前に、少しだけペースを上げて飛ぶ事になった。今までのリズムを崩してしまうので、自信がない人は隣の人と手をつないでみようと言う事になった。影薄がニヤニヤしながらこっちを見てきてたから、何か言う前に黙らせて、ハーゲン○ッツのリッチミルクを追加させた。
そして笛が鳴る。2回目が始まった。さっきより心なしか早くなった縄に、20回目くらいで引っかかってしまったが、互いに声を掛け合って再び飛び始める。今度は引っかかることなくいけそうだったが、やはり20回を越えたあたりで誰かが引っかかってしまう。俺らが止まっている間に、緑や黄色は順調に回数を重ねていくので、焦りが出てきているのかもしれない。アナウンスが何か言っているが、気にしていられない。
「ドンマイドンマイ! 気にしないで次ガンバろ!」
神郷がパンッと手を打った。縄を回している二人もぜぇぜぇ言っているが、忘れずに掛け声をかけている。1回目よりも元気になったかもしれない。
調子に乗ってきたのか、どんどん回数を重ねていく。60、70、80。もしかしたら、青より飛べているんじゃないか?
『ラスト30秒です』
淡白な声がそう告げる。あと30秒だ、あと30秒しかない。もう引っかからずに飛ぶしかない。さっきよりも大きな声で、掛け声をかけて互いを励ましあった。
今度こそ終了の笛が鳴った。はあぁぁと、息が零れ落ちる。みんなくたくたになって座り込んでいる。また1組から結果発表だ。そして、赤91回、青86回、黄82回、緑70回という結果になった。さらに、集計した結果も発表された。
『赤組、167回。青組、174回。黄組、134回。緑、139回。結果は、青組が1位、赤組が2位――』
そう続いている間に、青組から歓声が上がる。疲れはどこへやら、跳ねたり踊ったり。勝利とは本当に不思議なものだ。
「ちぇ、もうちょっとで勝ったのに」
「まあいいじゃないか、2位だぜ、2位!」
ハッハッハ、なんてジジ臭い笑い方するなよ。でも、他のやつらもこの結果は嬉しいようで、青組ほど派手ではないが喜んでいるようだ。
「瀬川も素直に喜んだらどうなんだよ、このやろう」
「んだよ、絡むな、このっ!」
体育大会はまだまだこれからだってのに、肩に腕を回されて頭をむちゃくちゃにかき乱される。影薄の分際で……! 小豆バー2本にしてやる!
「よくやったぞー! おまいらぜーいん愛してる!!」
興奮しすぎてはしゃいでいる担任も、きっとこの輪の中に入りたいと思っているんだろうな。俺の代わりに入れてやりたいが、そういう訳にもいかない。
『それでは、選手の皆さんお疲れ様でした。退場します』
整列を促されて、まだ綺麗に並び終えていない間に、さっさと退場しろとアナウンスが。意外とアナウンスの人鬼畜か?
「これからちょっと間があってから、二人三脚だぞ、瀬川」
「うへ、最悪。腹痛で棄権とかありか?」
「……俺と組むのがそんなに嫌か」
「嫌だな。大縄での意外な成績の余韻に浸っていたい」
「1位は俺たちだけどなぁ、ふっふっふ!」
「ってぇな、狩燐」
「すまんすまん、やっぱり勝負事は勝つと気持ちいいもんだよなぁ」
肩に腕を回すのは流行か? だけど勢いがありすぎるとK.Oしかねないんじゃないか?
「次は赤が勝つから、覚悟しておけよ」
「ふへへ、やっぱそうじゃなくっちゃな。じゃねぇとつまんねぇし」
変な笑い方をされても狩燐だと違和感があまりない。それもそれでちょっと怖いけどな。
「ま、今の瀬川いつもどーりみたいだし、楽しくなりそうな事には変わりねぇわ」
「いつもどーりも何も、変わった覚えがねぇからわからねぇな」
「ハハ、まあいいさ。次も勝利掻っ攫ってくから、よろしくなー」
「おぅ、惨敗して泣け」
自分のクラスメイトにも、俺と同じように絡んでいった狩燐の後姿にそういった。なんだかんだで、俺も体育大会楽しんでるんだな。
「こうなったら、意地でも勝って、小橋にアイス奢らせまくってやる!」
「は!? ちょ、今のやり取りとアイス奢るのは関係ねぇだろ!!」
知ったこっちゃねぇよ。にしても、喉渇いた。早く戻ってアクエリ飲みたい。
「頼む、アイス関連で無視はやめてくれ、払いたくない! 頼むからやめてくれぇぇ!」
次話は来週か再来週更新予定です。




