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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第四章 メインディッシュは体育大会
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107、空振る心、生徒知らず!?

 「連絡事項は特にねぇ! さぁ野郎共、校庭に行きやがれ!」

 なんて先生が言うセリフじゃねぇだろ。連絡事項あるだろ。明日は開校記念日で休みだろうが。ちゃんと口で言えよ、黒板に書けば何でも伝わると思うなよ。てかさ、漢字間違ってるから。開港記念日じゃねぇよ、開校だよ開『校』。

 「今日は何の練習だっけ?」

 「えっとぉ、大縄?」

 ガヤガヤし始めた教室の中で、そんな会話が聞こえてしまった。今日は大縄なのか……。まあ、何にせよやる気はでねぇわ。

 「瀬川ー、行くぞー」

 「……はあ」

 「何でため息!?」

 小橋に呼ばれて行ったみたいな流れは全力で拒絶してぇんだよ。分かれよ。お前の隣になんか居たくねぇんだよ。

 「おいこら、全部聞こえてるぞ」

 なに!? お前、いつの間に読心術なんか身に付けやがった!

 「いや全部言ってるからな!?」

 んだよ、つまんねぇな。てかさ、最近この展開多くね?

 「知らねぇよ。ともかく行くぞ」

 分かってるって。行けばいいんだろ行けば。あー面倒くせぇ。もうやる気ねぇわ。

 「いい加減さ、回想で喋るみたいなのやめる気はないのか?」

 それはあれだ、気分で決める。だから、

 「影薄には関係ない」

 「そこだけ口にするんじゃねぇよ!」

 「いちいちうるさい奴だな、小姑か」

 「お前のやる気がなさ過ぎるから、俺が仕方なくうるさく言ってるだけだよ」

 「じゃあやる気出したら話しかけてこねぇの? 友達としてそれってどうよ」

 冷ややかな目を小橋に向けつつ、ハチマキを手に持って席を立つ。もう教室に残っているのは俺らくらいしかいなかった。あまり行動が遅いと、熱血的空回りの担任がうるさいからだ。

 「だいたい瀬川はやる気を出そうがそうじゃなかろうが、うるさいと思ってるだろ」

 「まあな。事実だからな」

 「それこそ友達としてどうなんだよ……」

 「まー、いいんじゃね」

 「良くない。俺の精神衛生的に」

 「たまには頑張るかなぁ。しかしなぁ、やる気なんて出ねぇもんは出ねぇからなぁ」

 「俺の話は無視か」

 もちろん無視に決まってるだろ。聞きたくない事は聞かない主義なんだ。やりたくない事もやらない主義なんだよ。なんだかんだで長い付き合いなんだから、そろそろ察してもいいだろ?

 「なぁ、影薄君」

 「影薄じゃねぇよ! 小橋だよ、こ・ば・し!」

 「るせーな。耳元で叫ぶな」

 そんなこんなで、下駄箱に到着。せかせかと上履きを運動靴へと履き替える、働き蜂のような生徒を尻目に、俺はひとつひとつの動作をマイペースで行う。まず、自分の靴がある下駄箱の前まで来る。ロッカーのような下駄箱ではないそれには、薄汚れた上履きがそれぞれの定位置に納まっている。男女で別けられたそれは、青が男、赤が女。すでに俺のクラスメイト達は外に出ているようで、俺と小橋の靴だけがそこに入っていた。

 「うげ、また一番最後じゃん」

 「お前の小言がうるさいからだ」

 「小言を言わせてるのはどこの誰だよ」

 「そりゃ床ヶ野誰香どこかのだれかさんだろ」

 「それこそ誰だよ!」

 「床ヶ野誰香さんは床ヶ野誰香さんだろ」

 「知らねぇよそんなやつ!」

 「当たり前だろ、俺達と一緒で架空の人物だからな。てか逆に知ってたら紹介してくれ」

 「知らねーよ、そんなやつ! しかもさりげなくシビアな返答してくれてんじゃねぇよ!」

 ほんっと、いちいちうるさい奴だな。叫ばなくても聞こえてるっつーの。

 小橋は腕を組んで、イライラと右の人差し指で左の二の腕を叩きながら、俺がのたのたと靴を履き替えるのを律儀にも待っている。それを気にせずゆっくりと靴紐を結びなおしていると、階段をものすごいスピードで下りてくる足音がしてきた。同時に、ピーとやや乾いた笛の音が校庭に響く。

 「さっさとしろよ瀬川。また俺まで怒られるだろ」

 「先に行ってればいいだろうが」

 「俺が見張ってないとお前は」

 「うばぎゃ!」

 サボるからな。小橋がそう言うが早いか、重なるように奇声が廊下を響いていく。聞き覚えのある声に、思わず振り返った。

 「森野ストーカーだ」

 「あら、ダーリン。奇遇ね」

 鼻血を垂れ流し、不格好に廊下に倒れているバカと目が合った。何をどうすればそんなに綺麗に階段から落ちれるものか、少し聞いてみたい気もするな。

 再び笛の音が響く。それから少し遅れて、乾いた土を踏む多くの足音が聞こえた。

 「ふふぁ!」

 ガバッと立ち上がり、走り出す。俺と小橋のいる下駄箱の裏に回ると、2秒くらいで運動靴に履き替えて校庭へ消えていった。

 「今のはなんだったんだ?」

 「さ、さあな」

 小首をかしげる小橋は苦笑いしていた。まー、正直どうでもいい。

 「俺らも行くぞ」

 「分かってるっつーの、うるせぇなぁ」

 しぶしぶ立ち上がって、小橋に引っ張られるがままに昇降口を出た。パラパラと同級生達がクラスごとに別れて、整列を始めている。森野もその黒い頭の渦の中にいた。

 「遅いぞー」

 おそらく神郷だと思われる男子が手を振って俺らを呼ぶ。小橋はそのまま俺を引っ張っていく。これ、楽でいいかも。

 「今日はギリギリセーフだな」

 「いつも瀬川のせいでギリギリセーフだよ」

 先に行きゃいいだろ、先に。

 「今日って合同練習だったか?」

 「違うけど、笛がなると集まりたくなるだろ?」

 どういう理屈だ。

 「まあ、大縄は多く飛べりゃ勝ちみたいだし、簡単でいいよな」

 「確かにそうだな。瀬川もこれくらいは本気出せよ」

 「俺はいつでも半分くらい本気だぞ」

 「ならもたもたしてないで、早く行動しろや」

 「てめぇに命令されたくねぇんだよ」

 「ねね! 縄って誰が回すの?」

 ひょっこり顔を出す学級委員長♀。

 「……ねぇ、その表記酷くない?」

 なんでこう読心術に長けてるキャラが多いんだよ。

 「口に出してるからな」

 「口に出してるもんね」

 「口に出す方が悪い」

 とりあえず、小橋は黙ろうか。

 「何で俺だけ!?」

 「で、集まったはいいけど、どーすんの?」

 「とりあえず、回す人決めないといけないね」

 「そーだなぁ。ジャンケンとかは?」

 「適当に決めすぎるのも良くないと思うよ」

 「回すのが何気に重要だったりするからな」

 「無視かこら!」

 うるせぇな。何度も言ってんじゃねぇか、耳元で叫ばなくても聞こえるって。

 周りを見回せば、わらわらと集まったはいいものの、特に号令をする者もなしに友達同士のグループで徐々に集まっていき、ザワザワとし始めた。さすがにクラスの輪を外れて会話する者は少ないが。

 「兎にも角にも、まずは行動だよね」

 ぐっと右手を握り締め、学級委員♀はその目を輝かせた。

 「行動しようにも縄がねぇだろ」

 「あ……」

 考えてなかった。そんな顔をするなよ。

 「せんせーが持ってきてくれるはずだな」

 「そのせんせーがいねぇな」

 「あぁ、いないね」

 ニコニコ顔で言う事じゃないと思うぞ、学級委員♂。

 「4組はこっちに集まってー!」

 よく通る声が注目を集める。緑のハチマキを頭に巻いた数人が動き出す。それにつられてか、他の緑達もぞろぞろと歩き出す。まさにそれが合図だったかのように青が動き、しばらくしてから黄色も他のクラスとぶつからない程度の距離を保って大縄の練習を始めた。相変わらず会話を続けているのは赤だけになった。

 「他のクラスは縄があるのに、なんでうちにはないんだ?」

 「燃えすぎてる担任が悪い」

 やる気は十分あるのだろうが、それが空回りしている感が否めない。空振り3審どころじゃない。球が来るより先にバッドを振り回しているのだから、当たるわけもないのだ。

 「ねぇ、瀬川君」

 「あ?」

 「さっきから小橋君がやけに落ち込んで、背中に黒い物を背負ってるんだけど……。どうすればいいかな?」

 「あー」

 忘れてたな、そういや。

 隣にいたはずの小橋、もとい影薄は、俺達に背を向けて座り込み、地面に∞を字をひたすらに書き続けていた。何か呪詛じみた言葉が聞こえてくる気はするが、まあそれは今回のところはスルーという事にしておこう。

 「おい、かげ……小橋。縄さえあれば練習できんだけど」

 「それがどうした俺には関係だろ大体生きている意味すら俺にはないんだからお前ら勝手に仲良くやってれば良いじゃないか」

 なんだよコイツ、超めんどくせぇ。

 「どうせ俺が動いたって何か言ったって誰も耳をかさねぇんだから何もしない方が俺自身傷つかないだろだったらそれで良いよもう知らねぇよどうにでもなれよ」

 「何勝手にネガティブになってんだよ」

 パシっと小気味いい音を立てて頭をはたくと、怨めしげにかげ……小橋は俺を見上げた。

 「お前が縄を空振り先生からとってきたら、そりゃもうとっても助かるんだがなぁ」

 「だからなんだってんだ」

 「お前が動いた結果が俺らに繋がる」

 砕け散ったガラス細工のハートは修復作業が終了したらしい。動かし続けていた指を止めて、何かを決意したかのように立ち上がると、かげう……小橋は俺の目の前に立った。

 「俺、行ってくるよ!」

 「おう、行って来い。待ってるぞ」

 「おうよ、任せとけ!」

 元気なバカは昇降口へと走っていた。奴の頭は何でできてんだろ。

 「よし、コレで練習はできるな」

 「時々瀬川は残酷だよな」

 「気のせいだ」

 「で、でも、明らかにあれはただのパシりじゃ……」

 言うな学級委員♀。あれはパシりではなく、小橋もとい影薄を助けるための言葉だったのだぞ。

 「いーち、にー、さーん、しー、ごー」

 それぞれ各色から、それぞれ違った声音が響いて空へ吸い込まれていく。自分を英雄のように思っている男は、そろそろ職員室に着いた頃だろうか。


 見上げた空に、楽しげな声に、誰かを探す。


 柄にもない事を考えた自分を嘲笑わらって、見事にパシりとして使われた友人の帰りを待った。体を動かしたい。なぜだか無性に心が騒いでいた。


とりあえず土下座。もう即行で土下座。頭が地面にめり込むまで土下座。


また約1ヶ月放置してしまったよ。

いろいろ忙しかった。まあ確かにそうだろうよ、受験生だからな。だけどさ、下弦鴉の中身よ。


やる事はやろう? な?


お前さ、新作の話進めすぎなんだよ。もうなんだ、10話ぐらい溜まってんだろ。そのせいでコレが下の方にいっちまってよ、執筆中小説一覧に表示されなくなっちまってよ。バカだろお前、バカなんだろ。

新しく書かなくてもあるんだよ、途中のがあんだよ。忘れてんじゃねぇよ。


……もうため息もでねぇわ。呆れてものも言えねぇ。


自分、頑張ろうか、もう少しで良いから。


そんなこんなで、だいぶ更新が遅くなってしまって大変申し訳ございませんでした。

ネタ的には潤っておりました。これまで類を見ないほどに。渇きなど知らず。ただ、進むべき道のわき道へそれてしまった。それが間違いでした。


もう何も言えません。明日がクリスマスだろうが今年が残りわずかだろうが、何も言えません。


これからも不定期な更新になるでしょうが、新たな年も今までどおりにのんびりと更新を待っていただけるととても嬉しい限りでございます。


それでは皆様、良いお年を!

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