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ドSな俺と、ドMなアイツ  作者: 下弦 鴉
第四章 メインディッシュは体育大会
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104/117

103、やる気のなさは、限りなく!?


大変長らくお待たせいたしました。ついに『ドSな俺と、ドMなアイツ』再始動です!

どれだけの人が待ち望んでくださったのかは不明ですが、これからはちまちままた更新を再開していきますので、どうぞお楽しみに!


それでは、久しぶりに本編へどうぞ!



 「おはよ、瀬川」

 「おう、誰だ」

 「ちょ、おま、酷くねぇか!?」

 誰かわかんねぇもんは分からないよな。うんうん。分かりたくもない。てか、マジで誰だ。

 「小橋だよ小橋!」

 「あー、はいはい。隣のクラスの小橋武朗君ね」

 「それこそ誰だよ!」

 あれ、違うのか。じゃあ知らねぇな。無視でいいや無視で。

 つー訳でだ、ただ今絶賛登校中。朝の日差しが和らぐ季節、つまり秋になったよ。つい最近まで太陽の野郎はガンガンに働いてたけどさ、疲れたみたいだから弱ってやんのな。夏に頑張りすぎるからいけねぇんだよ。大体バカなんだよ、ああいう熱いやつは。

 「おーい、無視か?」

 まだ衣替えの季節じゃねぇが、長袖で暑くはないな。ちょうどいいくらいだろ。まー、俺はまだ半袖でいい。クリーニングから長袖が返ってきてねぇからもあるけど、なんか面倒なんだよなぁ、長袖。

 「瀬川ー。瀬川きゅーん」

 「んだよ気色悪いな。てか誰だよ」

 「小橋だってさっき言っただろ!?」

 「あぁ、同じクラスの小橋武朗だろ?」

 「隣のクラスじゃなかったのかよ!」

 「そんな事言ったかも知れねぇな」

 「言ったよ! 確実に言ってた!」

 朝からウゼェな。ウゼェといえば、ストーカーが珍しく貼り付いてこないな。バカでも風邪引くのか? もしくは死んだのか?

 「なぁ瀬川」

 「んだよ」

 「確か今日からじゃなかったか?」

 「何がだ」

 「体育大会の練習」

 「知るか」

 「いや、知るかじゃねぇだろ。担任張り切ってたじゃんか」

 「忘れた」

 「お前反応が冷たいな」

 「そだな」

 「お前、やる気ないだろ」

 「ねぇな」

 「……お前に聞いた俺が馬鹿だった」

 今更気付いたか、武朗君。

 そう、俺は体育大会が嫌いだ。嫌いなものランキングで言うと、ゴキ○リの次の次の次くらいに嫌いだ。あと音楽会とか言うふざけたやつも嫌いだ、同じくらいに。まあ、文化祭も嫌いだけどな。

 簡潔に言えば、学校行事が全体的に嫌いなんだよ。だって面倒じゃねぇか。いいじゃねぇかよ、好きなやつが好きなやつだけで盛り上がってりゃぁよ。俺は動きたくねぇんだよ。働きたくもねぇんだよ。できるだけ自分のペースで生きていたいんだよ。分かってくれよコノヤロウ。

 「んで、それがどうしたんだよ」

 「いや、練習サボったら担任がすごそうだなぁって」

 「あー……。まあ、大丈夫なんじゃね?」

 「安直だな」

 「考えるのが億劫だ」

 「そこまで言うようになったか」

 「俺は自由がほしい。ふりーだむ!」

 「今は自由じゃねぇってか」

 「それなりに自由だな」

 校門が見えてくる。青葉が散りつつあるが、まだ頑張ってる青葉は枝に踏ん張って張り付いてるし、力尽きたのは教頭に箒で排除されるだけだ。

 「そういや、珍しくあの超絶毒舌女と会わなかったな」

 「超絶毒舌女かどうかは知らねぇが、ストーカーに会わないで始まる1日ほど素晴らしいものはねぇよ」

 下駄箱に自分の靴を入れる。何気なく会話を弾ませていた、隣の小橋も同じように靴をしまって、上履きに履き替えた。そしてようやく、俺はピンときた。

 「あ、お前小橋か。小橋泰助か」

 「今更気付いたのかよ! てか、まだ俺だと知らずに話してたのかよ! つーかいつまでそのネタ引きずってんだよ!」




 「いいか野郎共! 体育祭は汗と涙があってこそ成り立つ! そこに人は感動を覚えるのだ!」

 黒板にでかでかと『萌えよ、体育祭!』などと書きなぐった担任は、満足げに胸を張る。いろいろとつっこみたいんだが、今注意した方がいいのか? ていうか、己のミスにやつは気付いているのか? ていうか帰っていいか?

 「せんせー」

 「なんだ!」

 名もなき登場人物Aが挙手をして、黒板を指差す。

 「萌えじゃないんじゃないですかー? 燃えるんじゃないんですかー?」

 静まり返る教室。言っちまった、アイツ言っちまったよ。みたいな空気に満ち満ちている。あー、帰りたい。帰って今週号のジャ○プが読みてぇ。

 そそくさと担任は動き出した。名もなき女子生徒Aは静かにそれを見守る。ていうか、クラス全体で先生を目で追う。やつは黒板消しを手に取った。さりげなく萌えの字を消し、堂々と燃えに書き換えた。そして、さりげなーく体育祭から体育大会へと換えた。

 「お前らが出る種目は、クラス対抗リレー・大縄跳び・学年競技・騎馬戦だ」

 そして当たり前のように話を進めやがった。何の問題もなかったかのようにサクサク進める。んだよ、つまんねぇな。

 「学級委員、あとはてきとーに決めてくれ。俺はちょっと……職員室いってくる」

 んでもって逃げた! アイツ逃げたよ絶対! この教室に居辛くなって逃げやがったよ!


 ガラガラ、カシャン


 「じゃー、適当に決めるか」

 神郷が伸びをしながら席を立つ。それに合わせて阪下も立った。

 「クラス対抗リレーは全員参加みたいだね」

 「んだなぁ。じゃ、これは順番決めるだけで良さげ?」

 「長くなりそうだから、最後に考えよう」

 「おけおけ。大縄も全員みたいだな。じゃー、騎馬戦と学年競技か」

 「そうだね。ところで、学年競技って何だろ」

 「ちょっと待てよ」


 パラッパラッ パシ!


 「これだこれ。短・長距離、男女3人ずつ計6名。ハードルも3人か。あとは……大ムカデってなんだ?」

 「大ムカデって知らないの?」

 「知らないな」

 「長いロープにね、一定間隔で手ぬぐいがついててね、それを足首に巻きつけてね、ゴールまで足並みそろえて走るんだよ」

 「ほえー。転んだら痛そうだな」

 「そうだねぇ。……他にはないの?」

 「二人三脚くらいだな。これは2組だけでいいって事は、男女合わせて8人か」

 「じゃあ、短・長距離、ハードル、大ムカデ、二人三脚を決めればいいのね」

 「そーゆー事だな」

 さすが学級委員というかなんというか。静かだから2人の会話しかねぇし、しみじみとうちのクラスの学級委員はしっかりしてると思ったよ。担任はボロボロだけどな。

 その後は阪下がカリカリと黒板に競技名を書いていく。神郷が競技名をいい、希望者を募る。挙手がされなかった種目は、体育委員と相談し、足の速い者は短・長距離走へまわされ、体育のハードルで成績が良かった者はそっちへまわされた。放課後だったし、練習期間でもあるからと、熱心なやつらは校庭へと出て行った。

 「瀬川君はどっちがいい?」

 「どっちもやだ」

 「そこをなんとか頼むよ、姫君」

 「文化祭のネタを引きずんな」

 俺はもちろん決まってない。やる気がねぇんだよ、どうしようもねぇだろ?

 「短距離にすればよかったのに、譲っちゃうから決まらないんだよ?」

 「走る事のどこが楽しいんだ。疲れるだけじゃねぇかよ」

 「ゴールテープ切れると嬉しいでしょ?」

 「何も感じねぇ」

 「え、そ、そんな事はないよ! 一番になったって、嬉しいでしょ?」

 「べっつにぃ」

 「えぇぇ……」

 「分かれ、阪下。瀬川はこういうやつなんだよ」

 人聞き悪いな。

 「じゃあ、俺と」

 「断る」

 「まだいい終わってねぇし!」

 「お前と二人三脚? はっ、笑わせんな」

 「ひでぇ!」

 小橋撃沈。そういや、コイツも出る種目決まってなかったな。器用貧乏だからしかたねぇか。

 「いいじゃない、二人三脚。2人とも仲良いし」

 「はぁ!?」

 「どこがだよ、どこがどう仲良く見えんだよ」

 「え、え?」

 戸惑うなら言うなよ。てかなんで神郷は笑い転げてんだよ。

 「それが嫌なら大ムカデだよ?」

 目線で残ったやつらを見る。普段根暗で話さないようなやつばっかりが集まってやがる。体育会系のやつもチラホラと混ざってるが、あの中に入りたくない。だからと言って、

 「小橋と二人三脚も屈辱だな」

 「おいおい、屈辱って何だ!」

 「しまった、いつの間にか心の声が」

 「わざとだろ? わざとなんだろ!?」

 気にするな。気にしたら負けだと思え。そうだ、お前は強い子だ。大丈夫、俺がいなくてもお前は生きていけるさ。俺はそう信じてるぜ。

 「しかたねぇな。二人三角でいいよ」

 「二人三脚な」

 「そーそー、それそれ」

 「二人三角って、何やるんだろ……」

 「2人でどれだけ上手く三角が書けるか的な?」

 「よく分かんないよ、瀬川君……」

 「気にすんな。んじゃ決まりって事で」

 どっこらしょい。

 「あれ、練習していかないの?」

 「俺達仲良しだからさぁ、練習とかいらねぇのよ。絆っつーか、そういう紐でもう繋がれてんだよ、何年もな」

 「おーい、カッコ良い事言って帰ろうとしてるぞ」

 「うるさい黙れ小橋武朗君」

 「だからそれ誰なんだよ!」

 「さーな」

 「てか帰んな! 練習していけー!」

 逃げたもん勝ち。帰ったもん勝ち。何事も先に行動した方が勝者なんだよ、小橋武朗君。

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