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いつも読んで頂いてありがとうございます。
時は少し、遡る。
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「へぇ、こんな子ども騙しの罠を張ってくれるとはね! 俺も舐められたものだな!」
「そんなことないわよ? ちゃんと、銀狼特製の罠にしたんだから! でも、良かったわ、引っかかってくれて! 貴方なら、わざとでも引っかかってくれるって、信じていたわ!」
私は、自信あり気に笑みが浮かんだ。
「チッ! 俺としたことが、油断したな!」
「ふふっ、油断……ねぇ……。まっ、そういうことにしときましょうか! それよりも、時間がないから、早々にここは引き上げたいのよね。だから、早く移動しちゃいましょう? ミーナ、お願い」
私の言葉に頷いたミーナが詠唱を始め、予め書いておいた転移魔法陣を作動させる。
フィリップス王子たちの部屋へと。
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魔法陣の作動と共に、両手両脚を縛った状態の銀狼と私たちは、フィリップスたちの目の前に立っていた。
「ねっ、私の言ったとおりだったでしょう? 賭けは私の勝ちよ!」
目の前のフィリップスに向かって告げていた。
私の言葉に、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたフィリップスを無視して、続けて言葉をかける。
「……ということだから、次の作戦も、私の案で決まりね!」
「その前に、こいつらの始末はどうする?」
「そうねぇ……持ち主に返してもいいけど、それだと、貴方たちは全員、始末されちゃうわね?」
私は、今までの恨みつらみもあり、意地の悪い表情を浮かべてしまった。
銀狼を除いた男たちの表情がこわばる。
「貴方は不安にならないの、銀狼? 自分が処刑される段階になっても、そのニヤついた表情でいられるかしら?」
「俺は、死なないさ! 殺せないからな」
銀狼が不敵な笑いを浮かべる。
「ふーん……」
銀狼を目をすがめて視る。
「ルナッ! 決着をつけるのなら、早い方がいいんだろっ?」
突然、横からフィリップスが話しかけてきた。
「そうね、今は夜中だけど……。寝ていたとしても、起きて貰えば、いい話だし! じゃあ、行きましょう!」
ミーナを先頭に、私が続く。
そして、銀狼の縄を引っ張って歩かせたのは、勿論、フィリップスだった。
「どこへ連れて行くんだ?」
「行けば、分かるわよ。そこには、貴方が喉から手が出るほど欲しがっている物もあるしね」
銀狼の方をチラリと見ると、青ざめてみえた。
あら、驚かせてしまったかしら?
でも、このくらいの手札を見せなければ、釣られはしないだろう。
私たちは、宿の裏側に出ていた。
フィリップスの従者であるプリウスは、不満そうな顔をしている。
自分の一緒に行って、フィリップスを守りたいのだろう。
だが、この転移魔法陣では、4人が限界だった。
だから、仕方ないではないか!
私とミーナ、フィリップスと銀狼が中央に集まり、隠していた魔法陣を浮かびあがらせる。
今度は、遠方に飛ぶ必要があるため、私とミーナの二人で詠唱を始める。
私の増幅魔法を魔法陣自体と詠唱の魔力、そして、ミーナ自身へと重ねさせていく。
魔法陣が発動し、私たちは、違う場所へ立っていた。
「あら、お父様、夜中だというのに起きていらしたのね? それとも、お年寄りは、早く目が覚めるものなのかしら?」
私たちが、転移してきた場所……それは、ラインストーン公国国王の執務室だった。
目の前にいたのは、父王と宰相であるグリンラス卿だった。
そして、その周囲には近衛騎士も控えていた。
「飛んで火にいる夏の虫とは、お前のことだな、ルナ? それにしても、お前のその口調……品のない! やはり、育ちが知れるな!」
私を見つめる瞳と口調は、冷たい。
私は、皮肉な笑みを浮かべた。
「貴方は、そこまで私のことを知らないでしょう? 何にも見てこなかったくせに!」
「知っているさ。お前が母親と同じ、卑しい女だということはな!」
父王は、無表情に告げた。
王の言葉に、フィリップスが憤る。
私は大丈夫だから、口出ししないで、という意味を込めて、彼へ向かって微笑む。
すると、渋々、彼も頷き返した。
銀狼は、大人しく縄に繋がれたまま、高みの見物を決めこんでいるようだった。
顔つきがニヤついていた。
私は、父王へ向かって言葉を告げる。
「私の母ってことは、お父様の妃でしょう?」
「お父様などと呼ぶでないっ! 余はお前の父などではないわ! ましてや、あの女を妃になどしたことなどもない! あれは、誰にでも脚を開くあばずれだ! そんな女など、余の妃などであるはずがなかろうっ! 余の妃は、後にも先にもただ一人、ライオネルの母、サーシャのみ!」
父王は、あっさりと私の出生の秘密を口にした。
始めのうち父王は、したり顔をしていた。
しかし、私がさほど驚いていないことが、不審に思うのか、徐々に怪訝な顔つきとなる。
「あらっ、知らないふりはいけないわね、お・と・う・さ・ま?」
私は、わざとゆっくり言葉を紡いだ。
父王の無表情が崩れ、怒りの表情となる。
「私自身も嫌だけれど……私のこの身体には、確かにラインストーン公国国王の血が流れていますわ! それは、お父様も否定できないはず。そう、貴方は、単なる生物学上の父であるだけ。本当の意味での父親などではないわね? だから、私も貴方に従う必要など無いのだわ!」
私は、父王をわざと怒らせるように挑発の言葉を続けた。




