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小さな兄弟
弘基は開け放されたドアから廊下の様子を覗った。
いまのところ誰もいない。
今なら階下の部屋へ子供を連れて戻れる。
弘基は改めて、異常なほど白い子供の顔を見た。恐怖で血の気を失せた白さじゃない。
弘基と同様皮膚に色素がないアルビノの特徴だ。
子供の目はじっと広基を見つめていた。
子供はまるで自分の運命を受け入れ覚悟を決めたように、泣きもせず押し黙っていた。
そんな子供に弘基は笑みで囁いた。
「俺たちのような星の下に生まれた人間は、幸か不幸か早く大人になってしまう。なあ、小さな兄弟」
『兄さん!奴らが向かいの部屋から出てくる。まだ、廊下に出るな』
元基の声が弘基の脳内で響いた。
「相手は何人だ?」弘基は元基に尋ねた。
『十人だ。ほかの部屋にも十五、六人いる。敵が多すぎる。その部屋に隠れてやり過ごすしかない』
「どこに隠れても、見つかるのは時間の問題だ。ここで一戦交えるしかない」
弘基は倒した兵士から銃器をつかみ取った。三十ミリ径の機銃だ。
ずっしりと重い鉄の塊だ。この重さが体の機敏さを削いでしまう。
しかも胸には子供を抱えている。
弘基は子供を下ろし告げた。
「小さな兄弟。しばらく耳を塞いで、目を瞑りここにいるんだ。俺は必ずお前を助け出す。分かるな」




