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最後のピエロ  作者: ハロル・ロイド
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真夜中の攻撃

大きな屋敷の玄関前に黒いセダンが止まった。続いて黒い装甲車と、トラックが屋敷の周りを囲んだ。トラックの荷台からは制服を着こんだ武装兵士が続けざまに降り、玄関の前に集結した。


セダンからは黒いコートに身を固めた男が四人出てきた。

四人とも黒い中折れハットを深々と被っている。


一人がインターホンの呼び出し音を押した。

二分経っても応答がない。

もう一度押した。今度は続けざまに十回以上押し続けた。

「誰だ!こんな夜遅く」

スピーカーから怒号のような声が響いた。


「すみません。特広局の鎌田という者です」

チャイムを押した男は、インターホンのカメラに向かって身分証明書を見せた。


「特広局?…いったい何の用だ」


「はい。先ほども所轄の警察が連絡したと思うんですが、この辺一帯、避難をお願いしているんです。半径二キロ内の住民の方々は全てこちらが用意した仮の住まいに移動してもらっています。あとは山岡さん、お宅だけなんです。何とか移動をお願いします」


「凶悪犯が人質を捕らえて立てこもっているんだろう?」


「はい。ご存知かと思いますがジョーカーという連続殺人犯で、銃を所持しているらしいのです。危険ですので避難のほどを」


「家の主の山岡は、必要ないと言ってる。あんたら勝手にそのジョーカーという奴とドンパチすればいい。山岡はこの家から一歩も外には出ないと言っている」


「山岡さんにお伝えください。ヒョットすると流れ弾が飛んでくるかもしれませんと」


「うちの山岡は流れ弾を怖がるようなヤワな人じゃないんだよ。とにかく、構わねえと言ってるんだ!トットと帰れ!」


「そうですか。よくわかりました。では」

そう言いながら、鎌田という男は右手を上げ、ユックリおろした。


それを見ていた兵士たちは、一斉に装甲車の後部に隊列を組んだ。

装甲車は玄関の巨大な門扉に向かって前進した。

鉄製の門扉はきしみ、へし折れ、装甲車の巨大なタイヤの下に潰された。後ろで隊列を組んでいた兵士たちは、なだれ込むように屋敷に向かい、ライフルや機銃を構え、一斉射撃を始めた。

光の弾となり屋敷の窓、壁、ドアめがけて放たれた。無数の閃光は家を破壊尽くす勢いだ。


一人の黒コートの男は鎌田に尋ねた。

「マスコミは全てシャットアウトしてある。兵士たちの実施訓練にはもってこいのシチュエーションだ。ところで、命乞いに出てきた連中はどうする?」


「ミスターXの指示の一つ、我々の命令に背く反社会的集団は一掃しろとのことだ。かまうことはない。一人残らず殺せ」鎌田は、そう言った後、取り出したガムを一つ口に入れ噛みこんだ。




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