ルーツ
三浦の情報を聞いて、水木の表情が一瞬曇った。
「奥村が但馬を殺したのか?仲間割れが起きたのか?一体何が原因だ」
内部分裂、一番恐れている事態が始まったのかと水木は想像した。
「いいえ、但馬を殺したのはもう一人の人物です」
「もう一人の人物?そいつは誰だ」
「我々が追っている男、ジョーカーです」
「ジョーカ?ジョーカーがなぜ但馬を殺したのだ。奥村はなぜ我々を裏切りジョーカーの手先になったのだ」
水木は三浦に畳みかけるように問い詰めた。
「それを調べるのがお前の役目ではないのか?」
ミスターXが諭すような口調で水木をたしなめた。
水木は、我に返り、口ごもった。
「この先、私を通さずに逐一、情報管理部からの新しい情報は特広局に直に入るようにしておく。その情報を元に迅速に捜査を進めるのだ。
水木、ジョーカーは必ず始末しろ。奴を生かしておけば、我々の長年の夢が潰えてしまう。国民は奴をおぞましい殺人鬼と呼んでいる。今ならどのような死に方でも、国民は喝采を挙げて喜ぶだろうよ」
「わかりました。必ず近いうちに朗報を持ってきます」
「わしの目の黒いうちにだぞ」
水木は、いつものように無表情な顔で大きく頷いた。
「ところで、私に何か質問があると言っていたが、一体何かね」
ミスターXは、水木の顔を探る様に見つめた。
水木は以前に質問事項をXに問い合わせていた。
Xと会えるのは、Xが会いたい時だけで、めったに会う機会はない。
それからずいぶん時間が経ち、質問の内容も水木は忘れかけていた、ぐらいだ。
「別に大したことではありません、今でなくても、また今度の機会でも」
「水木、わしを幾つだと思っている。今度会う時はわしが荼毘に付している時かもしれんのだぞ」
「そんな…」水木は答えに詰まった。
まだそんなお歳ではありません、、なんて滑稽なお世辞などXには通由しない。
そんな事を言えば機嫌を悪くするのが関の山だ。
ミスターXの目は、笑ってはいない。
この時を逃せば二度と答えを聞くことはできないだろう。と、水木は確信した。
水木は部下達に告げた。
「この場を離れてくれないか」
水木はXと二人だけで、たずねようと思った。
「かまわん。君たちは同じS群のグループだ。君たちは同じ血を共有している仲間だ。いわば兄弟、姉妹の関係だ。秘密は必要ない」
水木は一つ頷き、大きく深呼吸した。
「お尋ねしたかったのは、我々自信の事です」
「君達の事?なんだね」
そう尋ねたXは無表情だ。
「つまり、聞きたいのは、我々のルーツです」
Xは、一瞬笑みを浮かべたが、すぐにそれを消し去りいつもの無表情に変わった。
暫く、黙り込み寡黙になった。
Xは一つため息を吐き水木達の顔を眺めた。
「いつかは話さなければ、、と思っていた。いい機会だ、この場で話そう」




