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最後のピエロ  作者: ハロル・ロイド
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嘘と真実

「これがあずま たけし、エヌゼロイチ、君の過去だ」

エヌゼロイチはしばらく老人の皺の縒った目の瞳を眺めた。そして、皮肉な笑みを浮かべ言った。

「その話を信用しろと?いうのですか」

但馬は青い血管の浮きでた大きな手で、乱れた白髪を撫でるように整えた。

「これが事実だ。あの時君が父親を撃たなければ、君と父親は我々が始末しなければならなかった。死の淵からよみがえり、何十回と繰り返される皮膚移植の手術に耐え、学業、心身ともに優秀な成績を修めた君を助けたかった。だから…あのような話を作ったのだ」


エヌゼロイチの笑みは消え、但馬の目を食い入るように見た。その話が真実か嘘かを見抜くように。


「エヌゼロイチ、君の本当の敵は目の前の私であり、この組織であり、そしてこの組織を作った

ミスターxだ」


エヌゼロイチは考えあぐねていた。

但馬の話はほんとなのか。その話が事実だとしたら今まで自分が信じていたものがすべて崩れていく。

今まで正義だと思い、無理やり心を鬼にして命令に忠実に従った自分が跡形もなく溶けていく。


「エヌゼロイチ、ミスターxの命令はこの屋敷内のすべてを始末しろと言われたのだろ」但馬は言った。


但馬の言うとおりだ。ミスターxの指示はこの屋敷内の動くものはすべて抹殺しろということだ。

ミスターxの片腕ともいわれる但馬でさえ、殺せとの命令だ。


「嘘ばかりで固めたこの組織にはもう飽き飽きしたよ。

つまり、すべてを失った老人が最後の最後に本当のことを君に告げた。と、いうことだ。君は迷惑だろうなあ。

だが、この話を信用するかどうかは君の自由だ」そう言いながら、但馬は何かを口に含んだ。


エヌゼロイチはそれを見て、「しまった」と叫び、但馬に駆け寄った。

「口に入れたものを出せ。吐き出せ!」


虚ろな目を天井に向け、但馬は呟いた。

「この組織を信用する…な…………」









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