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最後のピエロ  作者: ハロル・ロイド
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ジョーカー

「お父さん、行ってきます」

高校生の藤田小百合は急いで玄関に向かった。


「朝ごはん食べなくていいのか!」父親の野太い声が玄関まで響いた。

「今日は試験があるの。食べてたら送れちゃう」

その声と共に玄関のドアのしまる音が鳴った。


「全く、もっと早く起きれば良いのに、ご飯を食べずにテストを受けたっていい点数が取れるものか」

藤田幸平は、自分の食べた食器を流しで洗いながら呟いた。


夕飯のおかずは冷蔵庫にある、チンして食べろ

幸平はそうメモを書きテーブルに置いた。

「じゃあ、行ってくるよ」

そう言いながら幸平は居間の隅にある小さな仏壇に手を合わせた。

仏壇の前には優しい笑顔の女性の写真立てがあった。


妻の三回忌を数日前に済ませた幸平は、娘の小百合と二人暮らし。

その生活にもようやく慣れてきた。

朝ごはんと夕ご飯の用意は全て幸平が行っている。

最初の頃、娘の小百合は、自分が支度すると言っていたが、作る物はいつも同じメニュ。

カレーにラーメン、スパゲッティにハンバーグほとんどその繰り替えし。

幸平は食べ飽きた。

という事で、食事は全て幸平が行い洗濯や、家の掃除は娘に任せることにした。


幸平は警察官だ。いわゆる私服刑事、しかも強行係。凶悪犯罪を手がけている。

ひとたび事件が起きれば、家に帰ることはままならないのは度々。


もちろん、娘は幸平の仕事を理解してくれている。

しかし、母親が死んだ後に部屋にポツンと一人で食事を食べる娘が不憫だ。

幸い、幸平の姉が側にいるので、事件が長丁場になったときは娘の面倒を見てくれてる。


その点非常に助かっている。

幸平は姉には頭が上がらなかった。


幸平は、ドアの鍵を掛け仕事場に向かおうとした矢先、携帯が鳴った。

相手は、部下の下田という新米刑事だ。

こんな朝早くなんだ、不平をこぼしながら電話に出た。


「なんだ、朝早くから」


電話の向こうでは下田が慌てた口調で用件を告げた。

「課長、事件です。今朝早く繊維街で死体が発見されました。どうやら殺人事件のようです。

初動捜査に直ぐ合流しろとのことです」


「分った。このまま直行する」

どうせ、暴力団のイザコザだろう、と吐き捨て足早に現場に向かった。






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