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第4話 火球魔法を解析したら消費魔力が十分の一になった

第4話です。

研究所での最初の発明回になります。

研究所として使うことになった古い工房は、思っていたよりも広かった。


石壁の部屋に、長い作業台が並んでいる。

炉もあり、工具もいくつか残されていた。


「悪くない」


レオンは周囲を見回しながら言った。


王都の研究所と比べれば粗末だが、研究には十分だ。


アルドが腕を組んで立っている。


「研究所というからには、何か研究するんだろう?」


「当然だ」


レオンは机の上にノートを広げた。


びっしりと書き込まれた術式解析図。


魔力の流れを示す線が複雑に絡み合っている。


アルドはしばらく眺めてから言った。


「……正直に言おう」


「なんだ」


「何が書いてあるのか、さっぱりわからん」


レオンは肩をすくめた。


「普通だ」


この世界の魔術師は、魔法を感覚で扱う。


術式は理解するものではなく、覚えるものだ。


だからこそ、解析という概念がない。


「最初の研究テーマは決まっている」


レオンはノートをめくった。


そこには簡単な魔法陣が描かれている。


火球魔法。


「これだ」


アルドが目を細めた。


「一番基本の魔法じゃないか」


「だからだ」


レオンは答える。


「基礎ほど無駄が多い」


アルドは眉を上げる。


「無駄?」


「この術式を見ろ」


レオンは指で線をなぞった。


「第一回路」


「第二回路」


「熱変換部」


アルドは真剣な顔で聞いている。


「問題はここだ」


レオンは術式の中央を指した。


「魔力がここで拡散している」


「つまり?」


「威力が落ちる」


レオンは続ける。


「さらにここ」


もう一箇所を指す。


「魔力が逃げている」


「……それで?」


「消費魔力が増える」


アルドは腕を組んだ。


「つまり」


「今の火球魔法は」


レオンは言った。


「無駄だらけだ」


アルドは少し笑った。


「それを直すのか」


「そうだ」


レオンは空中に術式を描き始めた。


魔力の線が光となって浮かぶ。


第一回路を削る。


第二回路を圧縮する。


熱変換部を再配置する。


アルドは思わず声を漏らした。


「術式を書き換えているのか」


「解析の結果だ」


レオンは淡々と言う。


数分後。


新しい火球術式が完成した。


王都式と比べると、線の数は半分以下だ。


「……これで撃てるのか?」


アルドが聞く。


「撃てる」


レオンは外に出た。


研究所の裏手は空き地になっている。


ちょうどいい。


「見ていろ」


レオンは軽く詠唱した。


「《フレイム》」


火球が生まれる。


大きさは普通だ。


だが――


次の瞬間。


火球が爆発的に加速した。


――ドン!


地面がえぐれる。


アルドが目を見開いた。


「……おい」


レオンは冷静に言う。


「威力はほぼ同じだ」


「ほぼ?」


「少し上がった」


アルドは首を振る。


「威力の話じゃない」


「何がだ」


「魔力だ」


アルドは言う。


「魔力消費が明らかに少ない」


レオンは頷いた。


「十分の一だ」


アルドは黙った。


数秒後。


「……それは」


言葉を選ぶように言う。


「軍事バランスが変わるぞ」


レオンはあっさり答えた。


「変わるだろうな」


アルドは頭を抱えた。


「君は自覚がないのか」


「何がだ」


「それは革命だ」


レオンは空を見上げた。


王都の研究所では、誰も聞こうとしなかった言葉だ。


革命。


「まだ第一歩だ」


レオンは静かに言った。


「魔法はもっと変わる」


アルドは苦笑した。


「これ以上変わるのか?」


「変わる」


レオンは言う。


「魔法は技術になる」


アルドはため息をついた。


「王都が聞いたら気絶するぞ」


「そのうち聞くだろう」


レオンはノートを閉じた。


「研究所は始まったばかりだ」


そのとき、遠くから声が聞こえた。


「おーい!」


衛兵が走ってくる。


息を切らしている。


「アルド様!」


「どうした」


「さっきの魔法を見た冒険者たちが……」


衛兵は言った。


「研究所に来たいと言っています」


アルドは笑った。


「ほら見ろ」


レオンを指さす。


「もう噂になっている」


レオンは少しだけ口元を上げた。


研究はまだ始まったばかりだ。


だが、確信している。


この研究所は――


必ず世界を変える。

第4話を読んでいただきありがとうございます。


ついに研究所の最初の発明が完成しました。


ここから


魔法研究

魔道具開発

街の発展


がどんどん進んでいきます。


面白いと思っていただけたら

ブックマークや評価をいただけるととても励みになります。


次回は 研究所に人が集まり始める回 です。

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