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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
二つの岸の約束
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小鉢の置き場所

エルナと一緒に暮らすことを、俺は何度も想像していた。


想像の中の彼女は、たいてい俺が帰る頃に家にいた。


仕事を終えた俺の話を聞き、二人で食べ、同じ灯を消す。


彼女自身の仕事が遅くなる日は、都合よく想像の外へ置かれていた。


実際の彼女は、夕方に戻って来ると言って、夜に戻ることもあった。


俺の方が先に寝なければならない日もあり、翌朝の勤務は誰かへの愛情で短くならない。


だからこそ一緒にいたいのか、それとも、いつでも会える人を家に置きたいのか。


区別するのは、思ったより難しかった。


話を始めたのは、俺の家の上の部屋を片づけている時だった。


航海から持ち帰った紙を置く場所が足りなくなり、古い棚を動かしていた。


エルナは手伝いに来たのではなく、俺が借りていた物を取りに来た。


そのついでに、紙の束を床へ直接置くなと注意したので、結果として手伝う形になってしまった。


「ごめん、用事が増えた」


俺が言うと、彼女は紙の下へ板を差した。


「今から増やすのをやめてくれればいい」


俺は手を止め、脚のぐらつく棚を壁へ寄せた。


「ここに、もう少し泊まる日を増やせないかな」


言ってみると、想像していたより声が小さかった。


エルナはすぐには答えなかった。


窓の横の棚を見て、床の紙を見て、最後に俺の顔を見た。


「いま引っ越す話?」


「それより前の話。仕事や、お父さんのことを全部移すんじゃなくて。会いに来て、帰る時間を気にしてる日があるから」


「あるね」


彼女が認めてくれたので、俺は安心しかけた。


「でも、ここはあなた一人の家じゃない」


その通りだった。


夜に人が増えれば、朝に洗うものが増える。


台所の水も使う。


家を一緒にしたいと言いながら、そこに住んでいる人の仕事を増やすだけでは、あまり格好がつかない。


夕食の後に、父と母へ話した。


母はまず、エルナがいる日の食事の人数を、なるべく早く教えてほしいと言った。


父は、上の部屋に荷を積みすぎるなと言った。


二人とも、俺が期待していたより実務的だった。


「僕が台所の片づけを増やす」


少し勇ましく言うと、母は笑った。


「今、自分が使った分から始めたらいいわ」


自分の働きを先払いした気分で交渉していた俺は、そこで少し縮んだ。


セラは椅子から立つ時、エルナへ、嫌になったら帰る場所があるままでいいと言った。


それは俺への不信だけではなかった。


家を持つことと、出て行けなくなることを、同じにしない言葉だった。


エルナは父とも話した。


ロイは、その日の様子では、夜の予定を何度か確かめた。


彼女は何度か答え、翌朝に誰が来るかを紙へ書いた。


俺が代わりに答えるより、二人が必要な時間を使う方がよかった。


日によって変わる彼の状態を、一度の安心した返事で固定することはできなかった。


泊まる日は、まず少なく決めた。


工房の仕事が早く終わり、翌朝の支度が重ならない日。


彼女の家がなくなるわけではなく、俺の部屋が二人の恒久の家になるわけでもない。


それでも、畳んだ服を一着置くと、部屋の空気は変わった。


俺は市場で揃いの器を見つけていた。


二つ並べると、急に暮らしがそれらしくなる器だった。


買ってしまえば彼女も喜ぶだろうと考え、値段まで聞いた。


だが、荷を入れる棚の前に立った時、青灰色の小鉢を思い出した。


「小鉢は、どこに置きたい?」


俺は尋ねた。


エルナは窓際を指しかけ、日が強く当たるのを見て、奥の低い所を選んだ。


「ここ。私が来ない日に、他の物で埋めないで」


「分かった」


「分かったって言っただけで、空く?」


俺は積んでいた紙を動かした。


そこには彼女の器が入る幅と、出す時に指が入る余裕ができた。


俺はその余裕を、最初から考えたような顔をしなかった。


最初の夜、彼女は遅くまで紙を読んでいた。


俺は翌朝の灯台勤務があり、先に横になった。


彼女の背中を見ているうちに、寂しさに似たものが胸を掠めた。


一緒にいるのだから、こちらを見てほしい。


自分が誘った暮らしの中で、俺は早くも子供じみていた。


「あと少し?」


声をかけると、彼女は振り返った。


「もう少しかかる。眩しかったら下で読む」


「眩しいんじゃないんだけど」


言ってから、止めた。


「少しだけ、話したい」


言い直すと、彼女は紙へ栞を挟んだ。


「どれくらい?」


「窓を閉めるまで」


窓がひどく閉めにくければいいと思ったが、今朝、自分で留め具を直していた。


俺たちはその短いあいだ、今日見た市場の犬の話をした。


売り物の籠へ顎を載せ、客が来ると目だけを上げる。


俺がその顔を真似すると、エルナはもう十分分かったからやめてと言った。


彼女は笑い、俺の額へ自分の額を軽く当てた。


「おやすみ」


俺は目を閉じた。


紙をめくる音が、しばらく続いた。


顔を向ければ、灯のそばに彼女がいる。


確かめたい気持ちを抱えたまま目を閉じていると、次の頁がめくられる前に、眠気が先へ来た。


翌朝、小鉢には昨夜の残りの果物が入っていた。


俺の分の器は揃いではなかった。


それでも同じ朝食だった。


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