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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
灯の届かない入江
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何を見つけに行くのか

ミソサザイへ積むものは、前の旅より少なかった。


売るための荷は積まない。


水、食料、乾いた布、修繕具、予備の縄。


人を乗せて戻る可能性があるので、空いている場所を先に守る。


空白にも仕事があるのだと、俺は甲板を見て思った。


俺の役目は、沿岸の古い標識と、残る灯台の術路を見分けることだった。


魔法で船ごと恋人を引き寄せる仕事ではない。


その仕事を俺に期待して来た村人もいたが、できないと説明した。


説明しながら、できたら皆が俺を見るだろうという欲が、心配の下にもまだ動いていた。


サーヴァは出発前に、海図を広げた。


島が幾つかあり、岸の線は途中で途切れている。


古い地図をつないだため、浅瀬の形が合わない場所もあるという。


「天気が逃げる方向と、船が逃げられる場所を一緒に考える」


彼女は指で線を引いた。


「人が待ってそうな場所を、先に決めない」


俺は頷いた。


それでも目は、近道になりそうな海峡へ向かった。


印のある塔を通れば、予定より早く別の岸へ回れる。


塔の形式は、俺が見たことのある刻線の図に似ていた。


似ていることと、同じ働きをすることは違う。


書けば分かり切った話なのに、急いでいる自分には、似ているほうだけが都合よく見える。


父とジナに勤務を渡した。


父は、行ってこいとは言わなかった。


帰る予定と、連絡が来ない場合にどこへ照会するかをもう一度聞いた。


俺も同じことをエルナにしたのだと思い、少し苦い気持ちで答えた。


母は手当用の袋を渡した。


「薬は書いてある通りに。分からなければ使わないで」


俺は頷いた。


セラは何も言わず、袋の紐が荷のどこへ引っかかるかを確かめた。


帰る者を待つために、何もせず座っていた人ではなかったのだと、その手を見るたび思う。



*



海へ出ると、空は思ったより明るかった。


晴れ間があるから安全だというわけではなく、遠くの雲の下では雨が斜めに走っていた。


水面は大きく上下し、波の端が風にちぎれて船へ飛んだ。


服の内側へ入った冷たさが、すぐには抜けなかった。


ユストは船首側で流木を見ていた。


「これ、昨日の雨で出た木だろうな」


濡れた樹皮の色と、葉の残り方を見て言った。


俺にはただの木だった。


船の破片なら違う印があるかもしれないが、それも分からない。


俺は見つけたものを勝手に事故の証拠へせず、形と場所を書いた。


人のいない小さな岸で一度上陸し、流れ着いた木を確かめた。


砂には鳥の足跡があり、その間に人の靴底のような跡もあった。


俺が声を上げる前に、サーヴァが膝をついた。


「古い。雨の前だ」


「この島、人がいるの?」


「季節で来る人はいる。ずっと住んでるのかは知らない」


海図には小さな岩の印しかなかった。


俺はその印を見た。


紙に名前がないことと、誰も使っていないことは違う。


今さらそれを驚く自分が、少し恥ずかしかった。


岸には古い火の跡があった。


近くに、魚の骨をまとめて置いた浅い穴も。


誰かが食べ、片づけ、戻るつもりで場所を残している。


俺たちは水を少し飲み、ここで見たものを記した札を船へ持ち帰った。


何も見つからなかったのではない。


まだエルナを見つけていないだけだった。


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