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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
向こう岸の朝食
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朝食を待たせない

帰りの海は、行きより揺れなかった。


俺が慣れたからだと思いたかったが、サーヴァは今日は穏やかだと言った。


努力の成果にしたいことを天候へ返されるのは、少し悔しかった。


夜番に立つと、エシュルの部屋の窓を考えた。


今頃、エルナは紙を乾かしているのか。


それとも、疲れて早く眠ったのか。


俺に見られていない時間の彼女を想像することはできるが、知っていることにはならない。


その違いを埋めるために、手紙がある。


けれど、手紙が来るまでのあいだ、相手の人生が止まっているわけではない。


俺は荷の紐を確かめ、舟の傾きを見た。


今ここでやるべき仕事が、都合よく俺を救ってくれた。


だからといって働いていれば寂しくないわけでもなく、食事の器を一つだけ受け取ったときには、少し落ち着かなかった。



*



湾へ戻ると、父は灯台の下で窓枠を削っていた。


俺の顔を見るなり、荷より先に手を貸せと言った。


板の端を持ち、父が刃を引くのを待つ。


挨拶としては地味だったが、俺が帰ってきたことを身体で確かめるには悪くなかった。


「エルナは」


「仕事で残る。三か月くらい」


「そうか」


父は板を裏返した。


「お前は、いつから当番へ戻れる」


「明日」


「じゃあ、今日は荷をほどけ」


エルナが残ることについて、それ以上は聞かなかった。


俺は少し拍子抜けし、反対されなかったことに安心した。


自分が決めたわけでもない彼女の仕事を、父へ許してもらう必要はないのだが、心の中の古い順序はすぐには変わらない。


家へ帰ると、母は旅の上着を見て眉を寄せた。


「そのまま椅子へ掛けないで」


セラが窓際から、こっちも駄目、と言った。


俺は上着を脱ぎ、戸口の釘へ掛けた。


五脚目の椅子には、セラが使う布袋が置いてあった。


海の向こうで何が起こっても、家の家具にはその日の都合がある。


夕食でグレンのことを話した。


帰ったが、元の家には住まない。


別の部屋を借り、港の仕事と、以前の家の水仕事を少しずつ引き受ける。


母は途中で匙を置き、セラは最後まで黙って聞いた。


「会えたのは、よかった」


セラが言った。


「それだけでは、よくなかったんだね」


俺は頷いた。


母は隣の妹を見た。


二人には今も、好みの分からない料理や、聞くと互いに怒ってしまう昔話がある。


それでも、食卓にいる相手へもう一度尋ねられる。


そのことと、元に戻れたことは違う。



*



翌朝から、窓を拭いた。


塩は薄く見えても、布で拭くと白い跡を残した。


風向きと水位を書き、油の残りを確かめ、代番の記録を読んだ。


ジナは俺の書き方と違う場所へ注意を書いていて、最初は見落としそうになった。


自分の方式へ全部直す前に、彼女の意図を聞いた。


俺がいない間にも、仕事は続いていた。


当然のことだった。


だが、当然に続くために、誰かが夜中に起き、足りない布を探し、濡れた薪を避けて火を作っていた。


俺は呼出しの手当を数え、立て替えてもらった分を払った。


船旅の感想より先に払う金があることを、以前なら夢から覚めたように感じただろう。


今も多少は感じた。


それでも、夢を見ている間の自分の仕事を、誰かが無料で持つべきだとは言えなかった。


エルナから最初の手紙が来たのは、俺が三度目の夜番を終えた後だった。


出帆を見送った日の夕方に書かれ、別の便で運ばれたものだ。


俺が手紙を読んでいる今と、彼女が書いた夜は違う。


紙の上の寂しさへ返事をするときには、もう彼女は忙しくて少し笑っているかもしれない。


彼女は部屋の窓から見える屋根の色と、隣人が夜に歌うことを書いていた。


工房の仕事は三行だけだった。


俺が送った荷の包み方が一つ雑だったことは、四行あった。


最後に、小鉢が割れずに使えている、とあった。


俺は返事に、こちらの窓の塩と、父の作った新しい棚と、グレンの話を聞いたセラの様子を書いた。


会いたい、も書いた。


早く帰ってこい、とは書かなかった。


同じ意味ではないことを、ようやく少し分かり始めていた。



*



その後の便で、グレンの短い手紙が届いた。


新しい部屋の窓が風で鳴るので、近所の職人に直してもらった。


港の給金が初めて一月分まとまって入った。


レダの家の水路は、前より流れる。


ミラとはまだ多くを話さないが、朝に顔を合わせれば挨拶をする。


俺は、一つ一つ読んだ。


そこに劇的な幸福はなかった。


だが、帰ってからの人生が始まっていた。


生存の記録は訂正され、過去の死亡扱いの紙も、なぜそう判断されたかが分かるよう残された。


生きていることを認めるために、待った年月までなかったことへする必要はない。


最後に、朝食のことが書いてあった。


以前は誰かが食べ始めるのを待っていたが、仕事へ遅れるので、自分の時刻に食べることにしたという。


鍋が小さくなったぶん、魚の骨を入れすぎると汁の場所がなくなる、と。


俺は笑った。


その朝、台所には三つの器が並んでいた。


母は手当で出かけ、父は森へ入っていた。


セラがパンを切り、ミアが薬の包みを隣へ避けた。


「誰か待つ?」


セラが聞いた。


俺は首を振った。


「食べよう。冷めるから」


遠い街にも、朝食がある。


俺の見ていない相手が、それを食べ、自分の時間を始めている。


そのことを寂しいだけと思わずにいられる朝が、少しずつ増えればよいと思った。


返事を書いた紙は、乾くのを待っていた。



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