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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
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春までの仕事

外枝の下にある古い継ぎ目は、冬の海から手を出せる場所ではなかった。


潮が引くと、黒い石棚の上に少しだけ金属が見える。だが波が引いた場所へ、次の波がすぐ重なる。冬は風で海面が押し上げられ、作業できるはずの隙間が消える。


サーヴァはその前で、船を近づけなかった。


俺たちは陸から見下ろし、長い棒を伸ばした。先の布が一度濡れ、次の波で棒が大きく撓った。


ダナが、俺の手首を押し戻した。


「今は触らない」


俺も、そのつもりだった。実際の波を見るまで、頭の中の作業図には、都合よく乾いた足場があった。


ここを替えなければ、中央へまとめる新しい締結は使えない。


上の口を減らすだけなら、今もできる。だからラウゼンは船数を制限していた。しかし複数の枝を一度に中央へ締め直すには、土台側の古い戻りを外し、新しい部材へ替える必要がある。


春の風が弱まる時期の、大きく引く潮。


その時なら、短い作業の時間が取れると、古い記録と今の潮を両方見ていた船乗りが言った。


ラウゼンは、その春の切替まで今の設備を保たせるつもりだった。


俺たちには、その間に別の帰り方を用意する時間があった。


十分ではなかったが、何もできないほど短くもなかった。


レンネルへ戻った夜、俺はラウゼンと再び会った。


今度は、暖かい部屋に二人きりではない。サーヴァとユスト、エルナ、ダナもいた。机の上には図だけでなく、濡れた荷を包んだ布が置かれた。


普通の海を回ると何日かかり、どこへ泊まり、どれだけ荷が傷んだか。


俺たちはそれを話した。


ラウゼンは途中で、現在の全便を同じように運べるのかと聞いた。


サーヴァは、運べないと答えた。


「だから、入れる荷を減らす。帰る船まで減らすんじゃない。これから入れる数を減らす」


彼女の声は、机の上でよく通った。


エルナは、古い図の一巡の線を出した。


そこには、入った船をまず帰し、その一巡を終えてから口を外す仕組みがあった。後で足した中央への繋ぎを続けるための構造とは、別だった。


「春の最終の切替の前に、今入っている船を全部帰す。その間に、通常の海を回る便へ荷を移す」


俺は言った。


「全部を昔に戻す話ではありません。今ある家も、港も残す。減った便の分だけ、運ぶ荷の値も変わる。それでも、人が戻り終えるより先に枝を閉めないでほしい」


ラウゼンは椅子へ背を預けた。


「待つ間、イサナは働く」


「知っています」


「期限を延ばせば、彼女が延ばす」


俺は唇を噛んだ。


その言葉を、簡単に退けられなかった。長く待てばよいという話にすれば、待つ日々を身体で払うのはイサナだった。


「だから、今から帰す」


ダナが言った。


「最後の日に、全員へ初めて知らせるのをやめる。帰る家を決める時間を、今渡す」


彼女の指は、地図の外枝を押さえていた。


ラウゼンは、その指を見た。


しばらくして、頷いた。


「春の大潮まで、帰着を優先する。新しく入る船は減らす。最後は、その時点で入っている船が戻ってから、枝を締める」


「戻った知らせは、岸で確かめる」


エルナが言った。


「中央の数字だけでは、着いたことにしない」


ラウゼンは目を細めたが、否定はしなかった。


そのあと、彼は机の布を拾い上げた。


粉の跡が残る、塩で硬くなった布だった。


「私が欲しいのは、これを毎日見なくて済む道だ」


彼は言った。


「分かっています」


俺は答えた。


「僕たちが試してきたのも、それを減らすためです」


春の仕事のため、俺たちは冬のうちに働き始めた。


俺は入り江の泊まり場へ、雨の入りにくい灯り箱を作った。普通の油灯を入れ、船から見える高さに留める。風が強ければ蓋を狭め、昼間は外して乾かす。難しい魔法はなく、使う人が手を入れられる物にした。


エルナは、各岸に残っていた古い道の控えを、使える大きさへ直した。


それを渡す日は、自分で船乗りと歩いた。港の図にある目印が、今も同じ場所にあるとは限らない。店へ変わった倉、取り壊された階段、新しく灯を置いた軒。紙を見て質問し、現物を見て書き直す。


ダナは人を連れて、外枝へ下りる陸の道を歩いた。


年寄りには荷の重さを減らし、若い男には、どこで先へ走るなと言えばよいかを考えていた。彼女は時々、足を止めて後ろを待った。自分だけ道を知っていても、続く人がいなければ意味がない。


その仕事の間にも、塔は使われた。


イサナは、俺たちが帰ってくるたび、何ができたかを聞いた。


最初は、灯り箱が一つ。


次は、濡れた荷を乾かせる小屋が二つ。


三度目には、通常の海を通った次の便で、粉を濡らさず運べたと報告した。


イサナはその時、初めて声を立てて笑った。


「あんたたち、案外しつこいね」


「損したくないんです」


俺が言うと、彼女はまた笑った。


窓の外では、午後の船が入ろうとしていた。


彼女は笑いを収め、台の方へ椅子を向けた。


俺はその背中を見送り、明日取り付ける灯り箱の金具を、膝の上で確かめた。


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