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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
帰りたい岸を選ぶ
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近い岸の値段

桟橋から家々へ上がる道は、思ったより急だった。


荷を持たない時には、気にならない傾きだった。粉の袋を背負うと、一段の高さが膝へ来る。俺は途中で休みたくなったが、先を歩くエルナが、同じくらいの大きさの袋を抱えていたので言い出せなかった。


彼女が振り返った。


「重い?」


「そっちは?」


「私のは帆布」


俺はすぐ休んだ。


ここでは、短縮航路が閉じたあとの話を、皆が同じように聞いてはいなかった。


粉を受け取った女は、運び賃が高くなるなら困ると言った。灯油を扱う男は、少し高くても、突然来なくなるよりよいと言った。若い船乗りは、中央に仕事が増えるなら、そちらへ移るつもりだった。


「この岸へ帰らない人間が、帰れなくなるのを怖がる必要はない」


彼は言い、荷縄を肩へ掛けた。


そばにいた父親が、返事をしなかった。


若い男は父親を見ず、港への道を下りた。


ノア先生なら皆の望む答えを持っているのか、と聞かれたら困るところだった。俺は道具を持っているだけで、家族がどこへ住むかを決める力はない。


ダナは、陸からこちらへ回ってきていた。


冬の道を確認し、荷を置ける小屋と、水のある所を探していた。海の一便だけでは日常は続かない。舟が来られない日に、人が歩いて行ける場所も要る。


彼女は俺の靴を見て、濡れたまま歩くなと言った。


「替えはもう使った」


「干す。今日帰るわけじゃない」


「明日には戻る予定だけど」


「風が許せばな」


言われて、俺は沖を見た。


船の計画と天気の計画は、まだ相談がついていなかった。


俺たちは、小屋の雨漏りを見る仕事を引き受けた。


修繕代は現金だけではなく、今回の泊まりと乾いた場所も含む。新しい契約の理屈を練るより、屋根へ上がって悪い板を外す方が、俺には得意だった。


エルナは下から釘を渡した。


「この小屋、ずっと使えるようにするの?」


「冬にここを通るなら、必要だと思う」


「誰が片づける?」


俺は屋根から周りを見た。


家主の男が、薪を割っていた。


俺が手を振ると、彼は斧を置いた。


乾いた床を貸して泊まり賃を取るなら、雨の翌朝の掃除と灯りの確認がいる。そう話すと、男は、妻へ聞かずに何でも引き受けるなと自分へ言い聞かせるように呟いた。


エルナが下で笑った。


その夕方、中央から小さな荷船が来た。


男たちが下ろしたのは、食べ物ではなく、港口へ据える重い浮き木だった。ラウゼンの命で、こちらから短縮航路へ入る船を減らすためだという。


明日の朝から、一日に使う数を絞る。


突然だった。


桟橋へ人が集まった。先ほど中央へ行くと言っていた若い男は、真っ先に自分の船の札を出した。もう荷を受けている。今さら待てと言われれば、代金を払うのは誰だ、と怒った。


運んできた男たちも、決めた当人ではない。


「塔の方が保たない。全部を通す方が危ないと言われた」


一人が答えた。


俺は浮き木の結びを見た。


完全に塞ぐための鎖は、まだ通っていなかった。数を決め、札を持つ船だけを抜くつもりらしい。


「入った船の帰りは」


俺は聞いた。


「帰着の方は開ける。入る側を減らす」


その返事に、集まった人の何人かが息を吐いた。


俺も、少しだけ息を吐いた。


だが、明日運ぶはずだった荷は残った。早く許可を取った船の方が、荷の持ち主から高い運び賃を取れることになる。中央の港で決めた順番が、ここでは人の顔色を変えていた。


若い船乗りが俺へ近づいた。


「あんた、向こうと話せるんだろう。俺の札を先に見せてくれよ。帰らないんだから、帰りの数を使わずに済む」


俺は彼の札を見た。


父親が、少し離れた所に立っていた。


「僕の友達だから先にしてもらう、という頼み方はできない」


「友達じゃないから、頼んでる」


男は言った。


俺は黙った。


彼の言う通りだった。俺が知り合いに頼めない人間なら、彼も俺へ来なかっただろう。


「今受けた荷の分を、減らす前にどう扱うか。そこは聞く」


俺は言った。


男は不満そうに札を戻した。


その夜、サーヴァが帰りの荷を見た。


来る時より多い。


今ここで待てない荷を、通常の海へ回したい人が増えていた。俺たちの一便が、急に便利な例になった。


サーヴァは、積める数を減らした。


「前と同じ重さまでだ。波は、試しだから小さくしてくれるわけじゃない」


声の強さに、人が黙った。


俺は彼女の横で、濡れた粉の袋を持ち上げた。


最初に、これを見せるべきだった。


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