港に残る足音
低い桟橋の鐘を鳴らすと、ユストが顔を出した。
彼は俺たちの足元を見てから、すぐに縄を下ろした。外階段へ出る戸は鍵が掛かっていたが、番人が上から戻り、ようやく開けた。彼は命令を待っていたのだと言った。
「見えてただろ」
ユストはそれだけ返した。
俺たちは船へ戻らず、塔の乾いた部屋へ入れられた。毛布と熱い湯が来た。誰が持ってきたのかと思うと、ラウゼン自身だった。
彼は俺の前へ椀を置き、ダナの濡れた靴へ目を落とした。
「波が予想より早かった。下の排水を先に見せるべきだった」
俺は湯を持ったまま彼を見た。
謝罪があることと、怒りが収まることは、同じ速さでは進まない。口を開けば、必要のない嫌味まで出そうだった。
エルナが先に言った。
「水が入っていると伝えたあとのことを、話して」
ラウゼンは彼女を見た。
「沖の便が戻る口を、一度閉じる必要があった。あちらには三十人以上いた」
「ここの口だけ、元の形で使えた」
俺は言った。
「知っていたんですよね」
ラウゼンは答える前に、俺の手元の透明な片を見た。
「管理者の知らない帰着を増やしたくなかった。上では、君たちがまだ中にいる印が残る」
「じゃあ、一緒に確かめればよかった」
「港じゅうでそれを始めれば、確認が追いつかない」
その言葉には、俺へ向けた怒りが混じっていた。
彼は俺たちを危険へ置いたことだけでなく、自分の許可を待たず帰ったことにも腹を立てていた。俺はその二つを、初めてはっきり見た。
ダナが椅子から立った。
「三人ともここにいる。札と顔を見て、今、返そう」
イサナが部屋へ来た。
階段を下りてきたのではない。同じ階の奥にある照合台から、廊下を渡ってきた。歩く速さは遅かったが、彼女は誰の手も借りなかった。
俺たちの顔を一人ずつ見て、三枚の札を数えた。中央に残る三つを返し、古い帰着の片が空であることを確かめた。
「帰っている」
彼女はラウゼンへ言った。
「次は、帰る前に閉じないで」
ラウゼンは椀を持ち上げ、置き直した。何か反論しようとして、その場ではやめた。
その日の調査は終わりになった。
翌朝、俺たちは再入場の許可を止められた。設備を無断で変更したので、確認が済むまで下へは入れない。仕事として約束していた寸法の提出は受け取られ、報酬も出た。一方、ミソサザイがすぐに出港することには、港の確認が必要だと言われた。
サーヴァの機嫌が、明らかに悪くなった。
「船へ勝手に札を掛けるな。借りた岸は今日までだ」
彼女は出航に要る項目を、一つずつラウゼンの部下へ読ませた。荷の積み違いも、船体の不備もない。問題は俺たちが調べた写しの扱いだと分かると、サーヴァは相手に、それを船の安全と言い直すなと告げた。
俺は自分の鞄を抱えた。
写した物を全部置いていけ、とまでは言われなかった。だが、内容を確かめるまで時間を使われる。港に留まる一日分の食事と、仕事の遅れを払うのは、ラウゼンではなかった。
エルナは、渡す写しを自分で作った。
公開されている受け場の構造、俺たちが抜いた枝の位置、三人が戻ってから線を外したこと。個人の受理を探す控えは別にした。半日かかった。俺はその間に、ユストと濡れた外套を乾かした。
夕方、ラウゼンが桟橋へ来た。
「部下が手間を掛けた」
彼はサーヴァへ言った。
「その部下へ止めろと言ったのは?」
俺が聞くと、彼は俺を見た。
「私だ」
答えは速かった。
俺はそれ以上言わなかった。船の準備が進む音が、妙に大きく聞こえた。
イサナには、翌朝までに別の紙を届けた。
古い一巡の帰着が、局所では今も使えたこと。使用前後の残量と、外した場所。彼女はそれを読むと、机の引出しへしまわず、自分の果実の皿の横へ置いた。
「この紙は、あとで見る」
そして、柔らかくなった果実を一つ、俺へくれた。




