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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
山の底の波音
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鐘を鳴らす朝

レンネルまでは、陸路を北東の小港へ下り、そこから海を行くことになった。


山の入口を閉め、調べた所と触っていない所をサダへ見せた。彼女は字より先に、水の通り方が変わっていないことを確かめた。板を写させてもらった礼に鍋の修理を無料にすると言うと、既に払った分を返せと言われそうだったのでやめた。


テムにも寄った。


二枚の受理痕は、乾いた箱の中に保管されていた。俺は山で写した逆向きの刻みを見せ、これが分かれば二つの入口の先を辿れるかと聞いた。


テムは俺の紙を回し、しばらく黙った。


「古い図の裏表を、もう一度見直す理由にはなる。現物は、行き先が決まってから送ろう。君の足より荷便の方が傷めず運べる」


二枚を調べるための借受と輸送の手配を相談し、俺は出所の控えだけを持った。自分の人生の答えになりそうな品を、鞄へ押し込んで岩場を歩きたいとは思わなかった。


サーヴァとユストは、小港で俺たちを待っていた。


ミソサザイは北東岸への荷を積む予定があり、旅客分の場所を取ってもらえた。乗る日を合わせるため二日待ったが、その間に帆の修繕を手伝わされた。働けば運賃が安くなるか聞くと、邪魔をしなければ高くならないと言われた。


出航の朝は曇っていた。


細かい雨が止んだあとで、桟橋の縄も、手すりも、触る物が全部湿っていた。空と海の境が薄く、遠くの帆だけが白い切れ端のように浮かんでいる。


俺は舷の鐘の横に立った。


綱の低い所に、大きな結び目があった。濡れた麻が硬くなり、握ると掌の皮を押した。長く使って丸くなった木の柄より、生き物の関節のような手触りだった。


「長く一度。待って、短く二度」


サーヴァが言った。


「全員乗った、綱を外せ。向こうで結びを持ってる奴へ知らせる。鳴らすのは、最後の足が入ってからだ」


ユストが桟橋の端で荷を受け取っていた。ダナが先に上がり、エルナが鞄を船へ載せる。彼女は裾を押さえて板を渡り、両足が甲板へ着いたところで俺を見た。


サーヴァがうなずいた。


俺は結び目を引いた。


鐘が、思ったより腹に響いた。長い音を一つ残し、腕を緩める。音が湿った空気へ広がる間、掌に麻の凸凹が残った。


少し待って、二度。


短い音の二つ目が、前の響きへ重なった。ユストが岸へ片手を上げ、桟橋の男が繋ぎ綱を外した。


エルナが俺の横へ来た。


「丁寧だったね」


「大事な合図だから」


「鐘に、鳴ってもいいですかって聞いてた」


俺は彼女を見た。


彼女は真面目な顔をしていたが、口の端だけが上がっていた。濡れた髪を耳へ押し込み、俺の握っている結び目をつついた。


「もう離していいよ。許可、出てる」


俺は笑った。


笑うと肩の力が抜け、綱が掌から滑った。湿った繊維が指の間をこすり、鐘がごく小さく揺れた。エルナも笑った。船が岸から離れたので、彼女は俺の袖を掴み、二人で少しだけ同じ方へ傾いた。


桟橋の男が遠ざかった。水面の灰色に、ほどけた縄の端が白く落ちていた。


俺は掌を外套へこすった。まだ丸い結び目を握っているような、確かな感触が残っていた。


船は、港の突堤を抜けた。


サーヴァの声が上がり、ユストが帆を直した。海へ出ると、風は陸で感じたよりずっと強かった。


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