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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
覚えている道
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縄の向こう

翌日の夕方、渡りが閉じられた。


谷から見える軍道の下に、古い木橋があった。幅は荷車より少し狭く、人と小さな橇が通るものだった。その手前に縄が三本張られ、抜いた床板が横へ積まれていた。


エイムはそこにいた。


俺たちが近づくと、彼は腰の刃物へ手を伸ばしかけ、途中でやめた。


「今日はここまでだ」


その声は、初めて会った時より低かった。おそらく、仕事で人を止める時に使う声なのだろう。


ダナが橋の向こうを見た。まだ畑の側から戻る人がいた。背に空の籠を載せた老人で、一段ずつ確かめながら歩いている。


「あの人が帰る」


「下が通れるんだろ」


エイムは言った。


「そのために作ったんだろうが」


老人は水路の入口へ立った。赤い布を見つけ、足を出しかけて、すぐ戻した。暗くなると、水と足場が同じ黒に見えた。


俺は橋の向こうへ声を掛けた。


「そこから右へ下りないで。灯りを持って行きます」


戻って水路から回ろうとすると、上で荷が動いた。


元締めが明日の最初の石枠を下ろすため、斜面の滑り木を試していた。乾いた雪が落ち、細かい土が水路の上へ散った。ボルンに聞いた、白い砂だった。


ダナがすぐに上へ叫んだ。


「止めろ。下に人がいる」


元締めは見下ろした。立ち止まっている老人を見ても、手を下ろさなかった。


「下を通すなと言ったはずだ」


「まだ動かす時刻じゃない」


「明日のために試してる。そんな所で待つな。早く帰らせろ」


俺は縄を押して橋へ出た。床板のない隙間を跨げば、向こうへ行けそうだった。


エイムが腕を掴んだ。


「落ちるぞ」


「君が戻せば通れる」


言ったあとで、怒鳴りたい息が喉へ溜まった。彼の屋根の事情は知っている。しかし、目の前の老人を見ながら、それを思いやるほど俺は広くできていなかった。


エイムの手が強くなった。


上で石が一つ落ちた。


水路の縁へ当たり、欠片が飛んだ。老人は身を屈めたが、足を滑らせたらしく、壁へ背を打ちつけた。その姿が低くなり、籠だけが残った。


ダナが走った。


エイムの手が離れた。


俺は積まれた床板へ飛びつき、一枚を引いた。凍った泥でくっついていた。指先が滑る。エイムが反対側を持ち上げた。


「横にするな。長いまま渡せ」


彼の声に従い、板を二本の桁へ載せた。


向こうでダナが老人を引き起こしていた。もう一度細砂が落ちる。俺は橋の中央で腰を低くした。膝の下に古い板の粗さがあり、隙間から水が見えた。


「もう一枚!」


エイムが渡した。


老人は自分の足で歩けた。片膝を痛め、踏むたびに顔が歪んだ。ダナが肩を支え、俺は先で板を押さえた。彼が真ん中を越えると、エイムは縄を切り、通り道を大きく開けた。


上から元締めが下りてきた。


「何をしてる」


エイムは刃物をしまわず、切れた縄を持っていた。


「帰してる」


「橋は閉めた。仕事を忘れたのか」


男の顔から血の気が引いた。


元締めは言ってから、その言葉が何へ触れたかに気づいたようだった。だが、引かなかった。


「前金は返せ。明日は別の人間を立てる」


エイムは懐から紐袋を出した。結び目が固く、なかなかほどけなかった。彼は苛立って歯を使い、袋ごと元締めへ押しつけた。


硬貨の音がした。


俺はそれを聞きながら、老人の膝へ布を当てた。傷は浅かったが、血はすぐ布へ広がった。暖房室を出たばかりの冬が、まだ足の下まで続いていた。


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