曲がった板の使い道
イェトは、曲がった板を渡す前に、俺の顔を見て笑った。
「仕事を断って、仕事を増やしてきた顔だ」
「別に好きで増やしたんじゃないです」
「好きな仕事だけじゃ、顔はそんなに汚れん」
板は確かに曲がっていた。ただし厚く、縁を削って並べれば、人が渡るには十分だった。イェトは売り物から外した理由を一枚ずつ説明し、荷重を掛けてはいけない節へ炭で丸をつけた。
カザも工房にいた。荷場へ納めた道具の使われ方を見に来た帰りだった。俺の型より自分の型の方が雑に扱われていると、不機嫌そうに話した。
「良い道具は、壊れないと思われる。損よ」
「壊れそうに作る?」
「あなたの見本を置いておく」
俺は板を落としかけた。
彼女はその下から細い鉄具を拾い、差し出した。割り留めを、裏の狭い所から抜くための先端だった。
「曲がり板の横へ打つと、頭が寄る。これを使いなさい。指で抜こうとして折るのが目に見える」
「借りるだけ?」
「指を折ったら、その間の替わりの人間を私が探すの。先端一つの方が安い」
手渡された刃には、彼女の工房の小さな打刻があった。
俺はそれを自分の道具袋へ入れた。第十何番目かの世界最高の発明を思いつくより、この小さな鉄具を上手く使える方が、今の俺には現実的な自慢だった。
ボルンは乾燥棚の外で、小さな札を何枚も削っていた。
覚え直している道へ置く印だという。彼は前の道順を売ってしまったあと、同じ曲がり角で迷うことを嫌がっていた。札へ自分の分かりやすい傷を入れ、位置を変えたらその日のうちに紙へ書く。
「水の道へ行くなら、下の壁を見るな」
俺が話すと、彼はそう言った。
「濡れて見える壁へ寄る。皆、そうする。だが、白い細砂が落ちる場所は上だ。あそこで立ち止まるな」
ダナが地面へ線を描き、場所を確かめた。彼はその図へ一つ印を置いた。
「俺も行く。岩だけ見る。道は任せろと言うなよ」
「言わない」
ダナが答えた。
夕方、谷の水路へ板を運んだ。
サダは自分の仕事を早く切り上げ、濡れた枝を脇へ寄せていた。近所の人間も二人来た。一人は早く終えて家の豆を焦がしたくないと言い、もう一人はこの板を春にも使えるかと何度も聞いた。
板を渡す場所に、俺は短い足を二本作った。歪みを削りすぎると薄くなるので、板の腹を互い違いにした。エルナは借りた板の持主と、返す時に残していい釘穴を確かめながら、手綱の結び目へ赤い布を巻いた。
それは見本包みの印とは違う、ただの目印だった。色を見るたびに裏を探したくなるのは、職業上の損害だと思う。
キナが短い縄を運んできた。
「荷が軽い」
俺が言うと、彼女は睨んだ。
「誰に見せるために減らしてると思ってる」
腰をかばいながらも、結び目を締める手は速かった。彼女は自分では沢へ下りず、上から必要な物だけを投げ渡した。ダナが一度見上げたが、何も言わなかった。
暮れる頃、最初の一人が板を渡った。
サダは空の桶を二つ持っていた。俺たちが手ぶらで往復して確かめたあと、それでも桶を提げた人間には狭いことが分かった。手綱の一本を外側へ寄せ、彼女はもう一度渡った。
「こっちは使える」
サダは桶を置いた。
ダナが頭を上げると、彼女は続けた。
「上の道も残す。春に水が増えたら、ここだけじゃ暮らせない」
「分かっている」
「今度は、私が見る前に図を渡さないで」
ダナは汚れた手のまま、膝の上で紙を広げた。サダは彼女の横へしゃがみ、籠の幅だけ道を広く描き直した。




