高い給金
元締めは、水路の話を聞くと机を叩いた。
「勝手に道を作るな。下に人を通せば、上の切り出しを止めなきゃならん」
町の荷場には、買付側の立会人が来ていた。細い帽子を被った男で、ラウゼンの名がある注文控えを持っている。彼は部材の数と、欠けた角の寸法を確かめに来ただけだと、最初から何度も言っていた。
ダナが図を広げると、元締めは端を押し返した。
「下を潰して上を広げる。もう材を買った。いま変えると、同じ道に二度払う」
「最初の見積りに、住人の道がない」
「軍の地図で通っている」
「私の描いた図だ」
周りの声がやんだ。
元締めがダナを見た。彼はここで初めて、彼女の顔と、古い図の印を繋げたらしかった。
「なら分かるだろう。あれだけの荷を」
「あの時、退去が終わっていないのを知って、通れるとした。家の前の仕事場を、空いた土地として塗った」
ダナの声は大きくなかった。荷場のどこかで、木の輪が転がっていた。
「今回は、そこを通せない」
元締めは顔を赤くした。
「今さら良い人間になりに来たのか。俺の荷で」
ダナは答えなかった。
俺が言い返すより先に、買付の男が咳払いをした。彼は下の道を消すことまで注文していないと言った。部材の価格は変えない、届かなければ別の保管場所から買う、それ以上は自分に決められないとも。
元締めの額に汗が浮いた。
ラウゼンの注文には納期があり、運び手の日当には雪の日も払う約束があった。彼は既に金を使っていた。その焦りはよく分かった。自分の金が減っていく時には、目の前の他人の都合が急に贅沢に見える。
元締めは図を丸めた。
「明後日、最初の荷を下ろす。沢の渡りは明日の夕方に閉める。危ない所へ人を入れるわけにはいかない」
ダナは丸めた図を取り返さなかった。
「危なくする前なら、人は歩ける」
「仕事は終わりだ。もう来るな」
荷場を出ると、エイムが待っていた。新しい前金の紐袋を握っていた。
俺はその袋を見ないようにした。見ないようにしていることが分かるほど、不自然に遠くを見た。
「頼まれた」
エイムは言った。
「橋を閉めて、杭を抜く。人が上へ来ないよう、番をする」
「やるの」
ダナが聞いた。
「三倍だ。屋根の半分が、晴れの日しか屋根じゃねえんだよ」
彼は笑った。誰も笑わなかったので、袋を上着の中へしまった。
「あんたなら、どうした」
エイムはダナへ聞いた。
「昔なら」
彼女はしばらく彼を見た。
「受けた」
男の顔が緩みかけた。
「ああ、そうか」
そこでダナは口を閉じた。今はこうしろとも、同じ間違いをするなとも言わなかった。エイムは待っていたらしい。次の言葉が出ないと分かると、帽子の耳を引き下げた。
「俺は、今の屋根が要る」
彼は橇を引いて行った。背中に結わえた予備の靴が、左右で違う揺れ方をしていた。
ダナはその背を追わず、俺へ言った。
「板を借りたい」
「借り賃は」
「私が出す。測る仕事の前金は返すから、余裕はない。売り物にしにくい板を」
俺はイェトの工房の方を見た。
「格好の悪いやつなら、心当たりがある」




