不機嫌な部屋
人が暖まると、声が大きくなった。
入ってきたばかりの人たちは、唇を結んで焚き口を見ていた。火のそばへ膝を寄せ、手を出し、息をつく。それから少し経つと、向こうの人が場所を取りすぎだとか、靴をそこへ干すと臭いだとか、実にさまざまな不満を言い始めた。
俺は柱にもたれて、それを聞いていた。
靴の臭いについては、双方に言い分があった。濡れたまま履くのは嫌だし、鼻の前で乾かされるのも嫌だ。最終的にはエッダが棒で床を叩き、靴を干す場所を戸の近くへ移させた。
フルナは俺の外套を膝に載せていた。
「ここ、言ったでしょう」
破れた襟を持ち上げる。
「言われました」
「新しい布は、傷む時も勢いがいい」
彼女は切れた糸を抜き、裏へ当て布を差した。たくさん縫えば丈夫になるというものでもないらしく、針を通す位置を少しずつ変えていた。
キナの腰には固い腫れができていた。歩けるが、しばらく重い荷は背負うなと、町の手当てのできる男に言われた。彼女はその男の荷物を見て、帰りに持とうかと聞いた。誰にも笑ってもらえず、鼻を鳴らした。
子供は眠っていた。火が十分に回ると帽子を取り、湿った髪を母親の膝へ押しつけた。俺が見ていると、母親は小さく頭を下げた。それにどう返すか迷っているうちに、子供が寝言で何かを欲しがり、彼女の注意はそちらへ移った。
部屋へ集まったのは、俺を見に来た人たちではなかった。
そのことが、今夜は有り難かった。
俺の指には、麻の圧を思い出そうとする動きだけが残っていた。左の小指を曲げ、掌の横を親指で押す。春にはここが、こんなふうに締まったはずだ。
いや、こんなふう、の中身がない。
指を押せば、今押した感触がする。それが春の感触を追い出しているのか、そこへ新しく置かれただけなのか、区別しようとしても分からなかった。
エルナが隣へ座った。俺が指を動かしているのに気づき、膝へ置いていた自分の手を少し寄せた。
「どの場面を使ったの」
「ジナと窓を直した日。春の。新しい紐に替えた時、僕が板を支えてた」
「あの日は、帰りが遅かったね」
「ずっと、もう少しって言ってたから」
エルナはうっすら笑った。
ジナが笑ったことも、父が根菜を食べたことも覚えていた。古い紐を捨てず、刷毛を掛ける輪にした。給金を追加で払った。覚えていることを一つずつ確かめると、午後は確かに俺のものとして残っていた。
その中で、窓の留めだけが鳴らなかった。
俺は留めを閉じたところを思い浮かべた。ジナの手、板、明るい窓枠。そこで何かを待ってしまう。二つ重なった音があった。そう書くことならできる。耳の奥には、火が薪の割れ目をなめる音しかなかった。
「音も」
俺は言った。
エルナはうなずき、何があった音かを聞いた。俺が説明すると、分かったと言って、その先は尋ねなかった。
彼女の手が俺の指へ触れた。
触れられたところは温かかった。俺はそれを握り返した。さっきから確かめ続けていた小指の曲がり方を、ようやく気にせずに済んだ。
*
吹雪は二晩続いた。
二日目には、宿が自分の倉へ薪を運び終え、余分を買う人も直接来るようになった。ヨレスを通さず取りに来た宿の女将たちは、互いに量を確かめてから持ち帰った。倉番は入口に座り、次にどの荷を出すかを持ち主へ聞いていた。
ヨレスは自分の分の薪を売り始めた。
前日より値が下がっていた。それでも人々はすぐには近づかなかった。乾燥室に暖房があり、取引を急がなくても今夜はしのげる。市の取引卓は、六つから二つへ減った。
戸を落とした件は、その場にいた運び手とエッダが町の見回り役へ話した。ヨレスは庭の鍵を返したまま、市が閉じるまで倉の荷出しを指示できなくなった。俺は聞かれたことへ答え、あの男の説明を延々と聞く席には座らなかった。座ると、きっと途中で立ち上がってしまう。
代わりに、俺は乾燥室の壊れた戸の脇へ仮の板を打った。割れた上枠は、工房から来た二人が直してくれた。俺の保持具を見た一人が「透明になるまで使ったか」と言い、それから何も聞かなかった。
エルナは給金を取りに行った。
戻ってきた時、彼女は少し怒っていた。修復した帳面の三冊目が、途中だと言われたらしい。
「途中だったのは、中身の確認。背は直した」
彼女は鼻を赤くして言った。
「それで?」
「背を開いて見せようかって聞いたら、払った」
俺は彼女の指先を見た。寒さで細かく割れ、糊の跡が白く残っていた。その手で、せっかく直した背を開くと脅したのかと思うと、ヨレスより自分の帳面を心配したくなった。
彼女は北の取引所への紹介を失った。
俺は残りの市で得るはずだった給金を失った。
その日の午後、二人で宿の窓の立て付けを直し、夜は俺が乾燥室の火の番をした。エルナは帳面へ火の番の時間などを書き込まず、裏返した荷札の余白で、歪んだ鳥の絵を描いていた。
それを見たフルナが、何の鳥かと聞いた。
「珍しい鳥」と彼女は答えた。
俺は笑った。エルナが少しだけ、得意そうな顔をした。




