六つ目の荷
夜明けには、通りの泥が見えなくなっていた。
雪は積もるというより、横から押し込まれていた。家と家の間に固い筋を作り、戸口の低い所を埋めていく。鼻で息を吸うと奥が痛んだ。俺は口布を引き上げ、手袋の中で指を曲げた。
倉の前にはキナと、彼女が連れてきた三人の運び手がいた。
一人は、今日は二往復だけだと言った。もう一人は、自分の家へ運ぶ薪を先に橇へ載せたいと譲らなかった。キナは文句を言いながら、それぞれの荷を決めていた。
「気のいい人を集めたんじゃないの?」
俺が小声で聞くと、彼女は縄を噛んで引いた。
「運べる人を集めた」
見事な選び方だった。
女将の鍵で戸を開けると、乾いた木の匂いが外へ溢れた。
薪はあった。高い窓の下まで、隙間を揃えて積まれていた。宿の札が何列も並び、その向こうには冬市の印を付けた大きな山が別にあった。
俺は、その印の山を見ないようにした。腹が立つと、手元の荷まで間違えそうだった。
倉番の若い男は、昨夜ほとんど眠っていない顔をしていた。女将が自分の札を取ると、彼は荷の境へ杖を差した。
「そこまでです。後ろの列は別の宿」
「分かってる」
女将は答えた。男は俺の顔を見ず、通路の雪を箒で払った。
一度目の荷を、俺たちは普通の橇で運んだ。下りの角ではキナが先へ回り、後ろの男が縄を二本に分けて速度を落とした。俺の役は後ろから押すことで、見た目ほど重要ではないと思っていたが、止める時には誰より重かった。
乾燥室へ着くと、エッダは毛布の敷き方を変えていた。床から冷えると言って、使っていない棚板を短い材へ載せ、その上へ毛布を広げる。フルナが角の引っかかる所へ布を縫い付けていた。
「外套、持ってきた?」
彼女は顔を上げた。
俺は仕事の最中だと言おうとして、自分の肩を見た。新しい布の表面に雪が詰まっていた。
「あとで頼みます」
「濡らしすぎる前に」
フルナはもう針へ目を戻していた。
取引を終えて買えた小束の薪を、彼女は自分の籠に入れて持ってきていた。ここへ長く居るなら少し混ぜると言い、代わりに縫う場所を窓際に取ったらしい。誰かに善人だと呼んでほしい様子はなく、隣へ座ろうとした老人に、肘が当たると怒っていた。
二度目から荷が増えた。
ダナも、町の外の仕事を切り上げて来た。屋根から落ちる雪を見て道を一つ変え、運び手の先頭へ入った。俺が次の橇を取りに戻る時、彼女は後ろの列に合わせてゆっくり歩いていた。急がない歩調の方が、人を揃えて動かせるらしかった。
別の宿も、自分の分が倉へ入っていると知って取りに来た。表通りを通すと屋根の雪が危ない。薪倉からエッダの裏庭へ抜ける短い道を使えば、広間の東を回って各宿へ出せる。重い風除け戸は上げたまま、止め爪を確かめ、下を一台ずつ通した。
五つ目の荷を出した時、倉の敷居で橇が引っかかった。
底へ付いた雪が凍り、上の薪を動かすたびに片側だけ沈む。運び手の一人が脚を入れてしまい、橇と敷居の間へ靴先を挟まれた。
「動くな」
キナの声で、全員が止まった。
俺は箱から小さな保持具を出した。昨日、炉の煙道を直すのに一つ使った。残る作業用の片には、乳白の筋がまだ通っている。
刻線を確かめ、橇の下へ先端を差す。
「少し浮く。キナ、板を入れて」
俺が爪を起こすと、柄に低い震えが伝わった。白い筋が端から消え、透明な部分がゆっくり広がる。橇の縁が指二本ほど浮いた。
キナが敷板を滑り込ませた。挟まれた男が靴を引き抜く。俺はすぐ爪を戻したが、筋は細い一本しか残っていなかった。
男は悪態をついて立ち上がった。脚を強く踏み、痛くないかと聞かれる前に、平気だと言った。
「その言葉、ここじゃ値が下がってるよ」
キナは言い、男の荷を別の橇へ半分移した。
六つ目の荷を積んでいる時、ヨレスが来た。
彼は冬市の印を付けた大きな薪の山の前に立ち、俺たちが運んでいる荷を見た。宿の分だけだと倉番が説明したが、ヨレスは最後まで聞かなかった。
「東の庭を閉じます」
キナが顔を上げた。
「通ってる最中だよ」
「市の通路です。今日の搬出は終わりです」
「私の庭でもある」
いつの間にか来ていたエッダが言った。肩に大きな空籠を載せていた。
ヨレスは彼女を見て、薄く笑った。
「奥の部屋を開ける話は、借りる時にはありませんでした」
「今、話した」
彼女は籠を下ろした。床に硬い音がした。
ヨレスは、それ以上返事をしなかった。横に連れてきた男へ、風除け戸を下ろすよう言った。




