閉じた倉の中
受理痕の箱が二つとも北へ着いたのは、市が開いて三日目だった。
テムの作業場へ運ばれた時、俺も立ち会った。夏に磨いた箱の角に擦り傷があり、片方の外包みには、川を渡る便で濡れたと書いた札が付いていた。中の封は乾いていた。二つとも、予定されていた運搬の順番を通ってきた。
箱を台へ上げるのを手伝ったダナは、戸口の段差を靴先で確かめていた。町の運び手から仕事を受け、雪の前に荷場と道の幅を見ているという。俺が箱の布を持ち上げる間に、彼女は入口へ渡してあった短い板を裏返した。下の石が一つずれ、踏むたびに浮いていたのだ。
「今日中に下へ材を入れる。帰りは端を踏むな」
彼女はテムへそう言い、箱の角に残った雪を布で払った。
「今日、開ける?」
俺が聞くと、テムは箱を載せた台の脚を確かめた。
「室温に馴染ませる。板が反ったら、あんたが泣く」
「泣きはしないと思う」
「じゃあ、私が泣く。仕事が増えるから」
エルナは包みの継ぎ目を見ていた。冬市の仕事を終えた後、一緒に確かめる日を決めていた。彼女は箱を早く開きたいはずだったが、紐を解く手は慎重だった。
俺は触らずに外へ出た。生まれる前の自分に関わる物が、閉じた箱に入って台の上にある。それを置いて昼の仕事へ戻るのは、ひどく奇妙だった。
空を見た。谷の奥で、雲が峰を隠し始めていた。
広間へ戻る途中、薪倉の前でキナに会った。
昨日まで開いていた大戸が閉じている。キナの橇は空で、荷を縛る縄だけが濡れた板の上へ載っていた。
「今日の荷は?」
「出ないって」
「雪で遅れた?」
「何が? ここにある物が?」
彼女は親指で戸を示した。隙間から乾いた木の匂いがした。俺が来た日に見た宿の名の札は、今は柱の内側へ移されていた。
倉番の若い男が戸を細く開けた。
「ヨレスさんから、夕方までは誰も出すなって」
「出す予定で人を雇ってるんだけど」
「俺に言われても」
キナが一歩近づくと、男は戸の陰へ肩を引いた。怯えているのが分かる。彼女は舌打ちして、橇の縄をまとめ始めた。
「あとで、運ぶ人がいないって泣かないで」
男は返事をしなかった。
俺は広間に戻り、ヨレスへ倉のことを聞いた。
「降る前に荷を揃えておきたいのです。今夜から二晩、山側の通りは止まるでしょう」
彼は同じことを何度も聞かれたような顔で答えた。
「宿の薪まで?」
「順に出します」
「キナは夕方まで待つと、暗くなるって」
ヨレスは窓の外を見た。売り手の列が庇の外まで続いていた。中へ入る前に相談を受ける人、範囲の説明を待つ人が並ぶ。列の途中で老人が片足を何度も踏み替えていた。
「寒くなると、迷っていた人も来ます。今朝は受付を一人増やしました」
彼は俺を見た。
「今日の検査を、少し増やしていただけますか。上乗せします」
俺はすぐには答えなかった。
彼の言葉のどこかを聞き間違えた気がした。冬に備える人が増える、と言ったのだろうか。迷っていた人の決断を手伝う、と言ったのだろうか。
窓の外で、老人が列を離れかけた。係が追い、何かを話した。老人は戻った。
ヨレスは俺の視線を辿った。
「あの方たちは、帰っても火がありません。ここなら、自分で一晩を買える」
「薪を出せばいい」
言葉が先に出た。
ヨレスの顔から、疲れたような笑みが消えた。
「あの倉は、あなたのものですか」
「宿の人が買った分もあるでしょう」
「受渡しは私が引き受けています」
彼は机の端へ指を置いた。長い爪の下が、きれいに白かった。
「ノアさん。私はあなたの仕事に口を挟まない。どうか、こちらにも同じ扱いを」
一緒に眺めていたはずの窓が、急に俺と彼を隔てた。
外で、最初の雪が横へ流れた。




