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忘れ潮の灯台守  作者: Tpump6957
借りた痛みの工房
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長く一度、短く一度

その二日後、イェトの作業台に、柄が五本並んだ。


同じ図から作ったはずなのに、どれも形が違っていた。丸いもの、片側が平たいもの、親指を逃がす溝のあるもの。俺は最初の一本を持ち、次を持ち、最後に、どれがいいかは自分だけでは決められないと認めた。


その結論に至るまでに、木を二本無駄にした。


俺は屑籠を見た。未来の利益から引いておいた方がよい物が、日々よく増える。


昼前にキナが材料を運んできた。


俺が握ってもらうと、彼女は柄を返すより先に、先端を下へ向けた。


「積む時、こっちが出っ張るね」


「使う時の話を聞きたいんですけど」


「持っていかなきゃ使えないよ」


彼女は籠の底へ試作を入れた。先端が編み目へ噛み、抜こうとすると隣の布まで持ち上がった。


「ほら。急ぐ朝には私が嫌いな道具になる」


イェトが吹き出した。


俺は先端を外せるようにしようと言った。彼は笑うのをやめ、継ぎ目へ刃先を当てた。


「ここの面が足りん」


「少し太くして、根元は残す」


「太くすりゃ、また溝に入らん」


俺たちは図の上で言い合った。キナは途中で帰った。荷物を運び終えた人にとって、男二人が金具の幅を巡って唸る午後は、さほど見物する価値がないらしかった。


四つ目の案で、線を折り返す位置が見つかった。


先端を少し短くしても、根元の受けが狭くならない。刻線の曲がりは増えるが、力が逃げる角度を避けられる。その脇へ、先を返した時に使うもう一本を描いた。片方を使う時には、もう片方を閉じる。俺が描き終えると、イェトは紙を引き寄せた。


長い沈黙だった。


俺は黙っていた。ここで自分の案を褒め始めると、相手が罵りたいところまで提供する。


やがて彼は立ち上がり、小さな金具を選んだ。


「これで一つ作る」


それだけで、俺は午後の半分を取り戻した気になった。


夕刻には、採用試験で使う開始装置を合わせた。


荷場では、離れた二つの台へ同時に合図を送る。壁に掛けた鈴が鳴るのと一緒に、それぞれの台の細い帯へ開始の印が残る仕組みだった。目で見る印があれば、大きな荷音に鈴が隠れても時を合わせられる。


装置は荷場の物で、古い検査台を継いで使っていた。片側には、以前からある受理記録を照合する小さな板がついている。外部体験のある使い手は、過去に閉じた受け口の印をそこで一度確かめる。共通の試験線に近づいても、本人の古い受け口へ干渉しないかを調べるためだった。本来は閉じた印を読むだけで、新しい体験を送り込む作業はない。今回も荷場の係が順に確認していた。


カザの工房から来た男が、その板へ手を載せていた。


髪に削り粉が残り、袖口を何度も折っている。セドより落ち着いた年齢の男で、手を下ろすと、箱から細い留め具を出した。


「フェルド」


彼は短く名乗った。


「先の交換ができるのは、あれか」


俺が頷くと、彼は試作を持って眺めた。


「ここ、外す時に爪が要るな。冬に爪を割った奴が来たら文句を言うぞ」


言いながら、彼自身が割れた爪を見せた。俺は穴の位置へ印をつけた。競争相手の工房からも仕事が増えた。


「そういう文句は、試験が終わってからでもいいんですが」


「俺は今気づいたんだ」


フェルドは隣の台へ回った。係が照合板を畳み、その上へ布をかけた。イェトは共通の台にいる。カザは壁の向こうで、手伝いの者へ何かを言っていた。


俺は装置の脇にある、試験用の小片を見た。


用途を記した札は、開始の合図。すでに荷場が買ってある有限の小片で、これから何度かの試験に使う。端には、使った幅を示す小さな刻みが入っていた。


「鳴らすよ」


声をかけると、壁の向こうで返事が重なった。


俺は長く一度、短く一度、槌を動かした。


澄んだ音が木の壁へ当たり、梁の下へ広がった。受け側の帯へ、長い線と短い線が刻まれる。小片の白い筋が僅かに薄くなった。


「届いた」


イェトが言った。


向こうでも声がした。


俺たちは表示を合わせ、開始装置を止めた。係が片を外すところまで見てから、俺は帰り支度をした。


装置の下に、使われなくなった細い枝線が残っていた。


古い台を繋ぎ直した跡だろうと思った。それに触る仕事を頼まれたら面倒だな、とも思った。


その晩は、よく眠れた。


自分たちの先端が、初めてカザの見本と同じ溝へ入ったからだ。結果がよければ人間は寝る。俺は自分を、案外扱いやすい生き物だと思っていた。


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