Hunting of white wolf
「居た。」
オオカミの討伐依頼を受理してから、約20分。山を滑り降り、廃墟となった街を駆けて全速力で走り、目的の集落へと到着した。
集落の山側の門には集落に駐屯していた自警団の小隊が一匹の大きな白いオオカミを牽制している。
大きく跳び上がり、自警団の前へと降り立ち、後ろに向かい呼びかける。
「私は"最強の狩人"、白狩紫苑だ。連絡を受けて参上した。後は私が対処する。総員、退避しろ。」
「ありがとうございます。私は、日本自警団東北支部第5軍団所属、513小隊、隊長です。応援感謝いたします。では、我々は集落の住民の避難及び警護にあたります。メインゲートから、通商大通りを使い、近隣の大規模集落へと全員を避難させるでよろしいですか。」
「構わない。さっさと逃げろ。」
「では。」
隊長がふり返り、その場から去ろうとしたその瞬間、オオカミは鋭く吠えると牙を剥き出し、飛びかかってきた。
それをゆったりと見ながら、銃床で頭を殴りつける。鈍い打撲音が聞こえる。
はずだった。
「!?」
確実に殴ったというのに感触が無く、オオカミは怯まずそのまま突っ込んでくる。
すかさず横っ腹に蹴りを叩き込み、無理やり引き剥がし間合いを遠ざける。
「チッ」
軽く舌打ちをしながら、散弾銃の銃口を獲物に向けて、素早く照準し引き金を引く。
ダァンと腹に響く銃声と共に散弾がオオカミに降り注ぐ。
しかし、弾はオオカミに当たりはするが、貫通どころかダメージを与えることもできず、地面に落下する。
「どういうことだ。」
リロードしつつ、オオカミを観察する。
(弾が当たってないわけじゃない。しかし、血は一滴も垂れてない。この距離ならば散弾銃は必殺の威力を持つ。ということは、まさか...!)
ー◇ー
師匠の箒は、すごい速度で終末世界の空を飛んでいきます。
上から見ると、地上の廃墟などがよく見えて、本当に人類は廃れてしまったのだと分かり、悲しくなります。
師匠はいつものつなぎ姿ではなく、黒いローブに黒い帽子といういかにも魔女らしい衣装に着替えています。
師匠いわく、
「この姿の方が"魔女"ってイメージしやすいだろう?"魔女"という認識を持たれる、持つだけで魔術の威力が上がるんだ。だからこそのこの格好だよ。」
らしいです。
「いいか、綾芽。今回はあくまで見学だから、地上には降りずに空中に待機するから、体調が悪くなったら素直に言えよ。」
「はい!」
「もうすぐ着くぞ。」
眼下の集落はいくつかの門があり、その内の大きな道に続いている門へ多くの人が逃げていきます。
そして、山への道へと繋がる門の前にしおんお姉さんとオオカミはいました。
「白い。大きい!」
「ああ。魔獣化するとサイズはデカくなる。まぁ、小さくなったやつも中にはいるがな。」
しおんお姉さんは、飛びかかってくるオオカミを避けて、常に一定の間合いを保ちながら、戦っていました。
「紫苑!着いたぞ!」
間子師匠が呼びかけると、しおんお姉さんはこちらに気がつくとオオカミを避けながら、情報を伝えてくれました。
「間子!このオオカミ、攻撃が効かない!恐らくだが、衝撃緩和か何かの"異能"持ちだ!危険度ランクは暫定3+!」
危険度ランクとは日本魔術議会において制定された、魔獣の危険度指標で、0〜5まであり、ランクが高ければ高いほど危険性は増すらしいです。ちなみに5相当の魔獣は一体で日本に対して壊滅的な被害を与えることができるそうです。この世界になった初期に首都・東京を破壊した巨大魔獣が推定5とされています。
「わかった、紫苑!捕縛に作戦を切り替えよう。」
「了解。」
しおんお姉さんは師匠と作戦を調整すると、銃に込められていた弾を一度外し、何やら特別そうな弾に切り替えました。そして、一度大きく後ろに跳んで距離を引き離すと、フーっと息を吐き、銃弾に魔力を込め、しっかりと狙いを獲物に定めて、銃を発射しました。銃弾はヒューっと空気を切り裂きながら、飛んで行くと、オオカミの鼻先で展開し、鋼鉄製のネットでオオカミを地面に抑えつけました。
「よし!」
「よくやった、紫苑。」
地面に降り立ったわたしたちは、捕らえたばかりのオオカミを改めて、じっくりと観察しました。オオカミは、最初こそ暴れていたのですが、だんだんと体力が尽き、おとなしくなりました。
「コイツ、怪我してないか?」
師匠は左後ろ足の観察中に突然声を出しました。
「ホントですね...。どういうことでしょう?」
「もしかして、コイツが暴れていたのはこの怪我で興奮していたって理由じゃないかな?基本的にオオカミ種ってのは山に引きこもって、群れで狩りをして生活してるんだ。そんなヤツがこんな人里まで降りて来たんだ、何かしらの理由はあるだろう?」
「しかし、間子。コイツにこんな怪我をさせるなんて、事故じゃないだろ?強い魔獣が山奥で発生してる可能性が高い。一度調査しないといけないな。」
「ああ、そうだな。その前にコイツをどうするかだ。怪我は僕が治せるが、その後山に帰すわけにもいかないだろう。この様子じゃ、群れは壊滅したと見るべきだし...。そうだ。紫苑、キミの使い魔にしないかい?」
「師匠、使い魔とはなんですか?」
「使い魔というのは、契約により人間に従っている魔獣のことだ。僕も何匹か飼っている。紫苑はいつも単独行動で、狩った獲物をいつも放置してたし、道具もあまり持ち運べてないだろう。コイツは体格もいいし、ちょうどいいと思うんだが、どうか?」
「まぁ、私も足は欲しかったところだが、コイツが頷かなきゃ、無理だろう。とりあえず、家に連れて帰って様子を見るべきだ。」
「それもそうだな。」
とりあえず、オオカミ騒動は一件落着のようです!
こんにちは、こんばんは。bea-yaです。まず、投稿時間がどんどん遅れていることを謝らせてください。ごめんなさい。ちょっとばかり忙しくて、しばらくこんな感じで投稿時間が不安定になりますが、ご了承ください。
さて、第四話もお読みいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?初めて、戦闘の描写をしたので、何か指摘などありましたら、していただけると幸いです。
では、また次話で会いましょう。さようなら!




