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第24話 ロマンvs浪漫

 黒樹女王の『樹陣(ジュタクティク)』により樹掌蠢く森と化した神殿庭園。

周囲を樹掌の森に囲まれたエイミー達に魔の手ならぬ樹掌が襲い掛かる。

二人を囲む樹々の樹掌のパンチがエイミーとロイドに次々と飛んで来た。


「うわぁ、『風転身』」


樹上の空間へ転移で逃げるエイミーに黒樹女王からの樹砲掃射が待っていた。


「『千樹果砲(センジュキャノン)』、フハハハハッ逃げ出るゴミ虫は『樹巣(ジュノス)』へ撃ち墜とす」


「『風転身』、それで逃げ場を無くしたつもり!『風影拳』」


 黒樹女王から放たれる無慈悲な果実弾掃射から転移で再び樹掌の森へ逃げると

エイミーは風に解ける様に消える。ロイドの方も次々と樹掌が襲って来ていた。


「『破滅斬』、『破滅閃』、『破天衝』次から次にキリがありませんな」


 襲い来る樹掌をサイコブレードで塵と変えていくロイドだが敵の攻撃は

止まる事なく続いている。四方八方から樹掌の攻撃が飛んでくるのだ。

執事は『破天衝』を防御技として使い樹掌を弾き飛ばし斬り伏せていく。


『ロイド、一気に片付けるよ』


『了解ですお嬢様。このアトラクションはもう十分ですな』


『ドゴーン、ドカーン』と響き渡り激しさを増す戦闘の様子を見詰める聖霊使徒。


「フハハハハッ、もっと踊れゴミ虫ども『樹養強装(ジュナジーブースト)』」


 黒樹女王から樹掌の森に黒きエナジーが供給され樹掌が強化される。

そんな中、黒樹女王に迫る忍ぶ風。樹掌の森の変化に構う事なく女王を目指す

エイミーだった。


「我が拳は最強にして最恐なり第八仙『風哮龍老』、これで一気に決める!」


忍ぶ風が解け黒樹女王の前に突然姿を現したエイミーに驚く聖霊使徒。


「『威風龍征拳』、天を征するは我が拳『征拳咆哮破』ーっ」


 超速で飛び上がり女王の左脇腹へと叩き込まれる左拳の一撃。風龍の咆哮とも

言うべき豪打にくの字に折れ曲がり衝撃に震える黒樹女王。

『ドギュウォーーーーーーーーー』と突き抜ける咆哮の波動。


「ぐぉーーーーっ、つぅっ、何を・・何をした?」


 余りの衝撃に何が起きたのか理解出来ない聖霊使徒。そして、女王に追撃を

仕掛けるエイミー。


「ハァーーーッ『龍尾扇風脚』!」


 くの字に折れ曲り頭部を下げた女王に左拳の一撃から流れる様に繰り出された

回転蹴り、超大な風の気を纏う蹴りがまるで龍の尾の如く敵を薙ぎ払う。

『ドゥバシーーン』と頭部に炸裂した蹴りにより真横に吹き飛ぶ女王。

全長70メートルの図体が少女にしか見えない者の蹴りで倒れる様は異常であった。


「ぐふぉーーっ、は・・は、はっ何だその力は?」


その時、倒れ込んだ黒樹女王の中で危機に陥った聖霊使徒の闘争本能が働き出す。


「このまま負けてたまるか。『樹暴燃昇(ジュッフルパワー)』、『千樹光背掌(センジュヘイローハンズ)』」


そう聖霊使徒が唱えると黒樹女王の体に力が漲り素早く起き上がると女王の背に

光背の様に広がる千手の樹腕が生えた。それが更なる攻撃を放とうと迫る

エイミーと激突する。


「何て腕の数!?でも今の私には関係なし。うぉりゃーーっ!」


『ドゴゴゴゴゴゴッ』打ち合う拳と樹掌、凄まじい拳撃の打音が響き渡る。

次々と伸びてくる千手の攻撃を凄まじい連打で破壊していくエイミー。

しかし樹掌を打ち払い前が開けると『千樹果砲(センジュキャノン)』を撃ち出して来た。


「我が身を守れ『龍鎧風』!」


 風の鎧を身に纏い果実弾など効かぬとばかりに迫るエイミー。樹掌が行く手を

阻もうと次々と襲い掛かるがそれすら『征拳』の破壊力で打ち崩して行く。


「その力・・・何なのだ?お前は一体何者だ?」


 ここで始めてエイミーの異常な強さに気付き初めて疑問を覚える聖霊使徒。

そんな事に応える気もないエイミーはただ突き進む。


『征拳龍渦穿』


千樹の攻撃を突き破ったエイミーは女王に肉迫すると『征拳』の連打を浴びせる。

『グォーーーーーーグハッ』と苦鳴を上げる女王。

拳に纏う風の気の渦がドリルの様に敵を突き破り見るも無惨な姿になった

黒樹女王は動きを止め立ち尽くしていた。それを見たエイミーは念動飛行で

舞い上がる。


「天使になられても面倒だからこれで一気に決める。でもちょっと見てみたい

 気もするけど・・・ダメ駄目もう」


 宙に浮かぶエイミーは女王へ向け両手を前に突き出す。バールを握る左手の上に

開いた右掌を添えると風の神気が溢れ合わせた両手に集まって来る。


「ぐはぁっ、このままではマズイ・・・神の計画が・・・ならば・・・」


「神性攻撃バール、地球直伝、ロマン炸裂『真・風龍波』ーーーっ!」


「神よ『天権解放(ヘブンズキーオープン)』・『三位一体(トライコアライゼ)』・『受体天使核(ビカムエンジェル)』」


『ズドューーーーーーーーン』と聖霊使徒の言葉を搔き消す様に放たれた

風龍のブレスとも言うべきエネルギーの奔流が黒樹女王を呑み込んで行く。

その凄まじい威力により散り散りに消滅していく女王。


「これで終わり・・・だよね!?」


 爆煙立ち昇る黒樹女王の消し飛んだ跡をエイミーは見詰めている。

その時ロイドは樹掌の森で戦闘中だったが突如として森が朽ち始めた。


「最後のラッシュは楽しめましたな。それも終わりのようですが」


 戦いを終え執事はエイミーの元へと向かう。そんな中、女王が消し飛んだ跡で

蠢く影があった。


「ぐはぁ・・・ごほぉごほぉ・・・天使化した事で何とか・・・」


 ヴィオラエールは最後の最後に天使化が間に合った事で生き残ったのだった。

しかし、息も絶え絶えで満身創痍だった。とても戦える状態ではなかった。

天使は己が胸に手を突き刺し何かを取り出す。

一方のエイミーは確認の為にバールを使い煙を払い退けた。


「うわぁ!?生きてる。何あれ白い体に大根の様な根の生えた手足。

 それに向日葵みたいな顔。背中に葉っぱの羽?・・・あれで天使?

 あんなの見るために迷った私を殴ってやりたい・・・

 それよりもアイツ胸から何か取り出してる。チェスのルークみたいな。

 そんな事させるかーーーっ、真・・・でも見てみたい気が・・・」


 ロマンを断ち切れぬエイミーであった。

胸から取り出した像を両手で掲げた天使は祈りを捧げる。


「神よ我がエールを捧げます、我に力を授け給え。『神滅城塞降誕(ビカムジュピタ)』」


「迷っちゃダメこれで終わりにしないと。『真・風龍波』!」


 光に包まれる天使を再び放たれた『真・風龍波』が呑み込んでいく。

爆煙立ち込める中に巨大な影が蠢くのが見える。煙を払う様に巨大さを増し

それが遂に姿を現わす。間一髪天使の願いは神に届いたのだった。

エイミーの迷いが招いた結果でもあった。


「フフフッ・・・フハハハハッ、先程の攻撃は冷やっとしましたが・・・

 神滅兵器と化した我『神樹城塞ジュピタ』の前では無意味と知れ」


 エイミーの目の前に姿を現したそれは天空に浮かぶ城塞だった。

爆煙を払い威容が明らかになった『神樹城塞ジュピタ』は直径500メートル程の

円形の城壁に囲まれ中央に聳え立つ巨大な神樹の周りに城の建物が隣立している。

城壁より下の下部構造は月の半球の様な形をしておりクレーターの様な物がある。

そして、神樹の幹にはヴィオラエールと思しき顔が浮かび上がっていた。

そんな巨大な城塞が空中に浮遊しているのだった。


「ほえー、何この浪漫の塊みたいな天空城!すごい凄い凄いスゴイ感動物だよ。

 躊躇った私偉い!信じた私は救われた!でもマルスからジュピタなんて・・・

 よーし、浪漫にはロマンでお返ししないと」


 出現した神樹城塞に感嘆の声を上げたエイミーが気合いを入れていると

ロイドとマーラがやって来た。


「森が消え終わったと思ったらこの威容を誇る天空城塞。魅せてくれますな」


「凄いのー、映画で見たのー」


「テラへ還って来てまさか天空城塞と戦えるなんて私達は幸せ者ね。

 マーラはロイドの支援をお願い。でロイドは遊撃ね。上の城塞部狙いで」


「ハイなのー」


「お任せ下されお嬢様、暴れ回って攻め手を見つけるとしますか」


作戦も決まりエイミーも対ジュピタ戦へと備える。


「貴械神装現界『天衣無縫』、神装陣展開、スターストーンを待機状態で接続。

 神装陣起動、貴械神装と翠雲仙風扇を接続。神装転化風装陣『天衣風縫』」


 エイミーの戦闘衣が『天衣無縫』に変わり神扇との接続によりさらに

風の渦巻く様な縫い目を持つ『天衣風縫』へと変わる。縫い目は常に

吹き流れてる様に見え天衣は淡く輝いている。


「準備OK、後は私の期待を裏切らないでねジュピタ」


敵に変な期待を抱くエイミーとそれに応える様に動き出す神樹城塞。


「フムフム、あれは・・・もしや偽神の手先か、それであればあの強さも

 納得出来るというもの。偽神を狩る存在たるジュピタの務めを果たさねば。

 決戦兵器である我では過剰戦力な感は否めませんがね」


エイミーの更なる変化を捉えそう判断するジュピタであった。


「フフッ、神の軍勢の母艦を司る我が力で偽神の寄越したゴミ虫を排除する。

 目覚めよ『種神兵(シードュバイター)』、敵を殲滅せよ」


 神樹城塞の城塞部の神樹の根元や建物群からコロコロと転がり出る巨大な種子。

全長3メートルもある種子達が道路や屋上に出ると葉っぱの手足を生やし

上部から向日葵の様な一つ目を持つ頭部を生やすと一斉に飛び立った。

無数の種神兵が『ブーン』と音を立て四肢の葉っぱを羽根の様に使い飛んでいた。

それを見て『よーし!』とガッツポーズを決めるエイミー。


「期待を裏切らない展開・・・最高だよ!まさに夢の舞台で究極バトル。

 私のロマン見せて上げる」


『風老八仙扇変万化・八仙自在』


 エイミーが神扇バールを開き『八仙自在』と唱えると八色の風が沸き起こり

天衣に溶け込んで行く。『八仙自在』とは八仙の技を多重展開出来るように

なる神装現界時のみ使える技であった。


「我が拳は風に舞う花なり第五仙『風舞華老』、桜刃満開『桜風武気』」


 空中に浮遊しているエイミーの周りに無数の桜の花が咲き誇る。その一枚一枚が

風華の刃であり舞い散る様に吹き流れて魅せる桜刃であった。


『神樹城塞ジュピタ』から飛び立った種神兵の軍勢と満開の桜刃を背に

それを待ち受けるエイミーとロイド、マーラ。ロマン溢れる夢の舞台に

役者が揃い決戦の火ぶたが切られようとしていた。

神樹城塞ジュピタとの戦いにワクワクの止まらないエイミーですね。

作中では出て来ませんが天使の名はマルスドラエールです。

次回は「決戦!神樹城塞ジュピタ」です。

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