第20話 水の宮殿
作品タイトルが長くなり、あらすじも加筆しました。よろしくお願いします。
ジェットコースターの様な展開で地下水路を流されオクトパスクイーンを倒し
第4フロアへと進んだ三人の目の前には地下にも関わらず真っ青な空が広がり
フロア全体が陽に照らされていた。
そして湖が広がりその真ん中にウェディングケーキの様な円形の四段の
大きな宮殿が建っていた。その宮殿の最上段から水が溢れ出し段々と滝の様に
幾筋にも分かれて流れ落ちているのだった。それは最下段の庭園の水路へ
流れ込み湖へと注いでいるのだった。そこへと続く飛び石の通路をエイミーと
ロイドは進み宮殿のある庭園に辿り着いた。
マーラはエイミーの肩の上に居て水の宮殿を見上げていた。
『綺麗なのー』
「これが迷宮じゃなきゃ最高ね」
庭園には何本もの水路が流れ所々に橋が架かっている。三人が宮殿へ向かい
進んでいると水路から何かが『ニョキニョキ』と生えてきたのだった。
「へ、ワーム?しかも液体の。リキッドワームかしら」
突如現れたリキッドワームはパカっと口を開けると水流ビームを撃ってくる。
それを念動飛行で空に舞い躱すエイミーとロイド。
ビームが『プシュウォーーーー』と二人のいた場所を薙いでいく。
「リッカ開扇『守リート』よ盾となれ、『斬リート』よ敵を討て」
ワーム達が次々と放つビームを盾で防ぎつつ糸の刃で敵の核を破壊して
仕留めていくエイミー。執事も華麗に舞い躱しながらワームに接近して
敵の核を潰していく。庭園水路のリキッドワームを倒し終えたと思ったのも
束の間、今度は水の宮殿一段目上部を流れる水路から水の玉がピョンと
飛び出し上部の縁に整列し始めた。
「今度は何?あの並んでるのスライム・・・」
「今度は何が来るのやら」
今度もビームですとばかり整列したスライムが一斉に水流ビームの撃ち始めた。
『プシュウォーーーー』とスライムの一斉照射が二人のいる場所を薙いでいく。
「わおっ!」
それを糸の盾で防ぎ飛んで躱しながら空中を舞い踊るエイミー達。
「これは堪りませんな」
「ほんとやってらんないくらい苛烈ね。開扇『防ギート』よ城壁と化せ、
『練リート』よ巨大な綱となりて敵を打て『大綱打砲』」
エイミーは『防ギート』で糸の城壁を築きスライムのビームを遮断すると
糸を練り合わせ巨大な綱を生み出すと扇子を叩く様に打ち下ろした。
幅50メートル全長100メートルの俵の様な綱が宮殿一段目の上部へと
圧殺する様に何度も打ち付けられるとスライム諸共破壊された宮殿上部が
『ガラガラ』と音を立てて崩れたのだった。
「取り敢えずこれで一呼吸つけるわねって・・・そんな暇与えてくれないか。
マーラ、敵のアレ水鉄砲に変えて頂戴。こっちは防御力大強化でね」
『ハイなのー』
マーラが舞い上がっていく最中水の宮殿のそれぞれ段上に新たなスライムが
整列し始めるのだった。
『土は守護の陣、ツチハアナタノミカタなのー』
『火は呪縛の陣、ヒハアナタノテキなのー』
マーラの魔方陣が空中に展開してエイミー達には防御力大強化をスライム達には
攻撃力大減少を掛けていく。そして、更に苛烈となったスライム達の一斉射撃が
始まるのだった。
「ロイドは上からやって、私は下から行くから」
「お任せあれ」
二人は糸の城壁から出陣すると無数に放たれる水流ビームの中へ突っ込んで行く。
「行けーっ!リッカ開扇『斬リート』よ切り刻め『縦横舞刃』」
糸の盾を展開しながら多少の直撃は物ともせず一段目の残りのスライムを一掃し
飛び交う水砲をジグザグに躱しながら二段目のスライムを縦横無尽に舞う糸の刃で
エイミーは倒していく。
「うぉーーーっ『斬リート』よ蹂躙せよ『万糸裂衝』」
苛烈なスライムの攻撃に対抗する様に無数の糸の刃がスライム達に襲い掛かり
切り裂いて行く。一方ロイドは宮殿の最上段へとスライムの攻撃を時には躱し
時には念動で捻じ曲げ飛んで行く。滔々と水が溢れ出る宮殿の最上部を執事は
繁々と見詰めていた。
「あれは・・・宝珠?」
その時、宝珠が輝きロイドに向けて水の魔力砲が放たれた。
「うぉーーっ」
執事は念動掌と念動を込めた剣技で弾きその反対へと回避するが
少なからぬダメージが残ったのだった。しかしその傷も自動で修復され
回復していくロイド。そこへエイミーが飛んで来て一旦城壁内へと退避する。
「ロイド何があったの?」
「宮殿の最上部に宝珠の様なものが・・・不覚を取るとは・・・」
エイミーはしばらく考えるとニヤリと笑って動き出すのだった。
「ロイドは休憩ね、扇移『突ピート』閉扇」
『パンッ!』
宮殿の上空に瞬間移動したエイミーは糸の大綱をいくつも生み出し宝珠に
投げ付ける。そして闇の宝珠を取り出し暗黒樹の苗木を生み出すとエイミーは
『扇移』したのだった。宝珠は迫る大綱に向かって水の魔力砲を撃ち放つと
それを待っていたかの様にエイミーは宝珠の側へと現れる。
「闇の宝珠、渦呪魔法『魔力吸引』、樹呪魔法『樹根封印』」
エイミーは敵の宝珠の力を魔法で阻害しその隙に用意しておいた暗黒樹の苗木を
使い宮殿の宝珠を封印したのだった。50センチメートル程もある宝珠を念動で
宮殿より奪い取りアイテムボックスへと仕舞うエイミー。
「水の宝珠手に入れたよー。後で私用に改造だね」
『お姉ちゃま凄いのー、パチパチ』
水の宝珠を手に入れ喜ぶエイミーと一緒に喜ぶマーラだった。宝珠を失った
宮殿の水は次第に枯れスライム達の攻撃も止み姿も消え静かになる。
そして『ゴゴゴゴゴーーーーッ』と音を立て何かが開いた様だった。
回復したロイドを伴い三人は一段目のある庭園に降り立つと水が枯れ
姿を現した白亜の宮殿に入り口が開いているのを見つけたのだった。
『中に入れるのー』
先行するマーラを追う様に宮殿内部へと入ると広い空間に巨大なプールがあり
中央に通路が通りその先に上へと続く階段がある。壁は大きなガラス張りの窓が
規則正しく配置され外の光が差し込んでいる。天井の至る所から水が流れ落ち
『ザーーーーッ』と鳴り響いていた。
「ここは一気に抜けよう、リッカ開扇『探リート』、『斬リート』よ
『籠目』となれ!よし行くよ、扇移『突ピート』閉扇」
『パンッ!』
エイミーはプールに籠目に糸の刃を張り巡らせると二人を連れて糸の先の
2階へと瞬間移動したのだった。プールから現れたリキッドワームの群れは
戦う事なく憐れにも籠目に捕らわれ無残に散ったのだった。
「やっぱ思った通り、その手には乗りませーん」
2階から階下の様子を伺ったエイミーはニコニコであった。
三人の前には大きな廊下がありその先に大きな扉が待ち受けていた。
「この先にフロアボスが待ってそうね」
『楽しみなのー』
「何が出るのやら、戦士タイプを期待ですな」
そんな事を話しながらロイドが大扉を押し開けると大広間があり
天井は三段目と四段目を突き抜けるように吹き抜けになっていた。
そしてそれぞれに大きなガラス窓が並び光が差し込んでいる。
大広間の奥の玉座の様な場所に『デンッ』と居座る巨大なスライムが
いたのだった。
「キングスライムですかな、残念ではありますが参りましょう」
「さっさと片付けて次行こう」
二人に合わせる様にキングも動き出した。『プルプル』と震えるとキングから
無数のスライムが分かれて飛び出し襲って来る。
「『念動掌』、まとめて塵となれ『滅細剣』」
ロイドは念動でスライム達をひと塊りにして引き寄せると一撃の元に塵と変えた。
エイミーも負けじと念動を使い一纏めにしていく。
「スライムちゃんサヨナラ『ストリング・メイデン』」
スライムの水流ビームが荒れ狂う中を糸の盾で防ぎ『扇移』織り交ぜながら躱し
エイミーはスライム達を潰していく。ある程度倒したと判断したエイミーは
『扇移』でキングに接近する。
「あなたにも一発あげる。開扇『斬リート』爆裂せよ『爆糸裂衝』、
バイバイ扇移『突ピート』閉扇」
『パンッ!』
『ブオーーーバフォ、ブルルンッ』
無数の糸の刃の攻撃に吠え荒ぶるキングから『ニョキッ』と触手が生える。
が、まるで分かってましたよとばかりに爆撃を入れ離脱したエイミーの残像を
キングの触手の放つ特大水砲が薙いだのだった。
「残念っ、もう一回」
また『扇移』で縦横無尽に飛び回り『爆糸裂衝』でダメージを次々入れいく
エイミー、そしてその残像を虚しく攻撃するキングだった。
しかし、突如怒りに震えた様にキングがプルプルと震え出すと体から大広間に
広がる様に水が溢れ出し、そこからニョキニョキと棘が立ち始めた。
「ロイドこっちへ!リッカ開扇『防ギート』よ八重の城壁と化せ」
キングの大広間全体に広がった水から一斉に水棘ミサイルが発射されたのだった。
『ドゴゴゴゴーーーーーーッ』
次々と糸の城壁に直撃する水棘の炸裂音が大広間に響き渡る中で作戦を練る三人。
「このキングの強烈な攻撃にはさすがの城壁も長くは持ちそうにないよ。
一旦黙らせるから、後は作戦通りにね」
「了解、早く終わらせてこの詰まらぬフロアを出ましょう」
『お姉ちゃま了解なのー』
「では行くよー、リッカ開扇『包ミート』よ『釘ギート」と併せ敵に死を!
『ストリング・メイデン』」
キングを囲む様に突然現れた糸の処女が『パクリ』と巨大なスライムを呑み込み
糸の釘が串刺しにすると大広間を覆っていた水棘が崩れ落ちた。水棘の攻撃で
破壊され後一枚となった城壁から踊り出た三人は作戦通りに動き出す。
『火は守護の陣、ヒハアナタノミカタなのー』
『土は呪縛の陣、ツチハアナタノテキなのー』
マーラの魔方陣がエイミー達に攻撃力大強化をキングには防御力と耐久力の
大減少を与える。
「ロイド行くよ、扇移『突ピート』閉扇」
『パンッ!』
キングの側へと転移した二人。エイミーは闇の宝珠を取り出していた。
「ロイド頼んだよ」
「お嬢様の期待に応えましょう。念刀両断、その邪魔な鎧を削ぎ落す。
滅せよ『連撃大滅細剣』」
エイミーが『ストリング・メイデン』を解いたタイミングで執事の滅殺の
連撃がキングに大ダメージを与え巨大なスライムの体をどんどん削っていく。
そして露わになるキングの核に妖しく光る闇の宝珠を手に近づくエイミーだった。
「これでキング、あなたは何も出来ない『念動掌』。ロイド止めを」
闇の宝珠の『魔力吸引』により力を縛られたキングの核を念動で持ち上げ
執事の前にエイミーは送る。
「キングスライムよさらば『大裂細剣』」
ロイドにより放たれた不可視の力を帯びた斬撃により真っ二つに分かれて
砕けたキングの核、それがフロアボスの最期だった。
「やっと終わったよ。このフロアの尋常じゃない火力。まるで何かを
守ってるみたいだった。地下水路迷宮ヤバすぎ」
「確かに異常ですな。とても人ではクリアなど出来ますまい」
『あたちたち凄いのー、ねーお姉ちゃまお外変わってるのー』
「えー、いつの間に?あそこに湧いた宝箱を開けたら出ようね」
エイミーが宝箱の中身を確認すると『水流の杖』という魔法杖だった。
「これ私が貰うね。水棘ミサイルにビーム撃ち放題なんてロマン武器だよ」
第4フロアで思い掛けずロマン武器を手に入れたエイミー達が宮殿を出ると
宮殿周囲の湖の水が引き湖底へと繋がる階段が現れていた。そして階段の
先には今まで水に覆われて見えなかった古代神殿の遺跡と思われる建物が
立ち並びその中のひとつの神殿に次のフロアへと続く地下水路が流れていた。
「なんかアレね、早すぎる気がするけど・・・」
「アニメファンにしか分からぬ感覚でございましょう」
『カリ・んぐ・っぬぐ・・・』
思わず口走りそうになったマーラの口を抑えるとエイミー達は遺跡へと
階段を降りて行く。エンディングではないのにエンディングの様な古代神殿を
背景に三人は雰囲気を漂わせながら次のフロアへと歩いて行くのだった。
今週の投稿はこれで終わりです。読んで下さった方々ありがとうございます。
水の宮殿フロアの激戦を制したエイミーとロイド、マーラの迷宮攻略は
佳境を迎えます。マーラもマンガ、アニメ大好きです。
次回は「神殿」です。




