若頭と組長代理
「深白ーよくやったなー」
「触るな」
「反抗期!?」
幹部が全て部屋から出ていったあと紅哉は深白の頭を撫でにいった
それを無論、はらったのは言うまでもない
碧生と翠も深白に近ずいてくる
「私は、いま不機嫌なんだ」
「んー?俺が手伝わなかったからか?」
「分かっててやってることにもムカつく」
紅哉が未だ笑顔のままで深白を見ている
「情報が間に合ってよかったよ」
「翠兄ありがとう、情報集めてくれて」
「それぐらいなら大丈夫だよ」
「俺と翠の扱い違くね?」
「当たり前だろクソ兄貴」
「翠まで反抗期!」
翠にこの会議が始まるまでに組長の容態と地方からほかの組がやってきているのかどうかを調べるように頼んでいたのだ
わずかな時間にこれだけの情報が集まっていたのは翠の能力の高さに敬服するしかない
「碧生兄が飛んできたのは指示?それとも独断?」
「独断だ
さすがに妹が殴られる様子を見ておくだけはできなかったからな」
「碧生兄好き!」
碧生に抱きつくと深白を優しく撫でた
頑張ったなと言わなくても分かるほどに優しい顔をしていた
「俺との扱いの差ー」
「思い当たる節は?」
「大いにあり」
紅哉に腹パンをかまそうとしたがよけられた
「あと拳銃に5発銃弾残ってるから撃ちましょうか?」
「丁重にお断りしますー」
小さく舌打ちをし、深白はホルダーに直した
「で?何が目的?」
「何がー?」
深白はへらへらとしている紅哉を睨む
「私は代理にした目的」
「…そこ聞くかー」
翠が驚いた顔をしている
本来私を代理にするという話はごく一部の身内でしか広まっていない話だった
それも決定を出しているわけではない
正妻でもない女に産ませた子供に、組の実権を一時的にとはいえ渡せば組内で問題になる
だからこそ誰も口に出さず決定事項にもなっていなかった
そのことを知っている紅哉さえ、なにも言わなければ実権は若頭である紅哉に移っていた
それをなぜわざわざ妹である深白に移したのか理解できなかったのだ
「まあお前の方が俺より頭いいからな」
「それだけじゃないでしょ?」
紅哉がそんな理由のみで上に立つチャンスを譲るわけがない
「…それより深白、お前がやったこと俺が知らないとでも?」
「……それは脅しのつもり?」
深白には思い当たる節があった
幹部にも言っていない
墓場まで持っていかなければならないほどの秘密があった
「お前のそういう強引なところ嫌いじゃねえから別にいいけどな」
「なら今は黙ってて」
「俺の判断次第だ
お前が俺にとって脅威と感じた時は然るべき処置をとる」
「それ脅し…だよね」
「そうともいうな」
2人の会話に終着地点が見えたようだ
深白は頭の中で厄介な爆弾まで自分が抱えたのを知った
しかしそれを上手く使わなければ今回の抗争は終結しない
身内に爆弾があると脅威だが敵にあれば安心になる
「…浦組をまとめるには紅哉兄、あなたの力が必ず必要になる
だから協力して」
「可愛い妹の頼みとあれば」
紅哉は組長代理に対して頭を下げた
「紅哉兄と深白には何かほかの人に隠していることがある
しかし2人は兄妹だ争うことないように」
と願う翠であった




